「心を整え、脳を鍛える」代表取締役僧侶とハートドリブン経営者のありがたい対談をきいて
禅・メディテーションアプリのInTripさんのイベントに参加してきました。
・ハートドリブンな経営者として有名なアカツキ塩田元規さん
・問いが人気の、建仁寺両足院 副住職、株式会社InTrip 代表取締役僧侶、伊藤東凌さん
・連続起業家の、株式会社 InTrip 代表取締役社長の成瀬 勇輝さん、
3名のお話しが、思考にも心にも響きすぎたのでレポートします。
私が最近ヘビーユースしているアプリ、「いまここから、内面旅行へ。」がテーマのInTrip。
心のととのえ方で実践していることは?
■対話を通じて、無意識の反応を意識化する
塩田さん
まず土台として「ベストは尽くすけど、執着しすぎない」というメンタリティーを持とう。
スタートアップではムカつくことも起こるけれど、
自分が怒った時に、出来事に対して「どうやって対処するか?」にすぐ走らずに、一旦立ち止まって安心して吐露できる相手に「ムカついてる」と言う。
「本当は何に怒ってるんだろうね?怒りの裏には何があるんだろうね?」と問いかけてもらう。
つまり、無意識の反応を意識化する作業をすること。
意識的になれれば気持ちを扱えるようになるというプロセスを踏んでいる。
■やり方のTips
①自分と対話する
紙に小さい自分のキャラを書いて、紙の上で自分と喋る、本当の元ちゃん(塩田さんの愛称)が、「本当はこうムカつくよね」と言ってくれる。
自然に出て一人で対話も効果的。
②瞑想
自分をととのえる余白をつくる。
朝の5分でも何もない余白の時間で内観する。
倒産するかも!で、ストレスフルに感じることもあったが、命は取られないし…と意外と大したことないように見えてくる。
■こころに頼りすぎず、他の五感も同じように開く
東凌さん
仏教によって自分の「心」の捉え方変わった。
感情の流れという意味の"こころ"ではなく、
胸やお腹に手を当てて感じる部分という意味の"こころ"もある。
感情は、川の流れと同じように捉えると良い。
心が荒れたからとてすぐに解決できるものではないし、無理に川(感情)の流れに石を置いて堰き止めようとしない。
■心の適正な配置(Mind decenterization)のススメ
目の情報と、こころに頼りすぎると浮き沈みが激しすぎるので、こころは1/6くらいに置いておく。
1/6とは?
仏教では"六根"と表したように、五感とこころで自分の入り口が6つあると捉えてきた。
寺の掃除をして雑巾が冷たいと感じたり、空気が澄んで見えたりすると、
心に集中して「モチベーション高めてやろう!」と考えなくても、自然と冷たさから「やろう!」という風に湧いてくる。
毎日のお寺の坐禅や掃除などのルーティンが、心をととのえることに結果繋がってる。
■感情を抑圧せず感じ切る
塩田さん
感情が反応的に起こっているときに抑圧しないのは大事。
悲しまないように抑圧していると長引く。
悲しみや怒りはきちんと自分の中で感じ切ると数分で変遷すると言われている。
運動したり、美味しいごはんたべたり、五感を味わうことで、気分が晴れることがあるように、
東凌さんのお話の中の、こころを中心にする以上に、五感を閉じずに広げていくのはパワフルと感じた。
■塩田さんのルーティンは?
朝起きて、身体動かしてストレッチ
10~15分瞑想
寝る前に、感情として一日を振り返る→How do you feel today?
成瀬さん
ルーティンを毎日持って習慣にして錨(いかり)のように下せるのは大事。
では、お寺に住んでない人でもできるルーティンは?
東凌さん
喫茶の習慣を持つのはオススメ。
コーヒーでも抹茶でも。
決まった時間に決まった分量飲むと、茶葉を変えてなくても、おいしいとおもったり、まずいと思ったりする。
まずいと感じるときは、忙しくしてたり、急いでお茶立てたり準備したりしていることに気づける。
おいしいと思えるってすごい!とも感じることができるし、
おいしくないと思ったらスローダウンするとか、メンテナンスに繋がる。
アイデア・思考力の鍛え方は?
■自分を拡張して自然を取り入れる
東凌さん
場所選びが一番大事。
京都の鴨川が気に入っているので、川や鳥も自分だという感覚で、自分を広げていく。
身体を使うのも◎
自分の肯定感を高めるために自分のことをほめてみる。
一歩歩いたら一つ、しりとりで自分の良いことをいう遊びも面白かった。
「声が大きい」「勢いあるとき結構できる」など褒めながら言葉を探求するとポッと出てきたりする。
心っていうけど、こころっていったい何指すの?
