№25 休日 ~十人十色~
土・日は休日だが、5学寮だけは、美術の授業があった。でも俺はこの授業が大好きだった。美術の先生は、かなり変わってる人で、テーマはなく好きなものを描かしてくれた。その代わり絵の具は赤・青・黄・白しか使用させず、色を自分で考えて作れって感じだった・・・。寮生は、女の裸体や、改造したバイク・注射を打つ人等、様々な絵を描いていた。少年院に入りたての少年の書く絵は、だいたい色が黒だったり、全体的に暗かったり、病んだ絵を描くらしいのだが、俺はとても奇麗なカラフルな色を使った花の絵を描いた・・・。その為、先生は驚き、また、俺の絵のタッチに惚れ様々な有名な画家の模写をさせるようになった・・・。唯一俺が認められた才能であり、とても嬉しかった。先生は美術大学の現役の先生らしくて、自分の大学で俺達の描いた絵を展示した事もあった。俺の絵にも沢山の感想が来ていて嬉しかったが、やっぱり少年院と言うイメージはかなり悪い事を知った・・・。先生の気に入った絵は5学の玄関の廊下に飾られていた。俺の絵はよく飾られる事が多かった・・・。美術の先生は教科書通りに教える事を嫌った・・・。「テーマにあってないから書き直せ!!」「色の使い方が悪い!!」そんな事は一度も言わなかった・・・。先生曰く、「落書きも立派なアートだ!!」「落書きを注意された時点でそいつの才能は枯れる・・・。」
ろくでもないおっさんですが障害のある息子のために使わせていただきます。