まこと
母が買ってきてくれた3尾のうちの1匹の鰯に
まこと
という名をつけた
3尾共
違う顔と体つきをしていて
私は泣きそうになり
思わず手を合わせた
どうして
命を奪わないと
動物は
人は
生きていけないのか
苦しかった
塩をふり
まことを焼いた
ジュージューと焼けたまことを
手を合わせて
長いお祈りをして
いただいた
小骨も内臓も
太い骨を残して
全部食べた
頭もしゃぶった
昔
ねむの木学園のカレンダーで
お空を泳ぐお魚
という題の絵があって
私は自分の部屋の扉に
ずっとその絵を貼っていた
まことが
天国で飢えも苦しみもなく
お空を泳ぐことを祈った
私は
自分が幼い頃から
食べてきた何万もの命を思った
みんな、君の中で共に生きているんだよ
と声が聞こえた
まことのことも
じきに忘れてしまう
でも
命に何度でも
名前をつけよう
生まれた時から
人はたくさんの命に支えられている
ひとりぼっちじゃない
まことを思い
私は涙を流す
ごめんなさい
ありがとうございます
と
何度でも
何度でも
何度でも