
すごい男たちの唄、或いはミッキーマウスの汗
先日、構成の仕事で関わっている懐メロ番組に、
三好鉄生の『すごい男の唄』のリクエストが来ました。
一昔前、サントリービールのCMで使われた歌です。
コピーライターの仲畑貴志さんが作詞した歌。
なんの内容もない歌だけど、
でもあの声と、
なぜだろう、哀愁みたいなものも私は感じます。
……のは、旅芝居で、ある座長が、
泣きながらこの替え歌を歌っていたのを忘れられないからかもしれません。
自劇団で行う最後の誕生日公演。
号泣しながら歌っていました。
自劇団を解散し、兄の劇団と合同となることを発表した後で。
「♪すごい男が居たもんだ、それはアニキの●●さん」
「♪アニキが1番! わたしは2番!」
爆笑しました。でも、グッときました。
ファンでもないし、はっきり言うと全く好みではない座長さんです。
でも、グッと来ながら、笑いました。
公演は昼の部だけで4時間を越えました。
内容も、はっきり言って自己満足甚だしかった!
観ているだけでバテました。
でも「本日の主役」は最後の挨拶では鬘を脱ぎ捨てて叫んでました。
「あー! 大入りなんてどうでもいーんだよー!」
忘れられない光景のひとつです。
それこそビールを呑みながら曲を聴き直したら泣くかもしれない。
私が、旅芝居・大衆演劇を、
本気で腹が立ちながらも愛しく思うのは、
こういった瞬間に出会えるからなのだと思います。
芝居が好き。物語が好き。
だから旅芝居で本気で最高だと思え満足いく芝居や舞踊に出会えたことがほとんどありません。
旅芝居は「生きていくことそのものの舞台」。
舞台へのこだわりはあれども、
お客さんを入れることや給料以外に己が稼ぐことが時に(いつも?)優先されることが多い。
特に、昨今の景気の悪さでは。
さらに、金だけじゃない、性もある。
いろんなことに、フラッと、もしくは、確信犯的に、ころっといくことはいっぱいある。
役者や劇団も、そして、お客さんも。
金や性、それ以外のさまざまなことでも、
生理的に受け入れられず吐き気がするようなこともたくさん目にしてきました。
自分も訳のわからない、理屈では言えないようなことに巻き込まれたりしましたし、
理不尽すぎて許せないことや、己もまた目の眩みから、
つっこんでいったこともありました。
笑えないことも、たぶん一生許せないこともいろいろ多々あります。
(それこそ訴えたら勝てるやろうことも(爆笑))
でもそんなことはともかく、
ともかくとは言いたくないけれど、
芝居が、舞踊が、舞台が最高なら……!!
でも「生活」というものはやはり難しくて、大変で、また「時代」というものの影響は大きすぎて。
生活に勝てるほどすげー舞台に出会ったことは、
やっぱり、正直、数えるほどしかないのです。ごめんやねんけど。
だから、いまだに、「行こう」と頭では思っても、足が靴を履いてくれないことが多々です。
仕事として行く際、観る際も、めちゃくちゃ気をやられます。
休刊中の雑誌のライティングに関わっていた時(※休刊といいながら、色々、しとりますが(笑))は、
編集長と共にずっと煎餅をはじめ何かを食べ続け食べまくりながらやっていました。
結果2人してめっちゃ太りました。今では笑い話です。
でも。でも。それでも。「生活」「生きていくことそのもの」だから。
だから、完璧じゃないけど、完璧じゃない事の方が多いけど、
怒りや失望やと共に、でもそれでも、愛しい。と、思いたい。し、思える。思えないけど、思える。
好き嫌いや主観を越えて、泣き笑いをしてしまう。マジで怒りながらも。
このnoteを始めたきっかけのひとつである
カテゴリー(マガジン)「旅芝居スケッチブック」には、
そんな、この世界だからこその笑い泣きな光景を書いてきました。
でも、やっぱ……。
旅芝居を好きな人は、≪そういうの≫、みてみぬふりをしたいのかなあ?
求めているのは……
自分の好きな役者の写真や劇団の舞台写真に、今日何を踊ったかのレポ。
または自分が行く日になんの芝居やショーが演じられるかという予定。
そして、舞台の上だけを切り取ったきれいな評論や論考(てゆーかネタバレってどうよ。私は大嫌い。何人たりとも新しい物語をまっさらな気持ちで楽しむ権利を奪われてはならないよね。あと、生きるすべの舞台だからこそSNSでのネタバレは考えたいと思うのですが)。
滲み漏れて見える生活や生きることそのものを見て見ぬふりして、
いや、「浄水器で濾過して」書いた論考・評論。
そのほとんどは、謎の断定口調でいながら、間違っていたりすることも多く、なのに、恐ろしいほどに拡散されていることも多いのだけれど……。これはまた別の大きな問題として。
こういったものを「良い」と言った方が好きな役者や劇団にも嫌われないってのもある?
