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2023年12月の記事一覧

岸政彦のにがにが日記はにがにがでぶつぶつでよかった

岸政彦の『にがにが日記』が、よかった。   基本ぶつぶつ言っている。 社会学者のおじさんがぶつぶつぐだぐだ言っている。 起きて食って労働して書いて酒呑んで散歩して猫の世話をしてパン食ったりラーメン食ったり映画観たりつまらないけどおもしろいギャグ考えたり調査したり記録したりしながらぶつぶつ言っている。 それが日々でその日々の繰り返しじゃないけれど一日一日の中に誕生日があったり年末年始があったり尊敬する人たちとの楽しい日があったりうぜーなーあいつみたいなんがあったり自由だけど自由

梟 『みみずくは黄昏に飛びたつ』で川上未映子が村上春樹に訊く

村上春樹を好きじゃなかったり 特にめっちゃたくさん読んだわけじゃなかったり、 でも村上春樹を好きという人に出会ったり身近な人が村上春樹を好きだと知ったときに、「あー……!」とか「ぽいー!」とか思ってしまうのはなんでやろう。 でもこれって「あるある」なのではないか。 うん、わたしたちは、「村上春樹的なもの」に縛られているような、 つまりは自らそうしているような気もする、つまり、すごい、すごいなあ、すごいよなあ。   個人的には好きでない。嫌いでもない。でも好きではない。 一言で

こよひ逢ふ人みなうつくしき マキノノゾミが描く与謝野晶子と若者たちの物語に

考える。 世の中には、いや、人間は、人間だからこそ、 あまりにもあまりな〝決めつけ〟が多いんじゃないか、と。 思い込みによるそれだったり、 自分にとって都合がよくないから 見たくない聞きたくない自分の中に入れたくないことだったり。 そうして自分の気持ち良かったり楽だったり、 自分と自分だけがよかったりすることだけに甘んじたり、 それだけを事実現実として〝そうじゃないもの〟を 例えば考えたり歩み寄ってみようとしてみたり、 考えもせずに「自分とは違う」「自分たちとは違う」として、