アルコール依存症の女 悪魔の声
職場復帰は11月中旬だったと思う。
久々の出勤に少し緊張したが、みなさん良くも悪くも無関心でいてくれたし、何人かの方は声をかけてくれた。
焦らずゆっくりやっていこう。
この頃、失恋もしていた。
見た目も中身も私のタイプの人だった。
交際していたわけではないが肉体関係はあり
率直にいうと彼の体が忘れられなかった。
仕事復帰、断酒、とストレスの溜まる環境下で求めたのは男だった。
マッチングアプリに登録し、京都の年下の男性とやり取りが始まった。
彼は京都在住だが、大阪のディープな街が好みで西成には何回も訪れているとのことだった。
今年も終わろうとしている12月末に初めて彼と会うことになった。
食べ歩きが趣味、と書いていた通りまぁるく線を描いた人だった。
奇しくもその日は私の仕事納めで、翌日から5日間ほど休暇を取ることになっていた。
年末、仕事納め、男———。
ここまで揃った手前、無視するわけにはいかなかった。
大丈夫。連休だからぶっ倒れても回復期間があるよ。
悪魔の声が聞こえた。