きっぷを握りしめて

朝起きると、右腕の外側に鈍痛が走る。左のヒザは腫れていて床にひざまずくことができない。全身には、筋肉痛のような重さがある。

そういえば昨日、駅にある上りエスカレーターでつまずき、左ヒザを強打しズッコケたのだ。

発車時間ギリギリだったために、あわてて駆け上がたことが原因です。
残り３分の1ほどまで登ったところでの出来事でした。

あわてた私は、左ひざと右手でかろうじて踏んばったけど、右手のひらの根元を擦りむき左ひざを強打。

ゴールは近いのに、エスカレーターは止まってはくれない。
痛みですぐには動けないのだけど、スローモーションで事態は動いていく。なんとかしなければ。

ゴールが来れば吸い込まれてしまう恐怖が立ちはだかるなかでのこと。

切符は、踏んばったときに握りしめたようでぐちゃぐちゃだ。
こんな日に限って、ICOCAのカードを家に忘れてしまったりと、踏んだり蹴ったり。

それでも、３００円の切符をエスカレーターに吸い込ませるわけにはいかないから死守したかった。だって、もったいないんだもの。

ゴールは近いし、切符を持った手が吸い込まれていくような恐怖をあじわいながらも間一髪、切符を救いあげ難を逃れたのでした。

ズッコケた恥ずかしさと体の痛みをこらえて何食わぬ顔で電車に乗ったのでした。