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古きとも 箪笥の奥の バーバリーコート(思い出語り)

(古きとも 箪笥の奥の バーバリーコート) 

親から買ってもらったもの
それはもちろん数知れずですが

自分が成長し社会人になり
自分のものは自分で買うようになり、
買ってもらう機会はグッと減りました

それに、これまでもらったものも経年劣化や引っ越しで
なくなっていく一方

親が亡くなってからかなりの年数が経ちますが
今残っているのは父が買ってくれた
洋服とコート1着ずつになりました

そのコート
バーバリーのトレンチコートです
これはうん十年の長いお付き合い

大学生の時、父と海外旅行に行って買ってもらいました
イギリスのバーバリーショップで

買ってもらった時は、
私は正直乗り気ではありませんでした
というのも、当時私はかなり太っており、
7〜9号サイズが主流の地元のショップで門前払いが多かったから
(お恥ずかしながら地元にはまだユニクロや
GAP,ZARAなんてなかった時代でしたので…)

そうなるとおしゃれにもブランドにも関心がなくなり…
ブランドなんて軽々しい、そういう根拠のない思い込みをこじつけるようになり、、
バーバリーの価値など全くわかっていませんでした

それでも父は、定番のトレンチコートを手に取り
「1着でいい、持っておきなさい。一生物。絶対長持ちするから。」
半ば強引に私にそれを試着させて買ってくれました

帰国後、大学の授業でそのコートを着て行った時のこと
友人に
「なんか、そのコート、ダサくない?」
「年寄りくさい」
と言われ…
恥ずかしくて箪笥の奥にしまいました

今思えば、大学生がバーバリーのコートを着るのは
周りでもあまりいなかったからかも知れないです

月日は流れ、社会人になりそのコートの存在すらわすれ

その後、しばらくして、資格を取るため会計学校に通いました
そこで知り合った友人が紺のトレンチコートを手に持っていました

あれ?見た覚えがある生地と作り…

「ねえ、それバーバリーじゃない?しかもかなりクラシック。年代物じゃない?」
そう、友人にそう話すと
「あら?よくわかったわね。祖父の形見なの。」
「お祖父様の?ちょっと大きくない?」
「少しね。でも、物持ち良くていいの。祖父が着ているころからいいなあとずっと思って。亡くなった時に形見分けしてもらったの。気に入っているのよ。」

派手さはないけど、目に止まる何かがある
コートの持つ重厚感に惹かれました

そしてふと思い出したあのコート…
家に帰り、慌てて箪笥の中を探しました
出てきたトレンチコート
しっかり健在でした

”ようやく気がついてくれたのね”

まるでコートが話しかけるよう

色はベージュだし、友人の持つコートほどクラシックではないけれど
そうこれ、この重厚感、これがバーバリーのコート

10年以上ぶりに手に取ったコートがなんだかしっくりきました

あの時、無理矢理でも買ってくれた父に感謝

ただ、その時はもう父はこの世にはいませんでした…

それ以来、このコートを着る機会が増えました

残念ながら、真冬に着るには薄くて、春先や秋口には暑い
このコートを着るにちょうど良い時節を探すのは難しく、
年によっては数日だったりもします

でも、歳を重ねるごとにしっくりくるこのコート
11月の急に寒くなる今の季節しっかりきています

このコートに相応しく
自分の年齢が追いついているのかも知れません

一歩ずつ一歩ずつ

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