黒 『夜露がたり』(砂原浩太朗)が凄い
表紙と装丁の元となっているのは広重の「両国花火」。
でも花火も屋形船も切り落とされている。
ただ黒洞々たる夜の橋があるばかりだ。
と、羅生門の最後の一行なぞもじりたくなったのは、その内容故かもしれない。
手にするとずっしりと重く感じるのは、
タイトルと帯に書かれた宣伝文の力もきっとある。
『夜露がたり』(砂原浩太朗・新潮社)
目次をみると全8篇、
それぞれのタイトルからも滲みが漏れ、否が応でも期待は膨らむ。
「帰ってきた」「向こうがわ」「死んでくれ」「さざなみ」
「錆び刀」「