プレAスタートアップの資金調達PRのリアル(プレスリリース×WEB接客)
株式会社ジェイタマズの小池です。
「アポイントを取らずにその場で商談する」のOPTEMO(オプテモ)というWEB接客ツールを行っており、「WEBサイト上で企業と顧客が気軽に話す」というWEB体験ができるものを進めています。
2022年11月にプレAでの資金調達のプレスリリースを出させていただきました!11月よりサービスをリリースしたため、資金調達と一緒にプレスリリースさせていただきました。
さらにさらに、東北大学データ駆動科学・AI教育研究センターと進めている共同研究についてもプレスリリースの中で発表させていただきました。
今回はプレAの資金調達でどんなことをやっていたか、そしてその結果がどうであったかを共有したいと思います!
これからプレスリリースを出していこうというスタートアップやアーリーフェーズの起業家にとって、一つの例として参考になると嬉しいです!
ちなみに、シードの時のプレスリリースで行ったこと、結果はこちらにまとめています。
もっといい結果を皆さん出していただき、そのノウハウをGiveし合えると嬉しいです。
ジェイタマズの前提条件
プレスリリースを出すにあたって、どんな状況であるか、どんな内容であるのかによって施策が変わります。ジェイタマズの状況はこんな感じの状況でした。
累計2億円の資金調達自体は昨今で珍しいわけではない
BtoBのSaaSのため、話題になりにくい
ジェイタマズはキラキラよりも「根が真面目な人」が多い
メンバーは6人で、リソースが潤沢にあるわけではない
プレスリリースのための予算には限界がある
すごく良い投資家に恵まれている
プロダクトがすごく面白いけど、伝わりにくい
すなわち、「限られた(人的、資本的)リソースの中で、話題になりにくい内容でなんとか形にする」が求められている状況でした。
十億円オーダーや百億円オーダーの資金調達がある中で、累計2億円の調達をどうやってプレスリリースするか、すごく悩みポイントでした。(調達額が全てではないですが、金額が大きいほど話題になりやすいと思っています。)
プレスリリースの設計
目標設定
「話題になってテレビやメディアにバンバン出る」なんて目標設定をすると破綻してしまいます。
だからこそ今回のプレスリリースでは「狭く深く大作戦」と銘打って「広く話題にならないかもしれないけど、伝えたい人に伝わる」をコンセプトとして進めました。
そこで、「新規問い合わせ」と「採用」の2つに目標を絞り、この2つをどう実現するかを考えました。
新規問い合わせ:ISマネージャーにOPTEMOを知ってワクワクしてもらう
(=10件問い合わせ)採用:わくわくするジェイタマズを知ってもらって採用する
(=最終面接レベルの方3人と出会う)
目標は決めましたが、メンバー全員で目線を合わせるために、ターゲットとなる人の人物像としてペルソナを定義しました。
目標1:新規問い合わせのターゲット
目標2:採用のターゲット
仕掛けの設計
コンセプト、ターゲット、目標は決まったため、その目標を達成する仕掛けが必要になります。基本に立ち返ってAIDMA(アイドマ)のフレームワークを今回を活用して、それぞれ仕掛けを入れていくことにしました。
Attention:気づく
気づいていただくことが一番大変なことになり、そもそもプレスリリース自体を見ていただくこと自体が難しいです。
仕掛けとしては、下記の2つになるかと思います。
SNS(Twitter、facebook)
メディア
メディアに取り上げていただくハードルが本当に高く、己の力不足を実感します。ありがたいことに、千葉道場さんがプレスリリースに合わせて記事を作成していただきました。(全編後編)
さらに、KEPPLEさんが取材して記事を作成してくださいました。
Interest:興味を持つ
興味を持ってくれたらプレスリリースを見ていただくことができますが、単純にプレスリリースを見るだけでは「ふ~ん」で終わってしまう可能性もあるため、少しでも興味を持ってもらえるように、下記のコンテンツを入れました。
累計2億円資金調達
正式にサービスイン
東北大学データ駆動科学・AI教育研究センターとの共同研究
「期待されていて、ここから始まり、これからも楽しそう」でワクワクしてもらえると良いなと思い、コンテンツを作りました。
本来のプレスリリースは1コンテンツに絞ったほうが良いかと思います。しかし、今回は「ターゲットに伝わる」だけを目標としたため、3つのコンテンツを入れました。
