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絶滅危惧種書店 #書もつ

世界中で本が読まれている。それが紙媒体だとか、KindleだとかAudibleだとかは関係なく、本が読まれている。

日本で読書人口が云々などと言われているが、世界のあちこちで本が読まれていることを思うと、励まされる思いがする。かつて、ある写真家が世界中で「本を読む人(人じゃないのもあった)」の写真を撮った写真集を読んだ。作品の始まりには、谷川俊太郎が詩を寄せていた。

「本を読むときは、孤独ではない」これ自体は、谷川の言葉ではないと記憶しているが、とても印象的な言葉だった。作品に没入するだけでなく、本を読んでいる空気を纏った人が世界中にいる。そんな言葉だった。

大手のチェーン店の書店はいくつも思い浮かぶかもしれないが、地域の独立系の書店について、皆さんはどれだけ利用しているだろうか。僕は、ここ数年、そういった書店に行ったことがなかった。

唯一、数年前に職場の通勤経路にある商店街の書店に立ち寄ったのが最後だ。その書店に立ち寄ったのも、閉店セールをしていたから、という理由だった。とにかく、書店が減っていると言われて久しいし、実際に僕も利用していない。

世界の夢の本屋さんに聞いた素敵な話
ボブ・エクスタイン

この本は、イラストレーターの著者が、世界のあちこちの独立系の書店を回って話を聞いて、その”ちょっといい話”を集めた作品だ。

あちこちと書いたけれど、多くはアメリカ国内で、時々ヨーロッパやアジアに飛んでいるような印象。とにかく、どうやって見つけてきたのだろうかと興味津々である。

例えば、こんなお店が紹介されている。

GOTHAM BOOK MART  ゴサム・ブックマート
ニューヨーク市 1920〜2007年
 その店は、文学者や20世紀の文化を象徴する人々が集まる場所だった。2008年には在庫だった20万冊以上が、匿名でペンシルベニア大学に寄贈された。映画監督のウディ・アレンをして「誰もが夢見る理想の本屋」と言わしめた。

所在地の隣の年号は営業年。閉店している店も掲載されているが、今でも営業中のお店もある。出版が2016年なので、閉店しているお店は増えているかもしれない。

WEAPON OF MASS INSTRUCTION 大量開架兵器
アルゼンチン 2003年から現在まで
 アーティストの店主は、旋回する砲塔のついた戦車型の移動式書店を開き、900冊以上の本を積み込み、平和の戦車としてアメリカ各地を巡った。2台目は2500冊以上が搭載可能に。3台目は、オランダのハーグで製作を委嘱された。

作中はイラストだが、写真も見つかった。インパクトすごい。


最後に、読み手が気になるのは、いかにもだけれど、日本の独立系書店としてどんな店が紹介されているのか、ということだろう。ページを繰って、日本の文字を探して見つけて、ハッとした。

…書店、じゃない!

ほかのページには書店名が載っていたが、日本の独立系書店というと、そこなのだろう。説明文には「ごく狭い地区に150以上の古書店が集まる世界最大の古書店街」とあった。まさか、あの町が世界最大と称されるとは。

答えは、ぜひ作中で確かめて欲しい(もうほとんど隠れていない気もするが)。

本屋を巡る旅も、きっと楽しいだろう。


絶滅危惧種のパンダ、本を読んでいます。どんな本をどんな本屋で買ったのでしょうか。infocusさんありがとうございます!

#推薦図書 #書店 #旅

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