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日々日々

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1日(なるべく?)1エッセイ。思うこと考えることを綴っています
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2023年2月の記事一覧

海をもらう

上間陽子さんの名を知ったのは打越正之さんの著書でのこと。 沖縄でヤンキーの聞き取りをしてきた打越さんの『ヤンキーと地元』は、 出版されてすぐに読んだ。 フィールドワークやエスノグラフィーにとても興味を持っており、 そのやり方に共感する者として手に取らずにはいられなかった。   ちなみに、 このやり方に興味を持ったのは 大衆文化研究の第一人者であり社会学者の鵜飼正樹先生の著書がきっかけ。 学生時代に旅芝居の劇団に入団し、一年二か月実際に役者として舞台に立っておられた〝京大の

「顔」 美容院の店長と脱マスクの話をした

「強制されたくないっすよね。 するのも、されるんも、なんか違うっていうか。 まあ、ウチの店もどうしようかな、って悩んでるんですけど」 美容院の兄ちゃんが言う。 なんの話かというと、マスクのこと。脱マスク。 約3年のコロナ生活を経て来月13日からは着用は個人判断というあれ。 絶対、「付ける派」と「付けない派」が街中で揉めますよね。 という話となった際に兄ちゃんが言ったこのフレーズが印象的だった。 いまお世話になっている同店ではスタッフもお客さんもマスク着用、 諸々の対応もかなり

皮と鬼、『入れ札』と『羅生門』

菊池寛の掌編小説『入れ札』を薦めた。 「文学中年」を自称するその人は 性格が悪いらしい。弱いらしい。 そんな自分が嫌いじゃないらしい。 信用できる(笑) たぶん、 剥いでみたらちょっと似てるような気がする。 と、やりとりをしていて思うようになった。 だからなんとなく思い出して薦めてみたところ、 すぐに読み終えて面白いnoteを書いて下さった。 驚きと共にちょっと慄いた。 やだなあ、わしのちいささも丸裸やないか。消えたい。 でも非常にありがたいことだとも思った。いろんな意

さいきんのこととか書くこととか美とか日々尊いとか

いっこ前にも呟いたのですが、 ここのところ、 ちょっと更に身内事、 つまりは年寄事愚妹事などで、 これから更に、 自身も自身をとりまくまわりも、 余裕や時間があまりたっぷりはないなあ、 ますます自分のことだけをやっていられなくなっているなあ、 さらにそうなる感じだなあということを 改めて、感じ、考えざるを得ないことがありました。   あ、言い訳です。 誰しもにそういうときや時期や色々はある訳だもの。 今、そういう状況の方や乗り越えてこられた方もたくさんおられるでしょう。 せや

なつかしき&これからの小劇場を考えた話

学生時代(いつの話や)の劇団の後輩から定期的に連絡が来る。 奴は中学教師で部活動の顧問もしながら 関西小劇場のちょっと有名な劇団だの、 ちょっと大きなプロデュース公演だのに出演をしている。 報告を受けるたびに私は毎回真剣に思う。 「こんな下手な奴がなぜ出演できるのか」 「僕の実力っすよ」「いや、それはない、ないで(笑)」 今日も夕方にすこしだけ呑んだ。 次回出演が決まったという公演のオーディションに応募したという履歴書を見せてくれた。 凄まじいまでにまっしぐらのアホで逆に感心

隣りの女 旅芝居と旅芝居のお客さんと向田邦子描くサチ子のこと

通りがかった書店で、 いや書店というのも違うな、 大型スーパーの一角に設置された本売り場の、 文庫本のコーナーに なぜか1冊だけ表紙を見せて立てられている本があった。 目が行った。 大好きな向田邦子の書いた、『隣りの女』。 こんなところでお会いできるなんてうれしいですね。 しかしなぜこんなところに目立つように置かれているの? 私、この本、 本作のヒロインを、 読んだ時からずっと「旅芝居の客席にいる〝どっぷり〟なお客さん」って思っています。(以下は過去記事) 話の中で「例え

舞台だからこそ/のど自慢に泣く、やっぱりこの世は皆の舞台

ひさしぶりに日曜昼にNHKのど自慢を観た。 観たらやっぱり涙腺に来た。 なんだほんとに全くもぉ。 仕事しながら横目で観ていた。 音だけ聞いていてもツッコミどころしかない。 情報量が半端ない。 気付けば「ナナメ」な観方が「マジ」になる。   今日の「思わず(横目から正面なって)観た」きっかけは 福山雅治の『HELLO』を歌ったニーサンだった。 「両親を驚かせたくて出場」「ウォーキングしながら歌っています」 何それ選曲その蠢き。恋が走り出したら君が止まらない。 続いてはドリカ

『テヘランでロリータを読む』 読み、想い、生きること

本を読む魅力や意味ってなんだろう。 書かれた物語を楽しむこと。 本の中に過去の自分や過去の出来事や「これから」をみること。 物語の中の世界が現実とがオーバーラップしたり、しそうな内容に 考えるきっかけをもらうこと。 共感や感情移入、 または逆に共感や感情移入が出来なかったりすることで 自分や他人を振り返ったり考えたりするきっかけにもなること。 とか? 読む事と生きる事はつながっている、なんて言われたりもする。 本当に、抽象的ではなく具体的につながっているのだと深く思わされまし

立春に商店街でラムネと金平糖を買う

今日商店街でラムネ500gを買った。 金平糖も買った。   用事の後ふらっと寄ったのは 関西でも指折りのおおきな商店街。 阪神タイガーズ色強めの店の人もお客さんも個性が強いところ。 在阪テレビ局がこぞって ステレオタイプな「大阪のおばちゃん」のコメントを求めに来る場所としてもお馴染み。 なんでもある、なんでも安い。 八百屋も魚屋も肉屋も総菜屋も ペットショップも昔ながらのお茶専門店も。 串カツ屋も立ち呑みも 大手ドラッグストアも100均も激安スーパーも 飲食店もヤンキー味に溢