人間標本 四原色の世界
私の生活は近頃怠惰だ。
以前の自分を取り戻すきっかけになるかと思い、図書館に行き本を物色する。目に留まったのは湊かなえの「人間標本」。
私は湊かなえの「告白」を気に入っていたこともあり本を手に取り貸出手続きを済ませた。
早速、本の見返しをめくってみると口絵があった。1人1項、6人の少年が標本のように四肢を伸ばし描かれている。(絵によっては四肢の一部がない物もいた)この口絵を見て「人間標本」とは言葉の通りの意味合いなのだと理解した。
少年時代に蝶が見ている世界を絵にした主人公の榊 史郎はそれを背景に蝶の標本を作製した。(蝶は人間には見えない紫外線も見えているので、普通とは違う色彩になるのだとか)のちに同年の少女一ノ瀬 留美にその標本を譲ったことが始まりだった。
一ノ瀬 留美は色彩の魔術師という異名を持つ画家になり、他の人とは違う色彩を観ることができる強みを活かし色の洪水とも呼ばれるほどの鮮やかな絵を描いていた。また榊 史郎は蝶の分野においては権威と呼ばれ、教授になっている。
2人の再開で事件は起こる。
イヤミスの女王と呼ばれるだけあって終わり方は印象深く。残酷でした。
榊 史郎の息子 至。彼の性格は父親似だったのかな…。
一気に読める一冊でした。