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歌とspiritualみと旅芝居と人間と

この夏近所の不幸事があり参列をした。
身内ではないが、近所の、ちょっとおっきなそれ。
式というか会というかが始まる前、皆が集まる中、
会館ではなく寺の前というか中ではBGMとして
皆がよく知る歌たちのオルゴールバージョンが流されていた。
わたしは気になって仕方がなかった。
選曲が。
「なるほど」「その曲、キター」
口には出さない。が、肚の中でいちいちツッコんでしまった。
 
縦の糸はあなた。
 
リッスントゥマイハートひとりじゃない。
 
想いが重なるその前に強く手を握ろう。
 
今逢いたいあなたに。
 
知らず知らず歩いてきた細く長いこの道。

信じたこの道を私はゆくから全ては心の決めたままに。
 
スピリチュアル?
 
茶化してません。
歌声じゃなく、オルゴールバージョンでのそれを
脳内で歌詞に変換してじっと聴いていたら、
ああ、なんか興味深いなあ、となった。
真剣に聞き入り、唸ってしまった。
 
出会い、愛、縁、絆、人生、道、旅。
 
テーマとして、
または歌詞にダイレクトにこれらの言葉が出てくる歌って、
せやから、だから、年齢性別時代を問わずに、好かれ、響くのだろう。
だから、こういった〝おおきな場〟〝人生の節目の場〟でも流されるのだろう。
 
もう一回言うけれど、唸ってしまったりすら、した。
 
これらの歌の歌詞は仏教っぽいというか、
いや、仏教だけじゃなく、
仏教がわかりやすいっていうか今回がそうだったからなんだけど、
他の宗教とかでも言われる言葉であったり、
つまりは仏教や哲学やのような〝ひろくおおきな〟テーマと言葉の歌詞で、
それが壮大な構成とメロディーラインで壮大な歌い方で歌われることで、
なんつうか、気持ちを掻き立てたり、落ち着かせたりするのだろうなあ、なんて。
 
個人的にはがりがりごりごりのロック派!
 
でも、こういったエモーショナルな歌詞とメロディーと歌い方の三位一体となった曲は、
だから、とてもわかりやすく、伝わりやすい。
だから、愛されるのだなあ使われやすいのだろうなあ、などと思った。
 
旅芝居の舞踊でもこれらの歌はテッパンソングでもある。
 
どんだけ下手な役者が踊ろうと、なんか、ちょっと感動空間にすらなったりする。時に異様な程に。
 
「それ、(たぶん)曲の力 > 役者の舞踊力だよ」って思うことが少なくない程に。
 
秋川雅史、MISIA、平井堅、さだまさし、絢香、
山は死にますか、私が生まれてきたわけは、翼をください、愛する人よすこやかに、俺の山河はうつくしいかと、糸。
 
スピリチュアル?
 
もしかしたら、客を発情させる装置としての歌の利用使用よりも、
これら壮大で〝スピみ〟ある歌の方が
役者的には、客席的にも、「あり」とか「おいしい(感動)」とかもあるかもしれないなあ。
 
なぁーんて、やっぱり、改めて、思ったり。
 
わたしは、旅芝居の場合だったら、
一にも二にも「ちゃんと踊る(踊れる)」曲と舞踊(を、ちゃんと曲に合った衣裳で)がよいです。
もうそれが無理だったら、無理やできないことも少なくなくなっている時代でもあるから、スピよりはロック派かな今夜はピタカゲ。
ま、そういう曲だとリズム的に、踊れない踊っていなくて真顔になってしまいますが、それでも、なんか、なんとなくね。


 *
以下は、
更にマニアな旅芝居・大衆演劇の舞踊ネタ。
笑ってお許し下さる方、お付き合い下さい。

旅芝居・大衆演劇の舞踊は、
私的には、いつも書くのですが、
芝居、セリフのない芝居だと思っています。
しっかり踊れるリズムの曲も、アテ振り用のメロディーの曲も含めて、どれもね。
歌詞がある、世界がある、つくったひとが居て、歌っているひとが居る。
それを「使って」、
他の誰でもなく役者が舞台で表現をするわけなのだから、
衣裳、振り、表現の仕方、伝え方があるわけで。
なのに現実的には「なんでその曲にその格好でその踊り方?」は少なくない。
 
