アルコール依存症の女 阪神が日本一
姉を遂に怒らせてしまった。
そのことで動揺し加速するように酒量は増えた。私が飲むのは専ら「ストロング系」と呼ばれるアルコール度数高めの缶チューハイだ。
味なんてどうでもいい。感覚を麻痺させて現実を忘れられるならどんな酒でもよかった。
また最近よく手にするのは韓国の焼酎「チャミスル」だ。チャミスルはフルーツフレーバーで炭酸も入っていないので飲みやすい。度数も14%と非常に高く、1本で相当酔える。
ちょうどこの頃、阪神タイガースが日本一になるかどうか瀬戸際の時期でその状況も肴になった。
阪神が日本一———。
父が生きていたら心底喜んでいただろうな。
父の生前、私たちの会話は「昨日阪神勝った?」から始まる。勝っていると父は必ずスポーツ新聞を買いに行く(そのついでに缶ビールも)。読み終えたスポーツ紙を私に「お前も読むやろ」という感じで差し出してくる。
年頃の娘にスポーツ新聞渡すオトンってどないやねんと内心思いつつも目を通した。
いつしか姉を激怒させたことも忘れ、「祝杯」と名づけ更に酒を飲んだ。今日は父も許してくれるだろう。
なんだかよく分からないテンションで一人で朝まで飲み続けた。