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きらいじゃない街

ある日昼過ぎの定食屋にて。
おんなのこ2人が喋っていた。
聞き耳を立てるつもりはないし振り返るのも失礼。
が、あまりに大きな声なので嫌でも耳に入ってきた。
 
「ファンデーション塗るのも勿体ないからもうプチプラでいいなーって思ってて」
「ドンキで「なめらか本舗」買ってるー。安いからガンガン使える」
「あれいいよね。高いの買っても金の無駄って感じ」
 
振り向かずにいたが、あまりにあまりな内容がどんどん耳に入ってくる。
 
「ホント同伴とか嫌」
「わかる。超面倒くさいよね」
「なんでお金出して好かれてもいない女の子とご飯行きたいって思うのかな。
 私なら家で一人でカップラーメン食べる。意味がわからない。何その自己肯定感の高さ、って思う」
「わかるー!」
 
お客さん、聞いたら泣くで。
でも本音の本音なんだろう。
お酒を呑むでもなく、昼過ぎのなんてことない定食屋にて。
 
彼女らはひとしきり愚痴ってげらげら笑ったのち、ちょっと落ち着いて、しみじみと言いだした。
 
「ほんっと池袋嫌い。池袋が一番嫌い。日本の都市の中で一番嫌い」
「なくなればいいよね」
 
思わす吹き出してしまった。
 
「こんな街に出てきた自分が嫌」
「ホントー」
 
でも……。
 
「でも、なんだかんだで都会に出てきてよかったとは思うね。いろんなひとがいるしさ」
「そう思わないとやってらんないよねー」
 
なんだかちょっと泣きました。
 
 
 
 

「おちこんだりもしたけれど、私はげんきです」(ジブリ)とか。
「僕に踏まれた町と僕が踏まれた町」(中島らも)とか。いろんなことが頭に浮かんで。
「この街が好き」とか軽々しいキャッチコピーじゃあらわせられないな、って。

 タイトルは今おもいついた。
大好きなドラマ『アンナチュラル』で、
主人公の法医学者たちが自分たちの仕事を「7K」と言う。

きつい、汚い、臭い、給料安い、危険、気持ち悪い

最終回でオチとして言われる最後の1個は「きらいじゃない!」(と、同時に「クソが!」だ!)



◆◆◆
以下は、ちょろっとですがいつもの自己紹介 。
と、苦手なりにもSNSあれこれ紹介、連載などなどの紹介!!も。
よろしければお付き合い下さい🍑✨
ご縁がつながったりしたらとても嬉しい。
大阪の物書き、中村桃子と申します。 
構成作家/ライター/コラム・エッセイ/大衆芸能(旅芝居(大衆演劇)やストリップ)や大衆文化を追っています。
普段はラジオ番組の構成や資料やCM書きや、各種文章やキャッチコピーやら雑文業やらやってます。
現在、lifeworkたる原稿企画2本を進め中です。
舞台、演劇、古典芸能好き、からの、下町・大衆文化好き。酒場好き。いや、劇場が好き。人間に興味が尽きません。


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現在、関東の出版社・旅と思索社様のウェブマガジン「tabistory」様にて女2人の酒場巡りを連載中。最新話、13回と14回も先日公開されました。15回も今月中にアップ!かも!

と、あたらしい連載「Home」。
皆の大事な場所についての文章、も、ぼちぼちと。こっちも更新せなあかんなー。


旅芝居・大衆演劇関係では、各種ライティング業。文、キャッチコピー、映像などの企画・構成、各種文、台本、役者絡みの代筆から、DVDパッケージのキャッチコピーや文。あ、小道具の文とかも(笑)やってました。担当していたDVD付マガジン『演劇の友』は休刊ですが、アーカイブがYouTubeちゃんねるで公開中(貴重映像ばかりです。私は今回のアップにはかかわってないけど)

あなたとご縁がありますように。今後ともどうぞよろしくお願いします。

秋。体も気持ちもしんどくなりがちやけど。皆、無理せず、どうぞどうぞ、元気でね。

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