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【エッセイ】いい夫婦の日
今日はいい夫婦の日だ。
夫と夫婦になって初めてのいい夫婦の日だから、本来ならケーキを買っていたのだろうなと思う。私はモンブラン。夫はきっとチョコレートケーキ。今はダイエット中なので、大好きなセブンイレブンのスモークサラダチキンで我慢する。今日は思いのほか体重が減っていたため、朝から何も食べていない。いつもはおにぎりをひとつ食べているのに。そんなことをすると、やっぱりどうしてもお腹が空いてしまう。食べないことは良くないことだと分かっているけれど、どうしても体重が減っているとやめられない。ああ、どうしよう。わけがわからなくなるほど胃の中に食べ物を詰め込みたい衝動に駆られている。白湯で我慢なんかできるか。歯磨きなんかしてられるか。
そういえばここのところめっきり寒くなったから、自宅でのんびり過ごすペット(リクガメ、ハムスター)のために暖房を入れている。24時間。夏は冷房、冬は暖房完備なので電気代はちょっと、びっくりするほどかかるけれど、ペットを飼うというのはそういうことだと思う。電気ヒーターなども買ってみたけれど、もしペットに火傷させてしまったらと思うと怖くてろくに使えない。私はとてもびびりなのだ。ちなみにリクガメは昼行性、ハムスターは夜行性なため寂しがりな私もここのところ毎日楽しく暮らせている。リクガメが昼間ごそごそと床材の上を歩く音が心地よい。夜はハムスターが回し車で必死に走る音がして心地よい。今日も生きていてくれて、とてもありがたい。ペットを飼い始めて、生活がより豊かになったのを感じている。
実は私たちの間にまだ子どもはいない。そのため、パパやママを経験したことがない。実家で飼っている犬に話しかけるときに私は「お姉ちゃんがごはん入れたげよっか!」なんて声をかけるけれど、それは私に妹がいてお姉ちゃんを経験したことがあるからである。母は、犬に対して「お母さんのところおいで」と声をかける。母は母を経験しているから、犬のことも娘のように可愛がっているのだ。では、今夫と一緒に飼っているリクガメとハムスターにはどう声をかけるのか。いや、言葉は通じないから本当は何でも良いのだけれど、初めに呼びかけるとき、どうもお姉ちゃんではないような気がした。家族の肩書きとしてお姉ちゃん以外を経験したことのない私は、自分の呼び方に非常に迷った。パパとママ、なんて言うのはおこがましい気がして。そうしてしばらくはおばちゃん、おじちゃんなんて冗談めかして言っていたけれど、毎日お世話をして、愛でて、学んでいくごとに、この子たちには私たちしかいないのだ。私たちはこの子たちを育てている。大きく、強く、長生きすることを願っている。この子たちのパパでありママなのだと考えるようになった。同時期に夫も「パパのところおいで」なんて言っていて、まだまだ夫婦のヒヨっ子ながら私たちはいい夫婦になれたなと思った。
夫と私。そしてリクガメのつむぎと、ハムスターのよもぎ。2人と2匹の暮らしがずっとずっと続けばいいのに、と思う。
長くなったけれど、今日はいい夫婦の日だから夫とデートしている。ペットショップ(リクガメとハムスターの実家)を見に行って、ゲームセンターにいって、本屋にいって。お互いに3000円以下でプレゼントを贈り合うからと、これからショッピングする。都会の街はクリスマスソングと赤と緑で溢れていた。クリスマスまで1ヶ月。もう少し寒くなって、鼻の頭がツーンと冷たくなるあの瞬間を思い出す。
この季節がたまらなく好きだ。