マフラー職人気質 #私と編み物
我が家には、細いマフラーがたくさんある。何本あるのか分からない。家族それぞれの分に加え、誰かに渡す予定だったものもある。いまは、引き出しの各段に、紛れ込むように隠れている。
その細いマフラーは、ことし、春が来る前に、保育園の卒園を控えた上の子が編んだものだ。どうやったのか詳しくは分からないけれど、保育園にあるミルク缶で編み上げたのだという。
「そろそろ卒園ですね」なんてちょっと寂しいあいさつが交わされる頃、保育園に毛糸玉を持っていくことになった。時間を見つけて、子が好きな色を選び、買って持たせた。
子は最初のマフラーを完成させるや、ほかの色でも作りたいと言い、毎週のように毛糸玉を買うことになった。単色からラメ入り、さまざまな色が混じった混色の毛糸もあった。
保育園の友達たちも、それぞれに個性のあるマフラーを編んでいた。
自分で作ったもの、そしてかわいいもの、誰かが喜んでくれるもの、それは子どもでなくても嬉しいはずだ。手編みといえば手編みのマフラーは、文字通り次々に編まれた。当初は、自分が使うものだけを作る予定だったのだが、妻や僕にも作ってくれて、さらに誰かに贈りたいと言っていた。
プレゼントしたい気持ちは優しいけれど、結局、多くのマフラーはプレゼントされることなく、我が家に残されている。
それはなぜか・・状況的に会うことが難しいという人も、もちろんいる。
当時、保育園から帰宅したマフラー職人は、その日に編み上がったマフラーを、袋から取り出し、ためつすがめつ眺めたあと、・・・両端をぎゅっと握って立ち上がり、体の前後に回し、ぴょんと飛ぶ。
「ねー、パパ!このマフラー、ばあばにあげようと思う!」
跳びながら喋る子の楽しそうなこと・・時々、引っかかってビヨンと伸びる縄・・じゃなかった、マフラー・・。
(いや、縄跳びじゃないし。せっかく編んだのに、そんな風にしたらだめでしょ。)
我が家に、細いマフラーがたくさんあるのは、おもちゃとして活用されてしまった経緯があって、プレゼントとして渡すには忍びないからだ。
サムネイルに使ったマフラーは、僕にくれたもの。かわいい。
くまさんの企画に参加しました。1日限定の投稿期間は、なかなか緊張しますね。・・間に合った・・。 #私と編み物
くまさん、温かな企画ありがとうございました!
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