そりゃ、そうやろなー、うん。
業界や役者や劇団的には、そのほうがええよなー、いろんな意味でも。
旅芝居を知らない人にとっては、どっちにせよ、「マニアック」で、固定観念があり、興味がないよなー。
だからってその「知らない人」にただきれいごとだけで広めようとしても、
このあまりに人間すぎる厄介な世界はマジできれいごとだけじゃない、私はそんな無責任に軽い言い方では薦められない。
俗に「3年ルール」といって、何かのきっかけで3年はお熱で居られるけれど、「見えてくる」。
そこから離脱したり、深入りしたり、巻き込まれたりも多い。
あまりに欲と号が蠢きすぎている。そこが、おおきな意味で素敵なんだけど。
そう、とにかく「生」だから。嫌でも、嫌って言うほど「生」だから。
SNSでは、
やっぱそんな求められるような、
嘘でも「いいね」なことを書いていった方がいいよなあ。
と、近年特に思ったりもします。
うん、きっと絶対、そうなのだと思います。
でも、私は、やっぱり、「濾過」じゃなく、
この、とてつもない、「人間」な魅力を伝えたいなあ、です。
ただキレイな水面だけではなく、
すべて滲み、それゆえこんなに「におう」ものたちを。
泥まみれ(と、昔、某素敵に距離をおける人たちに笑われたこともある!)で追ってきたから、こそ。これからも泥まみれで。わはは。とほほ。
ま、だから、時間かかるんですけどね(笑)
「ミッキーマウスは世界で1人しかいないんだよ☆」それが「大人のお約束」。
だから、きっと、正しくて求められるのは、
ミッキーマウスのパレードでのこんな振り付けやあんな素敵なサービスを
綺麗な言葉で「いいね」をもらいやすそうな賢そうな言葉で書くこと。うん。
でも私は、ミッキーマウスの中の人の汗に泣きます。大人の世界だからこそ。
見ようとか暴こうとか暴露しようとかでなく、見えてしまい、その汗に笑い泣きします。「ミッキーは皆の心の中に居るんだよ☆」……はぁ?! あ、いやいや、うん、そうです、そうです(二度言う)。
時に芸術という言葉では言い表せないような、
時に観て見ぬふりをしたくなるほど「ゲンジツ」「生きていくこと」、
だからこそ、
ただの切り取りの「レポ」や、
いい距離感での「批評」だけでは言い表せない瞬間や出会いがあるように感じていて。
勿論、私が一面的かつ文章力が足りないせいもめっちゃあるのは自覚しています(笑)
でもってそれは、旅芝居だけじゃない。
私のスタンスというか、人間観のようなものは、たぶん、それ、そこなのかなー、とも思います。最近、めっちゃ、思います。
人や物事、
色々がうっとーしかったり、
怖かったりめんどうくさかったり気持ち悪かったり、
頭では思っていても体がついていかなかったり、
例えば好き嫌いでいうたら好きではなかったり、
でも、「でもそれでも」。
思いたいし思う。信じたいし信じる。
マジでばてたり病んだりすれども。
ただ絶賛や美辞麗句じゃなく、ことばに。
みたくないものもみてみぬふりしたくない、しない。
簡単に「自分とは違う」と完全に切り捨てたり差別したりはしたくないし、ちゃんと、みたい。
なかなかに難しかったりなかなかに出来ていなかったりも多すぎるけれども(笑)
やっぱぼちぼち観て、書いていかなあかんかなー、あかんなー。
あ、旅芝居もね(笑)昨年夏、「わしももう辞める」つったけど、マジで(笑)
やっぱ、需要ないかもやけど、長いLifeworkのひとつ、やねんなー。
こうして、「人間」をみて、考えさせてくれるものやねんなー。
と、三好鉄生を聴きながら、思ったりしました。
なにはともあれ、ビール、回しましょう。底まで呑んで、呑みすぎない程度に(笑)
って、なんでこんな記事出てきたんや。
やっぱ最近の何度目かの私的今村昌平とかポン・ジュノブームのせいか、いや、ハライチ岩井ブームのせいかな(笑)
今日も、笑いましょう。うん、皆で、ね。
◆omake1◆
ちなみに……
以前書いたブログ記事はこちらでした。
『すごい男たちの唄』-大衆演劇が好きな訳-
https://momo1122.at.webry.info/201309/article_1.html
◆omake2◆
旅芝居・大衆演劇界のコロナ含め、いろいろも、やはり気がかりです。
苦しいな。悔しいな。
で、以前書いた、読んでもおもろないし嫌がられるだけなのに長い文(笑)ももっかい置いておく。
あ、旅芝居関係でのお仕事告知も、今年?、ひとつ?、させて頂けるかなあ、です。
◆omake3◆
なんかちょっと前にも似た記事書いたなあ。
プロレスからの、言いたいこと同じ。
と、先日書いた、今村ブームの話(笑)
◆◆◆
以下、ちょいプロフィールと各種SNSなど。
【ブログ】 「桃花舞台」
【ツイッター】 https://twitter.com/momohanabutai
【インスタグラム】 https://www.instagram.com/momohanabutai/
【note】
マガシン、今んとこ、ざっくり4つ。
◆日記がわりのつぶやき帖
◆大好きな〝劇場〟と人と人たちのこと
◆旅芝居スケッチブック
◆読んだ本のことを自分のことと合わせて書く場所かな
【プロフィール】
ブログ「桃花舞台」、の【トップページ】にご挨拶など掲載しました。
パソコンから見ていただくと右端に簡単な経歴やこれまでの仕事など書いております。連絡先も。
大阪の物書きでございます。
大衆芸能(旅芝居(大衆演劇)やストリップ)や大衆文化を追っています。
下町・大衆文化も好きです。
女2人の立ち呑み旅、連載中。現在第8回(今月更新)まで更新中。
http://tabistory.jp/cat_story/cat_sakabawoman/
普段はラジオ番組やらCMやらの構成作家やライターです。
それぞれのSNS、フォローや、色々御反応、ご連絡など、
仲良くしてくれたら、とても嬉しく思います。いろんなご縁がありますように。
今後ともどうぞよろしくお願いします。
いいなと思ったら応援しよう!
