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不格好なチョコレート

「パパおなか減った」

すっかり成長して社会人となった長女

一人暮らしして自立して頑張ってる

どうやら仕事終わりでおなかペコペコ

息子と丁度パスタ食べにでかけようと思ってたところ

さすが家族というのか見えない力で繋がってるのか

タイミングばっちり!

「じゃむかえにいくよ!」

おっさんは嬉しかった!

甘えるのが上手ではない長女

家を出てからたまにしか会えないが

おっさんを気にかけてくれるだけで満足だ

パスタを食べながらお嬢の仕事の話を

きいたり何気ない会話が楽しかった

娘の成長を感じで嬉しかった

でもなんだか疲れてる感じがした

「毎日同じことの繰り返しで嫌になるよね・・・」

お嬢の弱音に俺は必死にアドバイス

「たまには弾けないかんよ!」

「バカ騒ぎしてさ」

「カラオケいったり酒飲みいったり」

「ストレス発散せんとあかんぞ!!」

「たまには自分にご褒美せな!」

お嬢はそんなんわかってるって感じで

でもやっぱり休みの日何もせずゴロゴロしてしまうようだ

食事も終わりお嬢がいった!

「パパチョコ失敗しちゃった。」

そういってわたされたタッパー

幼い頃からお菓子作りが好きで

よく一緒につくったものだ

毎年手作りのチョコレートを作って

かわいく包装してプレゼントしてくれていた

「ごめんね」

「きれいに包装とかやってなくて」

疲れてるな

完全に

このコンクリートジャングルで

生存競争の中で

社会人の苦しみと戦ってるんだなって

俺は疲れてるお嬢が

一生懸命俺のために作ってくれた

その情景が浮かびうれしくて泣きそうになった

「ありがとう!」

「家帰ったら食べるよ!」

妻からもらったGODIVAのチョコより

タッパーの中アルミホイルで包まれた

不格好な生チョコにこもった思いが

最高に甘くて最高にうまくて

最高にうれしくて

最高にぐちゃぐちゃだったが

最高なバレンタインチョコだ

真面目すぎるお嬢だからこそ

失敗が許せないお嬢だからこそ

仕事に一生懸命だが

たまには力をぬいてゆっくりしてもらいたいと思った

完璧主義みたいなところが昔からあったが

失敗したチョコレートは愛でいっぱいだった

おっさんは最高にうれしかった

今年のバレンタインもチョコ3つ??

あれ??

あれれ??

ちびお嬢からチョコレートもらってないんだが・・・

次女からはまったく相手にされないおっさんであった><





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