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推しに出会う、その前に #書もつ

観たり、聴いたり、読んだりするのは生きかたじゃない。けれど、書き方は“生きかた”かもしれない。熱意がひたひた伝わるような、冷静でいて真剣な文章があった。

書いて生きる、生きるために書く、書いているから生きている、いや、そんなありきたりな表現をしたいんじゃない。うまく言えないけれど、書くことがとても大事なことだとわかる。

推しを発信するために、自分の言葉を作る。
それはつまり、自らを守ることになる。

書くことがただの技術ではなく、自衛の手段として紹介されていることに驚く。人によって、それどういうこと?と思われるかもしれないし、確かに!と首肯するかもしれない。

「好き」を言語化する技術
三宅香帆

例えば「○○のどこが好きなの?」という定番の質問がある。答えとして、これまた定番なのは「全部」だ。

子どもの頃の僕だったら、「何でもかんでも好きだなんて、とっても好きなんだなぁ…」と思っていただろうけれど、今では「それは言葉にできていないだけでは?」と意地悪に捉えるようになった。

僕の好きな歌手は平井堅で、彼の作品に「君の好きなとこ」という歌があって、滔々と彼女の好きなところを挙げていく。例えばその歌詞が、“好きなとこ”が言語化できずに「全部」になってしまったら、作品は成立しないだろう。

読み始めて、単なる文章術の本ではないとすぐに気がつく。「はじめに」にすでにゴールが示されているのだ。

他人の言葉と、距離を取るために。
自分の言葉をつくる技術が、今の時代には不可欠です。

p 11  はじめに

筆者は何度も、自分の言葉を持つ重要性を語っている。プラスにもマイナスにもなる言葉の力を信じているのだ。ポジティブに語ることは、世界を広げ、仲間を作り、人生が楽しくなる、それはとてもわかりやすい変化への期待だ。

しかし、ネガティブな力として、誰かの言葉によって傷つけられたり、知らないうちに自分の考えとしてすり替わってしまうようなことを危惧していた。

それを踏まえて、自らの推しを発信することの意味を解説してくれる。僕がここnoteで発信しているのは、まさしくこのことだと思えるくらい共感した。だからこそ僕自身も続けているのだと思えた。

苦しいなら書くなとか、毎日更新なんて意味がない、そんな意見もあるだろう。けれど、書かないといけないのだ。それは誰かに頼まれたわけでもないし、脅されているのでもない。ただ僕自身がやりたいからだ。

「推し」という言葉に何となく抵抗がある人もいるかも知れない。ファンやお気に入りとは違うのかと訝しむ気持ちも分かる。この本には、その大前提となる「推し」についても解説してくれている。

現代はSNSの発達により、芸能人や有名人との距離が縮まったように感じる。その中で「推し」という概念が生まれ、育っていったのだと思う。だとしたら、新しい存在というよりも、より家族的な優しい視点に立てるようになれるのかもしれない。

推しを語ることは、自分を語ること

この言葉の意味が、僕にはあまりしっくりきていなかったが、この本を読むことで分かってきた。推しについて熱く語っている文章は、その人の体温があり眼差しがある。


もしかして、これが推しってこと?

そんな瞬間に備えて、この本を読んでみてもいいかもしれない。


時代…思わずツッこんでしまうサムネイル、infocusさんありがとうございます。まだ読んでいないとのことでしたが、あながち間違っていないような内容も書かれていました。

#推薦図書 #推し #三宅香帆 #書きかた #言葉

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もつにこみ
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