しょうがない、と、共に、わるくない、だれも、なにも。いや、ほんとに。
その現状や理由も、直接訊いて、言って、「戦ってきた」中で(笑)嫌というほど見聞きしてきました。
 
日々違う曲違う衣装による舞踊を求められること。
劇場の楽屋やセンターの倉庫などの都合で
すべての荷物(衣裳)を出せるとは限らないし、
どのケースにどの衣裳が曲が、ってなると必ずしも理想通りにはいかないということ。
大きなお客さん(贔屓)が来る日はその人にいただいた衣裳やその人の好む曲を、
大きなお客さんのことじゃなくても、
日々お客さんを入れる、大入りを出すためには、やはり、
今のお客さんの多くが求める歌(今の歌)やキャーな歌を使ったりリクエストされたり、を、急に決めたり、とか、など、など、など。
 
って、それでもわたしはすべて「言い訳」だと思ってしまいますが(笑)
 
すこしまえの、
もうこの業界を辞めたけれど30年近く居て働いていた元役者の弁。
この人は「この曲にはこの衣装」「踊る時は意味や背景を調べる」「この土地で公演するからちなんだ曲を」などを考えて振付し、踊っていた人でした。
はっきりと言った。言い切った。教えてくれた。
「俺みたいのは少数派」
えー。
「居ないよ。歌詞の世界を踊ろう、意味を理解して踊ろうなんて、ほとんど。
というより、そんな〝演出家脳〟のある人がほとんどいないんやろな」
 
そうかー、「演出家脳」かー。
と、いろいろ腑に落ちました。

この人も元は演劇や劇団の出というのも、あるんやろう。

それも、これも、あれも、ぜんぶ、旅芝居。
いいとかわるいとかじゃなくて、
好きとか嫌いはあれど、
それも、これも、あれも、ぜんぶ、旅芝居なんやねえ。
 

たまに出てくるこういう記事。
ちょいと前のものも合わせてよろしければ。

 *
そしてよろしくお願いします。

◆◆◆
以下は、すこしだけ自己紹介 。よろしければお付き合い下さい。

構成作家/ライター/コラム・エッセイスト
中村桃子(桃花舞台)と申します。
大衆芸能、
旅芝居(大衆演劇)や、
今はストリップ🦋♥とストリップ劇場に魅了される物書きです。

普段はラジオ番組構成や資料やCM書き、
各種文章やキャッチコピーなど、やっています。

劇場が好き。人間に興味が尽きません。

舞台鑑賞(歌舞伎、ミュージカル、新感線、小劇場、演芸、プロレス)と、
学生時代の劇団活動(作・演出/制作/役者)、
本を読むことと書くことで生きてきました。

某劇団の音楽監督、
亡き関西の喜劇作家、
大阪を愛するエッセイストに師事し、
大阪の制作会社兼広告代理店勤務を経て、フリー。

詳しいプロフィールや経歴やご挨拶は以下のBlogのトップページから。
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lifeworkたる原稿企画(書籍化)2本を進め中。
その顔見世と筋トレを兼ねての1日1色々note「桃花舞台」を更新中です。
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5月1日から東京・湯島の本屋「出発点」で2箱古本屋、やってます。

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旅と思索社様のWebマガジン「tabistory」では2種類の連載中。
酒場話「心はだか、ぴったんこ」(現在19話🆕!!)と
大事な場所の話「Home」(現在、番外編を入れて4話)です。

旅芝居・大衆演劇関係でも、各種ライティング業をずっとやってきました。
文、キャッチコピー、映像などの企画・構成、各種文、台本、
役者絡みの代筆から、DVDパッケージのキャッチコピーや文。
担当していたDVD付マガジン『演劇の友』は休刊ですが、
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