そして、次のDesireに繋がるよう、プレスリリースで出口を用意しました。
Desire:欲しいと思う
ジェイタマズのOPTEMOを使うと、「WEBサイト上でワンクリックするとすぐに音声でコミュニケーションができる」という特徴があります。
そこで、プレスリリースの出口として「OPTEMOを体験するページ」へ誘導しました。
実際にOPTEMOを体験してもらって「良いな!」と思ってもらうだけでなく、コミュニケーションを取ることで魅力を伝える機会を作りたいなという意図でした。
OPTEMOでコミュニケーションを取ると、社名、お名前、メールアドレスといった連絡先をもらいやすくなるため、体験ページでの出口は「詳細資料を送る」としつつ、商談アポまで行ける方は商談アポまで確定することにしました。(目標1の新規問い合わせに関してはここでOKです。)
目標2の採用については、「ジェイタマズメンバーとのカジュアル面談をWEBサイト上で行う」という企画を行いました。
各メンバー毎に紹介ページを用意して、そのページ上でそのままそのメンバーとコミュニケーションが取れるようにしました。
Memory:記憶する
ここからは通常のアプローチと一緒で、商談を予定している人と商談を行いつつ、資料を送った人には追メールなどでアプローチします。
採用候補者に対しては選考へ進んでもらえるように資料や情報を共有していきます。
Action:実行する
最終的に、目標2の採用に向けて応募してもらおうという流れです。
改めてAIDMAのフレームワークで考えると、プレAのスタートアップは「Attention」がいかに大事かということを実感しました。
プレスリリースの準備
さぁ、ベンチマークだ!
各施策を行うにあたって、やっぱりベンチマークは非常に重要となりますので、諸先輩方のnoteをじっくり読ませていただきました。
YOUTRUSTさんのnote
カウシェさんのnote
PharmaXさんのnote
M&Aクラウドさんのnote
皆さんすごいです!!
ベンチマークしてわかったことは、皆さんのやり切る力の強さだなと感じました!
人脈なし、リソースなし、予算なしの我々も気合を入れようと勇気づけられます。
諸先輩方のノウハウを活かして、準備をしたいと思います!
写真撮影だ!
写真撮影は前回のプレスリリースでもお願いした藤森さん(https://twitter.com/yuhki_fujimori)にお願いしました!
今回も素晴らしい写真を撮影いただき、本当に有難いなと思います!前回同様、どういうカットで撮影するのかを予め考えつつ、当日の雰囲気に合わせて遊びを作るという流れにしました。
シードから出資いただいた投資家の方は「まさか今回も?」となったかと思いますが、今回も投資家の方々に跳ねていただき、楽しく写真撮影しました!
改めて、お忙しい中で写真撮影のために時間を割いていただき、投資家の皆さんには本当に感謝申し上げます!
プレスリリース文面
プレスリリース文面も非常に悩みました。
「大体同じような構成のものが多いな」とここ最近自分が感じていました。集合写真に調達概要、コメントした後に会社の紹介・・・
構成自体は悪くないですが、この構成だけでは目標を達成できないと感じたため、AIDMAの「Interest」に位置付け、いかにDesireへ持って行けるかという構成に変更しました。
そこで、プレスリリースの出口として「WEBページ上で話をしてみよう」と思っていただけるようにしました。
プレスリリースは「ジェイタマズとの最初の出会い」になると思っています。
だからこそ、「読むだけのプレスリリース」ではなく、「よりインタラクティブなプレスリリース」にしていこうと思いました。
インタラクティブなプレスリリースにするためには、OPTEMOがしっかり活用できます。
プレスリリースを読んで終わりではなく、そのままWEBサイト上でコミュニケーションしてもらうという体験設計にしました。
もちろん、他のスタートアップのプレスリリースはベンチマークしていました。
個人的には、oViceさんのプレスリリースは非常に面白いなぁと感じました。
プレスリリースの2週間後にoVice上でイベントを企画して、イベントへ誘導していくという体験設計、すごく参考になりました!
しかも、oViceでのイベントの前に「コクヨとの業務提携」などのトピックスを入れることで、自社に対してワクワクしてもらうという流れもベンチマークさせていただきました!