外来語が増えてきた近年。
何となくチーム内で共有している感じがするカタカナ語とか、色んな角度からほぐしてみると可能性広がるのでやってみてる。
■ThinkとFeelを行き来する
塩田さん
①アイデアは緊張と緩和の緩和の時に出る
一つのことをアタマ使ってめっちゃ考えてるときには表層を使ってる。
一番アイデアが出るのは、その思考を手放した時。
散歩、シャワー、瞑想中など、ひとりでfeelしているときに一番アイデアがでると言われている。
ただ、何もない時に散歩してもいいアイデア出ないが、一回(頭で)アイデア出しまくって、考えまくった後に散歩すると、アイデア湧いてくる
②スローモーションマルチタスキング
アインシュタインやダーウィンは期限がないゆっくりでもいいことを、複数平行して取り組んでいた。
ダーウィンは進化論を書きながら40年以上ミミズの研究をしていた(笑)
一つにフォーカスしていると行き詰るから、全然違う領域も急がずやってみる。
そうすると異なると思ってた領域が、ある瞬間に繋がる。
自然を見てるだけでもアイデア湧いてくる。
森を見ながら「森とは何?」と考え、並行して組織論を考えるとインサイトになる。
経営(スタートアップ)に必要な力って?
経営はもともと仏教の言葉ですが、と成瀬さん。
■問いと共感力
東凌さん
きれいな景色を作ろうとなったら明日のお客さんも、100年後のお客さんもきれいなものをというのが仏教では重んじられる。
内側の人、運営側が成長できることを大事にしてる。
そのために、共有することが大事で、共有には、共感力と設問力が大事。
相手がロボットではないということ、情報として正しいかではなく相手も自分の想いをキャッチしてくれるだろうと信じて伝えることも。
お寺は、美しい状態を大事にしていて、以前は「アートの様に表現してくれたらいいんだ!」と寺に関わる人に伝えてきたが、みんなチンプンカンプンだった。
あるとき投げかけを設問に変えたら、寺の中の人達が動き始めた。
「あなたにとって来てくれた人が美しいと思うことは何だと思いますか?」
丁寧に接すること、深い対話、野菜を畑に、書類や本棚をピチッとそろえるとそれが表に出る・・・それぞれに感じて行動し始めた人もいた。
だから共感力。
どういう思想で経営と向き合っているか?
成瀬さん
元ちゃん(塩田さん)は特に言葉を大事にしていると感じるが?
■思想は固定化しない常にダイナミック、動的であることが大事
塩田さん
リンクアンドモチベーションの会長から経営者の仕事の半分は言葉とアドバイスをもらった。
言葉は、見えてなかったものが見えるようになるための眼鏡。
眼鏡で照らすのが経営者の仕事と思っている。
良い言葉をつくるんじゃなくて、真摯に真実に向き合い、隠して蓋をしないこと。
組織の課題や自分の気持ちや感情にダイレクトに向き合う強さがあると、言葉にそれが出てくる。
加えて、思想は固定化しないFIXしないことが大事。
常にダイナミック、動的であることを意識してる。
アカツキは根本の理念はひとりひとりがワクワクしてて、創造性を発揮してるというのは最初からあったけど、
経営の捉え方は自分の内的な成長によって変わってきた。
昔は自分が場所を作って、みんながその中で発揮するというイメージだったが、森の例の様にいまは生態系のような自動的に自律的に課題解決がなされるシステムが良いと思ってる。
極論を言ってしまえば、ビジネスで成功するというのは大した話ではない思っていて、
経営しながら課題が起こる度にも自分に戻っていって、もう一つ自分の器が広がって包めるものが増えていくこと、喜びが広がることを意識してきた。
誰かの人生を助けることはできない。その人が自分で歩くしか最後はない。
皆で歩けるようにサポートし合える学校みたいなイメージでアカツキは楽しくやってる。
アカツキはお寺の在り方にも近いかも。
アカツキメンバーってHappyに見られることが多いけど、メンバーから「がんばればがんばるほど上手くいかないんですけど」という分かち合いがあることもある。
楽しいことだけが良い状態ではない。
楽しくないことも含めて、分かち合っている。
その上でどこまでいっても、シリアスになりすぎない。
極論、人生なんて全部遊びだから。
経営者って正解不正解じゃなくて、善悪というのもあるので、
深く潜る仏典開く経営者がいたり、人のこと考えまくってそこに行きつく。
優しく温かいQ&A
■自己対話って何年かかってできるようになった?
塩田さん
かからない!今日からできるよ!
上手くやろうとしなくていい。
上手くやろうとすると足が重くなっちゃうから。
サポートできるとしたらNVC(ノンバイオレンスコミュニケーション)読むと良いかも。
感情を司る言葉って楽しい以外に何知ってる?とかって考えたことあります?
対話してる時に、どういう観念でこれを思ってるのか虫眼鏡を変えてみてみる。
どうしてこの人見るとイライラするんだろう?と自分に問う。
自分を戻す問いを持っていると良いかも
身体に限界来たのも契機に。
24時間働くのを3年やって必死だった。
どんなに頑張っても組織が壊れて借金背負ってうまくいかない、というタイミングが3年目にあった。
心をととのえるというのは、今やりたいと思ってないなら無理してやることない。
心をととのえるのは、何かモヤモヤする、気持ち悪いというタイミングでやるのがいい。
■五感で感じるものは無意識だと思いますが、意識化というのはどういう時に必要でしょう?
