子どもからの、スイート・テン・P
先日、僕たち夫婦が結婚10周年を迎え、我が家にD(ドラム式洗濯機)を迎え入れたことを書いた。勿体ぶって書いた割には、家電の更新というありきたりな日常だった。
ともあれ、値段はずっと非日常のままだ。領収書がメールできても、カードの利用明細を確認しても、ドラム式洗濯機の値段の迫力は衰えない。例えばダイヤモンドの指輪だとしても、同じように値段に迫力がある。
結婚記念日は、夫婦だけの記念日で、夫婦が覚えておいて、夫婦で節目を感じて居ればいいと思っていた。しかし、家族である子どもは違ったのだった。
結婚記念日って何?どこで結婚したの?
質問も子どもらしい。僕たち夫婦は小学校の同級生というのは、すでに子どもは知っていた。それを話したとき、子どもにとっては小学校が世界そのものであるから、至極当たり前というか「ふーん」くらいのものだった。
結婚記念日を前にして、子どもは何か手紙のようなものを書いていたらしい。当日の夜「二人で読んでね」と手紙を渡してくれた。性別によって、手紙文化のようなものがあると思うのだけれど、子は保育園の頃から手紙によって字を書き始めたところがある。
子にとって手紙は、とても大事なコミュニケーションツールなのだ。話は逸れるが、僕のスマホケースには「ばば だいすき」(原文ママ)と書かれた折り紙が仕舞われている。書き間違いが愛おしい、字を書き始めた頃にもらった手紙である。
話を戻すと、両親の結婚記念日に当たって、子から手紙をもらうとは思ってもみなかった。
まぁ両親が結婚しなければ自分がそこにいない(一義的に捉えられないが、子ども向けにそういう説明をしている)、というのは何度となく話していることだし、子の○○なところが僕に似ているとか、妻に似ているとか、つい口に出してしまう。
手紙には、感謝の言葉が書かれていた。毎日のように叱ったり、小言を言ったり、早く寝ろとかすぐ起きろとか、矛盾したことを言っているけれど、素直に嬉しかったし、もっと優しくありたいと改めて思った。
手紙の入っていた封筒には、子が妻と僕それぞれに向けて作ったプラ板が入っていた。
妻あてのプラ板はこれだった。
いや、上手くないか⁉︎と思ったが、プラ板の利点を生かした写しイラストであることはすぐにわかった。なぞったとはいえ、線も揺れが少なく、上手だった。僕はまだコミックスを2巻しか読んでいないが、これは「葬送のフリーレン」だとすぐにわかる。
僕あてのプラ板には一体何が描かれているのだろうか。最近よく録画を見返している「スパイ・ファミリー」だろうか、それとも「はたらく細胞」か。
期待に胸を膨らませて、封筒から出した。
あら、かわいい。え、でも、これ、なんて名前だったっけ。主役級の猫っぽいやつの名前はわかるんだけど、この子……えーと。
翌朝、子に尋ねてみた。フリーレンはママ用で、妖怪ウォッチはパパ用ってこと?
「そうだよ。」
あのキャラの名前ってなんだっけ?
「え?フェルンでしょ」
いや、そうじゃなくて、パパの方の猫のやつ。ジバニャンじゃなくて、なんだっけ?
「えー、わからない」
……名前がわからないキャラクターの絵描いたの!?
「だって、あれがパパっぽいから」
…は、はぁ、そういうことなら。(納得するんかーい!!自分で言うのも何だけど、やっぱり可愛いキャラなのか)
いそいそとスマホで検索したら、ご存知「コマさん」でした。マイペースで、のんびり、語尾の”ずら”がかわいいですよね。
我が子からも、スイート・テン・プラ板という贈り物をもらったよ、って話でしたとさ。親の節目を子どもに祝ってもらえるとは、想像していなかった未来です。
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