SNS
SNSは主にTwitterとfacebookを主戦場として捉えましたが、最近のプレスリリースで2通りにスタートアップがわかれていることがわかりました。
パターン1:1人(ほとんど代表)のツイートに「いいね」や「引用リツイート」を集めて話題を集約する(話題のツイートにしてタイムラインに出やすくする)
パターン2:みんなでガンガン投稿、リツイートして拡散する
ジェイタマズの場合、人数が少なく、1人1人のアカウントも強いわけではないため、パターン1の方が合理的だと思います。パターン2にすると分散してしまう一方で、1人1人の拡散力が弱いためです。
しかし、この部分は小池がわがままを言ってパターン2にしました。資金調達やサービスインは小池の成果ではないため、メンバーも含めて関わる全ての人が自ら思いを発信してほしいという想いです。
ちなみに、共同創業者の坂本さんの調査はすごいなと感じました。
写真は一例ですが、他の会社のプレスリリースでのツイート状況を職種ごとに時系列で出し、「成功している会社がどうやって設計しているのか?」を調べていました。ちなみに、各セルにtweetへのリンクがあり、参照することもできて、メディア記事が出た日時も書いてあったりします。
tweet内容についてもベンチマークさせていただきました。
一例として、パートナーサクセスの永田さんもベンチマークさせていただきました(いつも背中を追っています!)。それぞれのメンバーがどんな内容でツイートしているのかを調べさせていただきました。
ベンチマークができたら、スケジュールを決めて文面作成です。
スケジュールも分単位でどんな内容をいつ、だれが投稿するかを決めながら行いました。
メンバーも主体的に動いてくれたため、文面も作成し、予約投稿も完了しました!
SNSは共同創業者の坂本さんと中浜さんに主導してもらいましたが、このあたりの準備の仕方、すごくジェイタマズらしいなと思います笑
いざ、プレスリリース!
そうこうしてプレスリリース当日を迎えました。
前回のシードのプレスリリースの時は時流的に「PRtimesで上位に行ける」と思っていました。しかし今回はかなり厳しいと思っていたため、目標を絞り込みました。
予想は当たり、「今話題」で10位までは食い込みましたが、それ以上は厳しかったです。
一方で、意外なことに、投資家や事業企画の担当にとって必須ツールであるINITIALでのアクセスランキングで1位になっていました。
そして何より、今回のプレスリリースは目標を「ターゲットからの新規問い合わせ10件」と「採用」の2つであったため、「WEBサイト上でいかに会話できるか」が勝負になります。
蓋を開けてみると、すごかったです笑
何がすごかったかというと、「エンジニアがガンガンOPTEMOで問い合わせを獲得する」という現象が起きました。ビジネスサイドのメンバーよりも、開発サイドのメンバーのほうがOPTEMOでの接客で問い合わせを取りました。
普段営業はすることのないエンジニアメンバーがOPTEMOでガンガン問い合わせを取りました(すごい)。
エンジニアの対応が早すぎて、他のメンバーが接客できない現象が続きました。笑
全メンバーがOPTEMOを使って対応できるように準備はしていましたが、全員仕事の合間に行うため、接客数自体は分散するかなと予想していました。
結果的にはエンジニアの反応が早すぎて、ほとんどエンジニアメンバーが対応していました。
そしてCV(コンバージョン)までガンガン持って行くという展開でした。
こんな連絡がSlack上にドンドン流れていく感じでした。
導線としても成功しました。
プレスリリースを見て「ちょっと話してみようかな」と思っている方がWEBサイトへ来る。そしてWEBサイト上でそのまま音声会話をして問い合わせに至る。
良い流れでした!
OPTEMOは「マーケの施策とセットにするとさらに効果的になる」と思っていましたが、ここまで効果的だとは思いませんでした。
通常の問い合わせも獲得し、OPTEMOでも問い合わせを取るという2つの導線ができたことで、お客様に合わせたコミュニケーションができました。
ちなみに、OPTEMO:問合せフォーム=4:6の割合でした。
結果的にどうだったか?
