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2023年7月の記事一覧

祭 ある本と盆踊りと人間と

若竹千佐子さんの『かっかどるどるどぅ』を読んだ。 2017年下半期の芥川賞受賞作『おらおらでひとりいぐも』の著者は 前作でタイトル通り老いた人の孤独からの「ひとりで」を選んだ生き方を描いた。 第二作目となる本作にも、同じく孤独を抱えた人々が登場する。 でも彼女たちや彼らが思ったことは選んだのは「みんなで生きる、生きてみよか」だ、と思った。 生きづらさを抱える人たちが集い、皆でご飯を食べ、たくさんの会話を交わす。 その中には戦争もコロナもウクライナもロシアもアメリカも、そして生

喜劇とか悲劇とかからの新しいかたちへ netflix 『離婚しようよ』のこと

宮藤官九郎&大石静による『離婚しようよ』 (先月配信されたnetflixオリジナル作品)、もう観られましたか? 二世政治家と国民的人気女優が「離婚するっ」を目指して共にがんばるお話です。 キャラの濃い人ばかりが登場します。 皆、皆それぞれに主張と言い訳とやはり主張があります。 その主張に至る理由もあります。けど、理由を超えたTHE感情!!があります。 というのが、〝そんなもの〟の究極が見える政治や芸能の世界を通して描かれます。ふふふ。 地方(地方性)、家族の形、SNS、建前と

地図、羅針盤、花 『闘いの庭 咲く女』

〝自分らしくあり続けながら、この居心地の悪い世界で居場所を作ること。 自分の幸せは自分で決めること。そして、他者を踏みにじるのではなく、自分が上がること〟 ドキリとして、じわりと沁みてきませんか?  ジェーン・スーが13人の女性たちにインタビューをした『闘いの庭 咲く女 彼女がそこにいる理由』からです。 最終章、漫画家の一条ゆかりの生き方考え方を聞いた彼女が彼女の生きる〝地図と羅針盤〟を称しての文章であり、この本に登場する皆に共通する生き方であり、本著が書かれた理由でもあると

ON THE ROAD

劇場に行くと思いもよらない瞬間がたくさんある。 思いもよらない、思いもしなかったような時と瞬間にたくさん出会う。 一言でいうと「一期一会」なんだろう。 けれど、そんな簡単な、言い切ったような言いきれたようなことで言いたくないな、という気持ちもある。 でも、そのことそのとおりで、「一期一会」、ヤバい、エモい、ヤバい、 ふざけていない、これしかないし、これでいいような気もする。 変に理屈をこねたり能書きに酔って押し付けたりするよりも、もしかしたら、ずっと。 ということは、さまざま

針と種 100分deフェミニズム

『別冊NHK100分de名著 フェミニズム』 お正月に放送された番組が書籍化したもの。 本に、読むものにしてくれ、出してくれて、本当によかった、と思った。 すこし語らせて下さい。  番組を観たときはしみじみと2つの気持ちになった。   100分にまとめるにはテーマも情報量も多すぎる。 収録は8時間を超えたとのツイートも見た。   「これはまとまらへんやろ、1テーマ(1冊)でもまとまらへんやろ」   4人の出演者がそれぞれこのテーマに沿った1冊を紹介する、というかたちで進む