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靴磨き

心が落ち着かないときに、僕は靴を磨く。

いや、僕が靴を磨いているときは、悲しかったり怒っていたりするのだと、きみが教えてくれたんだ。

新聞を広げて、靴紐をすべて抜いてから、ブラシで埃を払う。布で軽く拭いて、クリーナーを伸ばして、拭き取るよ。

靴墨をキズやスレに載せるように塗って、柔らかいブラシで伸ばすように撫でる。僕は、この独特の香りがたまらない。つい深呼吸しながら、表面を見つめてしまう。

寧静と呼ばれる、このひとときが僕を癒やしているのかも知れないな。

靴墨は、東京都で作られているって、意外だよね。

少しだけ休ませて、布で拭き取り、ナイロンで小刻みに磨いていく。ワックスは、革が息ができなくなりそうだから、僕は付けないよ。

鈍く光を映して光る革靴が好きなんだ。ピカピカだと履くのが怖くなる。

そうだ、磨いてあげるよ、きみの靴も。


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もつにこみ
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