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きみの色

映画は苦手、

暗いところが苦手だから

大きい音が苦手だから


じっとしてるのが苦手だから


でも、たまに人に誘われて見に行く、今回もそう

隣に安心できる人がいてくれたら楽しめる、ときもある




『きみの色』

スタジオに向かう乗り換えの駅に大きいポスターがあるから何となく名前だけ知っててギター弾いてるから何となく興味があった、くらいで

予備知識なく見に行った







青春物語のわたしのイメージは、多感で繊細な思春期の少年少女が誰かと衝突して、傷ついて、成長して大人になっていく、みたいなイメージがあった

その感情の起伏を描く作品が多いと思う
確かに衝突の原因は色んなところにあって、男女の関係とか、親との不仲とか、校則、とか、、、
後は、人の色が見える、という他人と違う部分、




「理解」がテーマだったように思う


トツ子ときみの関係性が素敵だった
トツ子は退学したきみに、退学した理由を無理に聞かなかった
不意に日常の中で、ちゃんと聞いてなかったら取りこぼしてしまいそうなほど自然に退学した理由を話すけれど、そこには衝突では描けない、暖かみがあったと思う

ルイが島を出て遠くの大学へ通うと伝えるときもそう
これが意味することは、バンドの解散
トツ子ときみはそれを暖かく受け入れた
すぐ会えるよと躊躇いなく言葉にしていた



彼らは自分がついた嘘で誰かに迷惑をかけながらも自分のやりたいことをやっている
衝突をしなくても、暖かく受け入れることができる


それぞれが自分にとって大切で繊細な問題を抱えているから、それを誰かに伝える難しさも苦しさも知っている
その別れは普遍的かもしれないし、時間が経ったら苦しさは忘れる、新しい出会いがきっとある

登場人物の心を繊細に描いているからこそ、衝突がなくても青春の、思春期の苦悩が見えた

衝突しなくとも理解し合えていたから


必要なのは、物語もとい感情の起伏ではなくみんながみんなを理解しあって抱きしめ合う暖かさ

先生、家族、友達、学校の人全員から暖かい心が感じられて、わたしまでとてもふわふわした優しい気持ちになった


最後には乗り越えられた!みたいなストーリーではなかったけれど、等身大だった気がする



曖昧な描写が多々あった


きみが学校を辞めた理由、きみがルイに惹かれている?理由、ルイの苦悩の深い部分、バレエをやってたのもあんまり繋がらなかった


きみが退学したのをおばあちゃんに隠してたのを歌詞に、とか、ルイがお母さんに隠れて音楽活動してるのが後ろめたい、とかわからないところも多かった



色が見える、ということももっと詳しく知りたかった

自分で想像してみてもいいのかな、と思う

わたしは、人に色が対応する、というのはわからないけど何となく惹かれる人はたまにいる
そういうものなのかな、と解釈した
きみに青色、ルイに緑色を当てはめたように、この人の雰囲気素敵だな気になる、となることがあるからそれと似たようなものなのかも






多分人並みにものを考えたり、悩んだりすることはある、と思う

聖書からの“変えられないものを受け入れる心の平穏を与えて下さい。変えることのできるものを変える勇気を与えて下さい。そして、変えることのできるものとできないものを見分ける賢さを与えて下さい。“という言葉がすごく響いた


宗教は特に信じていないけれど、ある程度歳を重ねてから響く言葉に出会う機会は減っていたからそれだけでも嬉しいことだったと思う






今となれば不思議に思うほど、中高生の頃は学校の中での出来事や人間関係が全てのように感じ、いかにしてそこからはみ出さないようにと頑張っていたことを思い出した

レールから外れて死ぬしかないと思ったことも懐かしい



その頃は一歩踏み出すことはとても勇気のいることで先生のようにそれぞれの選択をとても価値のあるものとして捉えて、手を差し伸べてくれる大人は本当に稀有でありがたい存在なんだと再認識した


今度はわたしが手を差し伸べられるような存在になりたい

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