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ご褒美ってこういうモン
自分へのご褒美って、今更ですが流行っていますよね。”ご褒美”の甘美な響きと、ストレスのかかっている自分を感じているからこその、好きなものへの言い訳のような…根拠のような…。とにかく、自分へのご褒美って、自腹を切っているけれども嬉しいものですよね。
たとえば”ポイ活”って名付けると途端にお得感が薄れるのですが、知らず知らず溜まっていたポイントがありました。例えば、航空会社のマイル、鉄道会社のポイント、ナントカペイのポイントなどなど、合算するとかなりの数字に。
みすみす消滅させるのも勿体無いので、ご褒美消費をすることにしました。お金の本を読んだり、話を聞いたりすると、こんな感じでポイントを溜めてご褒美消費に回すのは、あまり良くないらしいのですが、気がついてしまったのです。
…モンが食べられる!
早速、JR東日本のポイントJREポイントが使える、JREモールのサイトで検索。食べたことないモンが見つかるといいなぁ…。
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え?…294件も?いや、多!
世の中にはモンがたくさんあるんだなぁ。リストアップされた写真を眺めていると、ケーキだけではなく、モンブランが描かれた弁当箱や、モンブランという名前のカーテンまで。
ホールのタルトから、ドーム型の詰め合わせ、重箱入り、ざるそばみたいなものも。ホールのモンは、さまざまなお店のがあり目移りしました。
その中でも、ミーハーな僕の目を引いたのは「銀座千疋屋」。
あなや。
銀座千疋屋といえば、老舗フルーツパーラー。高級な果物を取り扱い、芸術的なスイーツやゼリーが印象的です。そのお店のモンを発見してしまったのです。
しかし、モンの原料である栗は、厳密には果物ではありません。しかし、ケーキの材料としては主流を張るくらい、そして日本では各地で栽培されていることからも、千疋屋なら美味しいだろうとの憶測のもと、ポイントで購入したのでした。
12月23日に購入し、クリスマスシーズンに頼んでしまったことで、逆に遅くなるのではと思いましたが、26日には到着しました。最近ではケーキの取り寄せ=冷凍というのが主流。
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翌日、ダンボールを開けて、この鮮やかなターコイズブルーが飛び込んできて、いや流石だなと。木々の緑と、瑞々しさの青、どちらも表現されているような印象的なケーキの箱でした。ふつう、ケーキ屋さんの箱は真っ白なイメージなので、包装にも主張がある箱に感激していました(早く開けろ)。
台はタルト、思った通りずっしりと重みがあって、思っていたよりも高さもありました。見た目も、和栗のモンらしい薄い茶色に落ち着きがあって、トッピングのマロングラッセも大ぶりでした。ピスタチオの緑もおしゃれ。思っていたより、大きなケーキが出てきました。
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夜、みんなが寝静まったころにキッチンではモンとの格闘が始まりました。いくらモンが好きとはいえ、一気にホール喰いするのは気が引けます(もったいない)。半分を解凍して、さらに半分にして食べようと思ったのです。
ノコギリで切るようにパン切り包丁を前後にギコギコと動かして、最後は手で持って折るようにして、ようやく半分にしたケーキを冷蔵庫へ。タルトの台の上にはカスタードクリーム、マロンクリームの下はダイスカットされた栗(おそらくマロングラッセ)が混ざったホイップでした。なんという贅沢。
翌朝、解凍されたモンを食べるために、ひとりで起き出して(これはいつもと変わらず)、洗濯物をたたんで収納し、シワのついたものはアイロンをかけて、朝ごはん用の味噌汁を作って、紅茶を淹れ、カットしたモンを皿に載せました。
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(ドンドンカチャ、ダンダンダン)
頭上から聞きたくない音が…子どもたちが起き出してきたのでした。ようやく座ってモンを食べ始めようとしたのに。冷蔵庫に戻すか?でも食べたい。子どもたちにはなんて言う?でも食べたい。
マズイ…モンの味のことではなく、状況のことです。
3秒ほど迷いましたが、ここは意を決してモンを食べることにしました。目の前に準備していましたし、子どもたちも冷凍庫にモンがあることは知っていました。階段を降り終わった子がドアを開けました。
「おはよう」いつものように声をかける僕。子の視線は明らかにテーブルの上でした。
「あ、パパモンブラン食べてるんだね」
子はそれ以上何も言わず、サンタからもらったゲームの電源を入れて、遊び始めたのでした。結局、起きてきたふたりの子は、早朝からひとりでモンブランを食べている父を見ても「ふーん」というリアクション。逆に、こちらが驚きました(笑)
子どもたちはケーキが苦手なので、ふだんからケーキを喜んではくれないのです。だから、食べたいとも思わない。で、ふだんから僕が早く起きていることは知っているし、「早く起きたんだから着替たら」とか「勉強したら」とか言わないことも知っていて、自分たちの好きなことをしていたいので、相手(僕です)を刺激しないようにしていたのかもしれません。
ここまで、すでに2,000字を超えてしまいましたが、いまだにモンを口にしていないので、今回分を食べ終わるまで、あと少しなのでお付き合いください。
千疋屋のケーキは、出かけた先で見かけたこともありましたが、その時には購入しておらず、実は初めてでした。モンの台がタルトの場合、ホイップのみをたくさん入れているケーキが多く、カスタードと栗入りホイップの組み合わせにも感激していました。
子どもたちに放っておかれて、ひとりで食べるモン、ちょっと寂しい気持ちもありつつ、ありがたく頂きました。
ひとくちで、あぁやっぱり美味しいと思いました。
マロンクリームの和栗の香りの上品さと口どけの良さ、コクのあるホイップと時折ある栗の食感も幸せでした。どっしりしたタルトとマロンクリームをつなぐカスタードクリームもしっかり主張していました。
タルトもかなりぎっしりと作られていて、外側の硬めの食感と、ほろっとしたアーモンドが満足感のある台でした。周囲を飾っていたナッツ類の食感も手が込んでいるなぁと思わされました。トッピングのマロングラッセも、水っぽくなく、とても美味しかったです。2粒しか載っていないことがとても悔しく感じるほどでした。
モンが好きとはいえ、金に糸目ばかりつけて、高額なものは憧れることはあっても、食べることはほとんどありませんでした。ふるさと納税の返礼品でもらえるものは、前提として3倍以上の金額で寄付(納税)をしなければいけません。
返礼品でもらうことを考えていたのですが、1万円払って3千円のモンよりも、はじめから3千円だけ出して同じモンを食べればいいのでは?と言ってくれた妻にも感謝です。
今回意を決して入手したモンの凄さに、改めて人気の高さを知るのでした。冷凍庫には、まだ半分が残っているので、年越し後にも食べることができそうです。
今年最後の投稿が、モンになるとは思ってもいませんでした。きっと来年も、残り半分のモンをいそいそと食べて始まるのでしょう。今年は、例年以上にモンの投稿をしています。好きなものを堂々と食べて、誰かに話せる幸せを、どんどん実践しているような心境です。
ともあれ、食べ過ぎはよくありません。食べれば食べるほど、書くことも溜まっていくわけで。
モンに限らず、美味しいものを食べて楽しく生きてきたなぁと、年の終わりに実感するのでした。今年も、ありがとうございました。
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