結果の概要
主にプレスリリースから3日間だけの結果を有効として集計した結果、下記のようになりました。
【PRtimes】
・PV:4,481
・いいね:111
【WEB】
・PV:4,112
・セッション:1,116
・CV総数:49
【Twitter】
・インプレッション:36,556
・いいね:674
・リンククリック:385
・リツイート:122
・引用RT:13
【facebook】
・いいね:387
・コメント:88
・シェア:10
良かったこと
今回良かったことがたくさんありました。
1.AIDMAのフレームワークで進め、何が足りていないのか、どういう体験をしてもらうのかが明確になった
フレームワークをベースに進め、それぞれで何をすべきか、どういう体験をしてもらうかを設計しやすかったため、良い導線を作ることができました。
新規問い合わせ10件という当初の目標についても、OPTEMOの接客だけで10件を超え、目標を達成することができました。
2.OPTEMOを使う人は「ベテラン」じゃなくてもいいことを自社で実証できた
OPTEMOの導入時によく「ベテランの営業マンかインサイドセールスじゃないと対応できないのでは?」と言われます。しかし、今回一番コンバージョンを取ったのはエンジニアでした。(ちなみに2位もエンジニアでした。)
OPTEMOを使ったWEB接客は手練れのインサイドセールスではなくても十分に対応できることを確認できてよかったです。
3.OPTEMOは仕事の合間で十分WEB接客が出来る事を自社で実証できた
ビジネスサイドもエンジニアサイドも、全メンバーが仕事をしながら対応しましたが、十分に対応出来ました。これもOPTEMOでよく懸念されることですが、「ずっと誰かが張っていないとだめなのでは?」に対して、「仕事の合間で使うことができる」を自社で実証することができました。
4.OPTEMOはマーケの施策と組み合わせるとさらに効果的になる
ジェイタマズのWEBサイト自体は普段全然アクセスが多くないです。しかし、今回マーケ施策として導線を設計することで、普段以上にOPTEMOで接客し、多くのコンバージョンができました。
5.改善点をいっぱい洗い出せた
エンジニアメンバーがOPTEMOで実際に接客するのは初めてでしたが、実際に使うとわかる「これを改善したい!」が50個近くリストアップできました。これによって、OPTEMO自体がさらに進化することを確信できました。
6.メンバーに恵まれているなと実感した
ジェイタマズのメンバーは本当にいいメンバーだなと感じました。小池は「やるなら思い切りやろう!」という考え方ですが、メンバーも同様で「やるなら思い切りやろう」というカルチャーがあります。だからこそ、企画、準備、実行、そして振り返りまで全力で進めていけました。
反省点
まだまだ反省点はいっぱいあります。
珍しくない調達のニュース、かつBtoBという中でもっとAttentionは取れたと思っています。各メディアさんとのリレーションや、仕掛けももっとできると思っています。
このあたりは今回の反省を活かして、さらに進化していきたいと思っています。
他にもOPTEMOで接客した後の後追いの導線はもっときれいに標準化できたなと思いますし、プレスリリース自体を「点」ではなく「線」の施策として行うこともできたなと感じています。
また、目標2の採用については、「最終面接レベルの方3人とカジュアル面談する」が目標でしたが、結果的に最終面接レベルの方が1人だったため、改善の余地があると思っています。
やってみてどうだったか?
最終的に改めてやってよかったなと感じています。
スタートアップによる資金調達のプレスリリース自体は珍しくないため、単純にプレスリリースを打つだけでは目標を達成できない時流だと感じています。
だからこそ、「今のリソース、状況の中でできる事を最大限行う」ということが大事だったと感じており、少し工夫するだけで大きく変わると感じています。
そして、自社プロダクトですが、OPTEMOとプレスリリースは相性いいなということも分かったため、非常に良かったです。
ジェイタマズってどんな会社?
株式会社ジェイタマズは、「アポイントを取らずにその場で商談する」OPTEMO(オプテモ)を行っています。
プロダクトが本当に面白いです。
まだ体験していないインサイドセールスの方は是非一度デモさせていただきたいです!
本当に面白いです。
導入事例はこちらから
また、採用にものすごく力を入れています!
一緒に会社を創るメンバーを募集していますので、是非お気軽にご連絡いただけるとありがたいです!!
エンジニアはもちろん、ビジネスサイドも両方とも熱く募集しています!オープンポジションもOKなので、まずはお話させていただけると嬉しいです!
ちなみに、採用ページでは各メンバーページを用意していますが、各メンバーページでもWEBサイト上でそのままカジュアル面談ができます。
これからも頑張っていきます!!