アルコール依存症の女 自分の人生を
一日にどれぐらいの量を飲むのか、どんなお酒を飲むのか、酔って記憶をなくしたことはあるか、など酒に関する質問を延々とされた。
ここでの話は絶対に外に漏らさないとの条件で、私は全て正直に答えた。
それから毎日のように医務室に行き、カウンセラーに話を聞いてもらった。当時はとにかく不安で話を聞いてもらいたかったのだ。
ある日、カウンセラーがこう言った。
「今のあなたを見ていると、お父さんの生き方に引っ張られているようです。あなたはあなたの人生を生きないといけないんですよ」
どこかで自分がアル中になったのは仕方がない、と思っている節があった。
父も母も酒に溺れていたのだから、娘の私が同じようになるのは当たり前、だと。
たしかに私と両親は血の繋がった親子で、性格や顔立ちも似ている。しかし、生き方や人生まで真似る必要はないのだ。
「アルコール依存症の専門病院に行ってみませんか?」
何度目かのカウンセリングで勧められたが、拒絶した。
なぜか。
自分はそこまで病気が進行しているわけではないと思ったし、アル中専門病院はおっさんばっかりの暗くて怖いイメージがあったからだ。
自分で調べて予約するのも面倒くさいし。
「そう言うと思って、こちらで病院を何件か調べておいたんですよ」
目の前に、専門病院の紹介ページがプリントアウトされた用紙が何枚も出された。