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MMT(現代貨幣理論)が抱える問題点とは
MMT(Modern Monetary Theory、現代貨幣理論)は、政府が自国通貨建ての債務を発行できる場合に、財政赤字や債務を拡大してもインフレが起こらない限り問題ないという考え方を持っています。しかし、MMTにはいくつかの批判や問題点が指摘されています。以下、主な問題点をいくつか挙げます。
1. インフレリスク
• MMTは財政支出を増やしてもインフレが発生しない限り問題ないとしていますが、実際にインフレがコントロールできなくなった場合、急激な物価上昇が発生するリスクがあります。特に、経済が予想外のインフレに直面すると、購買力が低下し、生活に支障が出る可能性があります。
2. 政治的影響
• MMTに基づいて財政支出を増やすと、短期的に人気のある政策が採用されやすくなり、政府が選挙などの政治的目的のために財政を濫用するリスクが高まります。その結果、持続可能性の低い支出が行われ、長期的な経済の安定が損なわれる可能性があります。
3. 通貨の信認低下
• 財政赤字を無制限に拡大すれば、自国通貨の価値が下がり、通貨の信認が損なわれる可能性があります。通貨の信認が低下すると、通貨安が進行し、輸入品価格が高騰することでインフレが加速し、最終的には経済に悪影響が及ぶこともあります。
4. 外貨建て債務のリスク
• MMTは自国通貨建ての債務を前提にしているため、外貨建て債務がある場合、その返済には自国通貨の供給ではなく、外貨が必要です。外貨の調達が困難になると、経済が不安定化するリスクが増します。
5. 実践例が少ない
• MMTは理論として提唱されていますが、実際にMMTをベースにした経済運営を行っている国は少なく、長期的な効果やリスクが実証されていません。このため、MMTの理論が実践でどの程度成功するのかは未知数です。
6. 経済の構造的問題を解決しない可能性
• 財政支出によって一時的な需要増加が見込まれるものの、根本的な経済の構造的問題(産業競争力の低下や労働生産性の停滞など)を解決するわけではありません。財政支出の増加だけでは、経済の長期的な成長を持続させるための根本的な改革が必要な場合には不十分です。
これらの問題から、MMTを全面的に導入することには慎重な意見も多いです。ただし、MMTの主張は新しい視点を提供しているため、従来の経済政策を見直すきっかけにはなっています。