つかれた日には
つかれた時は本屋さんへ行く。嫌なことがあった日、全然ツイてない日、もう動けなくて、何も考えられなくなった日。買いたい本がひとつもない日でも行く。
本の存在はあたたかい。冷たい日も言葉ひとつで心が温まるし、嫌なことがあっても本の世界に入ってしまえば忘れられる。本屋さんに足を踏み入れた途端、紙のにおいがわたし全体を包み込んでくれる。お店に身体を預けるような感覚が、まるで本の一部になった気にさせてくれるのだ。ここなら私を無条件に受け入れてくれるし、新刊コーナーでその日に入荷した本も見ることができる。たまに本の配置が変わっていたり、書店員さんが書いた手書きPOPを見つけると嬉しくなる。失うものはひとつもない。誰にも邪魔されない、わたしだけのパワーチャージスポット。どれだけ辛い日があったとしても、私にはずっと本屋さんが待ってくれていると思えば少し頑張れるし、ご褒美に何か一冊買おうかなと考えるだけでワクワクする。
さて、一つ誤ったことを述べてしまったことにお気付きだろうか。失うものはひとつもないと述べたのは間違いだ。本屋に行くと、お財布が軽くなることは言うまでもない。