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職能団体が今すべきは、管理者のマネジメント教育

職能団体における多くの問題

地方の職能団体の理事や、全国の職能団体の委員を数年務めているのですが、団体の会員に、特に若手に情報が届かなくなってきていて、職能の将来に無関心なのではないかと、認識されています。

これが今後もどんどん加速していけば、職能団体に所属する人やイベント(学会や研修会)に参加・協力していただける人が少なくなり、やがては、職能団体としての機能を果たせなくなり、職能自体の存続も危ういのではないか、という危惧がふつふつと湧き上がってきています。

また、このような話は、何も自分が所属する団体だけの話でなく、多くの職能団体、いや様々な組織においても、企業においても、若手だけでなく所属する人への情報共有や組織へのエンゲージメントを高めるというのは難しい問題なのだろうと思います。

というわけで、「それなら若手に情報を伝えるために、SNSやればいいじゃないか!」という声もちらほら団体内から上がってきますが、SNSというのは「見たいものを見る」ものです。

「見てほしいものを見せる」ためには、数多ある有名企業ですら、それ専属のスタッフを雇用して、莫大な資金を投資をして、人が「見たいもの」を分析して、「見せたいもの(広告等)」を「見たいもの」にすこしずつ混ぜ込むというマーケティングテクニックを死に物狂いで使っているのに、職能団体のボランティアのおじさん(自分のことです)が片手間でやってバズれる、という簡単なものではないのです。

このように、職能団体に多くの方に所属してもらって、医療テクノロジーや社会情勢への変化にあわせて国に働きかけつつ業務の形や範囲を変えていき、それに応じた教育を受けてもらって、業務の質を担保し職能を高めて社会貢献していく…という壮大な目的を掲げている多くの団体は、このような状況に困っているというのが、正直なところでしょう。

というわけで、数年職能団体に所属して、いろんな失敗や挫折を繰り返してきた私が職能団体と会員のエンゲージメントを高めていくのに力を入れていくべきと結論づけたもの、それは「管理者のマネジメント教育」です。

医療業界において、臨床における教育や研修は山ほどありますが、部署を率いていくことや仕事をなんとか進めていくというマネジメント系の教育は、最近になってようやく姿を現し始めましたが、数は多くはありません。

しかし、部署を率いていくことが任される管理者には臨床技術の経験はそれなりにあるわけで、必要なのは、圧倒的にマネジメント系の教育です。

所属する病院がそれをやるべきじゃないか、という意見もあります。それはごもっともですが、病院がそれをやる余裕は果たしてあるのでしょうか。各個人や外部委託されているのが関の山ではないでしょうか。

それよりも、職能団体が「管理者のマネジメント教育」をやるべき理由を下記に記します。

管理者は職能団体の代弁者

自分もそうだったのですが、右も左もわからない状態のぺーペー時代、職能団体に所属する最初のきっかけを作ったのは、やはり管理者(上司)です。

ある程度の臨床を経験してきて研修を受けて知識や業務の質を担保することや職能の将来性を考えていくうえで、職能団体の有用性について理解している上司が、部下にそのことをしっかり伝えていかない限り、職能団体に所属しようとは思わないのです。

また、部下から管理者が信頼されているかどうか、というのも重要な問題です。いくら管理者が職能団体の重要性について論じたとしても、信頼されていなければ、部下は聞き入れることはしません。

言動の一致や部下とのコミュニケーション、コーチングについて学んでいるかどうか、そして将来を見据えた志やモチベーションを持つだけの思考力を持っているかどうかは、職能団体の代弁者としての能力に大きくかかわってきます。

ヤバい管理者は、人も業務も潰していく

マネジメント以前に、人間としても問題がある管理者のもとで働いているスタッフは、病院を離れるだけでなく、その国家資格や医療業界で働くことをやめてしまうかもしれません。

貴重な人材を手放さないためにも、管理者の教育は必須です。

部署崩壊させるなら問題が顕在化するので対処のしようがありますが、現状維持の成長しない状態を続ける管理者は、もっと性質が悪いと思います。

いくら職能団体が業務範囲を広げるために、政治家に働きかけて法律を改正して研修を受けさせたとしても、管理者のやる気、マネジメント能力や他部署とのコミュニケーション能力がないならば、業務を広げることはできません。

いくら国民の利益のためにルールを変えたとしても、ルールが意味を成すかは、医療が提供される現場の遂行能力に左右されます。そして、その遂行能力は、管理者によって左右されるのです。

職能団体自体の推進力にも影響する

有能な管理者であれば、職能団体の役員になることもあるでしょう。

役員のマネジメント能力は、職能団体の推進力にも影響します。自分がうまくできているとはとても言えませんが、職能団体のマネジメントは、職場のそれと比較して、非常に難易度が高いと思います。

一緒に協働していくのが別の病院で働いていて距離が離れておりコミュニケーションがとりにくいこと、ほぼボランティアであること、本業(病院勤務)の間に行われること、多様性があり方向性が揃いにくいこと…挙げればキリがありません。

だからこそ、管理者として志やマネジメント能力がある人が、職能団体においても役員・管理者になるべきだと思います。

繰り返しますが、自分がうまくできているとは思っていません。しかし、職能団体からもいろんな経験をさせていただいたおかげで、所属病院においてもある程度の仕事はできるようになったし、またその逆も然り、相互作用は大きかったし、志も持つことができたのではないかと考えています。

職能団体の目的

なんだかんだと言ってきましたが、職能団体の根本の目的は、国民の健康と幸福、そして利益となることを行うことです。その目的を果たすためには、そもそも国民に医療が提供される現場を変えていかなければなりません。

変更されたルールは現場で遵守されて、テクノロジーは現場で導入・運用されて、はじめて意味を成します。

現場に大きな影響を及ぼしている管理者にこそ、多くの教育が必要だと思います。

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