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地図、羅針盤、花 『闘いの庭 咲く女』

〝自分らしくあり続けながら、この居心地の悪い世界で居場所を作ること。
自分の幸せは自分で決めること。そして、他者を踏みにじるのではなく、自分が上がること〟
ドキリとして、じわりと沁みてきませんか? 
ジェーン・スーが13人の女性たちにインタビューをした『闘いの庭 咲く女 彼女がそこにいる理由』からです。
最終章、漫画家の一条ゆかりの生き方考え方を聞いた彼女が彼女の生きる〝地図と羅針盤〟を称しての文章であり、この本に登場する皆に共通する生き方であり、本著が書かれた理由でもあると思いました。
皆、皆が、らしく、自分の足でしっかりと地を踏みしめ、生きるために咲くために、どうぞこの中の皆の「生きてき方」を見て、って。
 
ここのところなんだか「TBSラジオに紹介されそうな、されがちな本」を手に取ったり、勧めたりしがち。
でもTBSラジオに出演している人の本を手に取るとは思いもしなかった、偶然です。
先月だったか今月頭だったか、書店の平積みに目が行き、「読んでみようかな」となり、買いました。
帯に連ねられた顔ぶれが「お」だったからも大きい。
大好きな脚本家のひとりである野木亜紀子とか、北斗晶とか、一条ゆかりとか。

ジェーン・スーの著作を読むのは初めてです。
わたしが手にとりがちな作家さんらと仲が良いことや神田伯山のラジオでその名は知っていたけれど、初。あ、今更こんなところで言うのもあれですが、日本人で、女性、コラムニストで、ラジオパーソナリティーで、あ、作詞家でもあるのですね。
 
正直に言います。
読みだして最初は彼女の文体が目について鼻について仕方がなかった。
インタビュー集とはいえ、対話形式ではなく、スーさんの文章。
よくある一問一答じゃなく、コラムというかたち。
だから最初は彼女の文体や比喩表現や主張に「お」「おぉ」「うん、うーん」だった。
そりゃそうだよね、これは「ジェーン・スーが敬愛する人々に訊く」、
上記のテーマや、読者へのメッセージありきの、インタビューコラム。
だから慣れるのにちょっと時間がかかったのは事実。
読み終えてからいろんな感想なども検索したらやはり同じような感想の人も少なくはなかったです。
そうね、まず、もう、このタイトルや帯の文章だけで「あー」なんて手にもしようともしないという人やこともあるかもしれないし、その感覚もわからなくはない。
ということで、私は結構、読むのに時間がかかった、というか、ひとつひとつ、ひとりひとりを、ゆっくり、大事に、読みました。
 
登場する女性たちは、もう帯をみて思われた人もいるかもしれないが、
いわゆる「一方的に「こういう人」と思われがち、決めつけられがちな人」が多いかもしれない。
「わかりやすい切り取り方をされがちな人」
敢えて語弊を招きかねない俗っぽいへんな言い方をすると「女に嫌われる(嫌われてきた)女」とか言う言い方でいうとしっくりきてくれる人もいるかも?
そんな彼女たちにスーさんが向き合い、彼女たちがスーさんに語る。
語られた言葉を受けたスーさんが、自分の目、観方で落とし込み、文章にしてゆく。
 
すごく、よかった。

読み終えて「件の本棚(我が間借り書店の本棚ね)に、置きたいな、置こう」と思いました。
 
感想という名のネタバレやあまりの押しつけは良くないなあ嫌やなあ、ねん。
匙加減はむずかしい。
ですが、思ったことを、つらつらと、書かせて下さい。
 
「自分らしく」とか「自分らしさ」なんてよく言われることだし、
言われまくってきて「なんかウザい」すら思う言葉にもなりかけていて、
てゆーか、そもそも「自分らしさ」って何? って思う。
 
人が思う「その人らしさ」と、自分が思う「自分らしさ」、そもそも「自分」って何よ。
 
わたしもすぐ人に最大級の褒め言葉として「ブレない」(芯がある。その芯に(よいもわるいも)惹かれている)ということを思いがち、言いがちで、
自分自身この芯のようなものを言っていただくと、うれしかったりする。
でも、誰かに「え、いつもと違う」とか「らしくない」とか言われると、
「え、なんで?」とか「そこまでのナカミはあなたには見せてへんかも?」とか思って少しモヤモヤとし、いや、考えてしまったりもする。そもそも、もう一度言う、なんだ、「自分」って。
 
13人は、スーさんに、
半生や譲れない気持ちや軸を話します。
これまでのもがきながらの、迷いながらの、それ。
時に人の視線や言葉に悩んだりしながら、見つけてきたり、気付いたそれを。
「あ、わたしってこう」
よくないなあと自分でも思うところも、
なぜそうなったのかも、
「これまで」を振り返りながら言葉にする。

そうして、今、伝える〝私〟の物語を、 
自らも、自意識や世間や人の目に〝武装〟してきたというスーさんが、
聞いた彼女たちの人生を、自分の中に入れ、言葉にして、わたしたちに出してくれる。

さあ。
 
ここにあるのは、13人、そして、ジェーン・スーの「地図と羅針盤」。
これまで、「今」、そして、これからへ、皆で生きるための。
 
読みながらわたしの頭には、ふと、
「美しさは強さ、優しさは強さ、強さはしなやかさ」という言葉が浮かびました。
勝手な造語です。
例えとしての闘いという言葉はあまり好きじゃない。でもふとこの言葉が浮かびました。
美しいは決して見た目などの美醜だけじゃない。
優しいはただ優しいだけじゃない。
しなやかさは女性が、女性だからとか、そうかもだけれど、それだけじゃない。
13人の皆の、それ。
そして、読んだ皆、手に取った皆の、それ。
 
最後に、引用させて下さい。
 
「私が敬意を表す女たちに話を聞いて回ったら、最初から特別で、すべてがお膳立てされていた人など誰もいなかった。出だしから幸運の女神に微笑まれた人も、突然、王子様に見出されたシンデレラもいなかった。みんな、自分の足でしっかり大地を踏みしめていた」
 
(「はじめに」より)

さあ、歩きましょ、って、そんな1冊に思えて、沁みました。

◆◆◆
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構成作家/ライター/コラム・エッセイスト
中村桃子(桃花舞台)と申します。
大衆芸能、
旅芝居(大衆演劇)や、
今はストリップ🦋♥とストリップ劇場に魅了される物書きです。

普段はラジオ番組構成や資料やCM書き、
各種文章やキャッチコピーなど、やっています。

劇場が好き。人間に興味が尽きません。

舞台鑑賞(歌舞伎、ミュージカル、新感線、小劇場、演芸、プロレス)と、
学生時代の劇団活動(作・演出/制作/役者)、
本を読むことと書くことで生きてきました。

某劇団の音楽監督、
亡き関西の喜劇作家、
大阪を愛するエッセイストに師事し、
大阪の制作会社兼広告代理店勤務を経て、フリーに。

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