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大きくなったら、何になる?

noteで毎日更新を初めてから1年が経った頃、意を決してプロフィールを書き換えることにした。それまで、名乗ってはいけないと思っていた「エッセイスト」を書き加えた。

とはいえ、僕のエッセイで収入を得たという実績があるわけでもないし、まして出版をしたわけでもなかった。当時は、何かの賞に入賞すらしたこともなかった。まさに無名の”ただの人”だった。

僕自身がなってみたかった。エッセイストに。わずか、かもしれないけれど1年間投稿できたことは自信につながったし、大事な節目にしたかった。

名乗るからには、いいエッセイを書いているんだろうと思われているかもしれない…読み手を落胆させてしまうのではと不安に駆られたこともあった。しかし、憧れを実現させたとき(ただプロフに書いただけ)の喜びは計り知れないものだった。

おかげさまで、時折フォローしてくださる方がいて、いつも読んでくださる方がいる。これがエッセイなの!?と思われてしまうこともあるかも知れないけれど、いままでにそんなコメントをいただいたことがないので、幸か不幸か、エッセイストじゃない!と否定された覚えはない。それはとても嬉しいことでもあるし、自信につながる。

書くだけだけれど、僕自身が読み返したとき「なんでこんなこと書いてんの?」という思いになることは避けたいと意識してきた。書き上げて読み返し、やっぱり投稿できない、と思うこともあった。

当時に戻ったとしても、同じエッセイは二度と書けないな、と思う。忙しくて、うまく時間が見つけられないとき、息切れするように書いては投稿し、書いては投稿しを繰り返してしまっている時期もあった。

どんな状況でも、エッセイを書けることは僕にとって癒やしだったし、忘れたくない景色を文字にして残せるという安心感を満たすものだった。身近すぎる投稿は読み手に緊張感を与えるかもしれないし、逆に抽象的過ぎて分かりにくかった投稿もあるだろう。

結局は、自己満足のために書いているという言い訳をして、読み手にサービスする気持ちがこもっていなかったのだとも思う。反省しつつ、では読み手が求めている僕のエッセイの価値ってなんだろうと考える。

あるとき、僕のエッセイを読んだ人が「温泉みたい」と言ってくださったことがあった。また別のある人は「血が通っている文章」とか「読むと落ち着く」とも言ってくださった。僕はそれを聞いて驚くばかりだった。

見たまま感じたまま、それを丸く優しく書きたい。ある人は、それを「素直」を表現してくれた。いつでもそれが表現できている自信はないが、おかげさまで僕自身は楽しく投稿している。

noteを始めた6年前、僕はエッセイストになりたいと思っていた。夢のように感じていたけれど、その夢はあっという間に叶えることができた。単に、名乗り始めただけだけれど、それは書き続ける原動力になって、いまもこうして書くことができている。

数年間も続けてきて、周囲の変化はいくつも感じることがあるけれど、自分自身は書くことで変わらないでいられる部分もある。書くことを探していた日々が懐かしい。

いまは素直に書くだけではなくて、読み手に届ける文章が書きたいと思う。他人の評価を気にしていない、というのは嘘になるが、より多くの人に読んでもらうことは夢のひとつだ。

自分以外の投稿を読むにつけ、温かで、緻密で、俯瞰的で、励まされる。その文章に内包されている力のようなものを知りたい。そして、自分でもそんなエッセイを書いてみたい。

いま9歳の上の子が4歳くらいの頃に「将来の夢」について、ふたりで話したことがあった。豊富とはいえない、限られた語彙のなかで話す子の姿が微笑ましく、ときに本質的な言葉を選んでいるような気がして、ことあるごとにインタビューをして遊んでいた。

「お父さんが大きくなったら、何になると思う?」

面白がって、僕の将来の姿を子がどう想像しているのか問うてみた。

「うーんとね、お手紙屋さん!」

当時よく観ていた「となりのトトロ」に出てきた郵便屋さんをイメージしたのかな?と確認してみると、子は首を横に振った。

「そうじゃないよ。お手紙を書く人だよ」

この時、子は僕がnoteという場所で書いていることを知らなかったはずだ。何をきっかけに「お手紙屋さん」を知り、父に相応しい将来像と結びつけたのかは分からない。

読み手に届ける文章とは、当時の「お手紙屋さん」そのものかもしれない。子が思っていた「お手紙」が、どんなものかは分からないけれど、時々もらう子からの「お手紙」に、僕は癒され励まされる。

1人でも多く、1通でも多く。「お手紙」を届けられるようになる。

それが、僕の叶えたい夢だ。





#かなえたい夢



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