東凌さん
五感っていきなりパーンって開くものじゃない。
身体の微妙な感覚だと難しいのでそこからでなく、
まずは香りと音。
音を選ばず聞く。
嫌な音を聞かないようにするという機能を現代人は使ってるが、音を聞いてみると、ぼんやり無意識にあったしんどさなどが音からの情報で余計なこと考えすぎてるんだ!と意識化できる。
外に気づけたら次は・・・?
身体に気付くようにする。
お茶を飲みながら寒い時にあったかいお茶を飲むと、食道通ってお腹に今はいった!とかステップで感じていくことを大事にしてる。
豊かな坐禅タイム
テーマ:ダイナミックさ
坐禅に没入していたので、メモはないのですが、
どういう問いかけかは、InTripのアプリ内で視聴できると思います~!
「今日思考がすごく動く問いもあれば、よくわからない問いもあったと思います。でも問いは時間差で花が咲くこともあります、それもOK」というようなお話しが東凌さんからありました。
私はアプリの中で東凌さんのこういった問いが2~3日聞いているうちに癖になって、アプリを開いたらあまり気構えずにまずはフワーンと聞いてます。
「あなたの他の名前は?」「夢」など一日一つのテーマで投げかけてくれるので、検索に疲れたら問いのシャワーを浴びるのもいいなぁと感じて。
気合が入っていない受動的な状態でも、考えさせてくれるきっかけになるという体感があります。
私はこの一日一禅はお散歩中に聞くのが好きで、坐禅のガイドを坐る時間のお供にしてます。
坐る時は散歩よりちょっとだけやる気レベルが高いので、気分に合わせてテーマを自分で選ぶイメージ。
坐禅ガイドも色んな問いかけが面白い!
「ルーティンの作り方は、3週間続けること。3週間のうちは、ストレスフルだけど、続けると今度逆にその習慣を覆すのが難しくなる。」と塩田さんからアドバイスがあったので、やってみます~!
若者へのアドバイス
旅をしよう!
自分と違う文化や習慣を持つ人と交わっていくことが大事。
情報が多すぎて選ぶの難しい時代なので、3時間考えてわからないことは100時間考えてもわからないと割り切って、考えすぎずに軽やかに動く。
動いてみた後に、気持ちや考えの変化を入りと出を押さえればOKという気持ちでやってみると良い。
身体も心も力が入って固まってる状態から緩めてオープンマインドにするには?
終わりに、私の質問にも答えていただき嬉しかったです~!
自然に入って深めるときに、どうやったら自然を取り入れられるか?自分を深く広く開いていけるか?教えてくださいというような質問をさせていただきました。
■耳をマッサージして、音を聞く
東凌さん
シンプルに色々やっていて、五感を
音が聞きたかったら耳のマッサージを。
すると聞きたくない音を聞かないようにしてたと気づける。
恐怖心やバリアを取っ払って。
都会は雑音が多くて、全部聞いてしまうと怖いものだが、開いてみると意外と気持ちよかったりする。
鼻のマッサージも。左右の鼻が通ったりする。
山をはだしで歩いて冷たさを感じてみると、土が冷たく、でも太陽が当たっていたところは土が温かかったり。
畑を触ると水も土も触れるし、花が咲いていた翌日に実になってたり。
よろいを外すように裸足になるのも◎。
■力を入れてから抜くとリラックスが深まる
塩田さん
まず質問の意図は、どうやって身体も心も少し緩めて力が入って固まってる状態からオープンマインドにするのか?っていう問いだと思ったのでそれに答えます。
(解像度上げていただきありがとうございます…!)
それには、リラックスするしかない。
力入れてから解放した方がリラックスできる
筋肉も力入れた後に抜くとリラックスするように、寝る前に、肩に力を入れて肩を上げて、ハァと肩を下ろして力を抜くとか。
あとは、サーフィンで無理やり自然の中でもみくちゃにされて強制的に開かされるのも◎。
自然の中でゆっくり瞑想するだけじゃなくて、木にハグしたり、動き、騒ぎ、触覚も使って。
東凌さん
禅っていうととにかく静かに座ってみたいなイメージあると思いますが、サーフィンのもみくちゃのように、禅も動きの中でもやっていけること。
おしまい
脳にも、心にも響く心地よい素晴らしい時間でした。
こんなイベントを開催してくださってありがたい…!
個人的には、最後の質問として私の質問を取り上げていただきウキウキ、狂気乱舞していました。
関係者ではないのに、一ファンとして勝手に宣伝しますが...
禅アプリInTrip本当にオススメでございます!
https://in-trip.net/
■Who am I? このブログを書いた人のプロフィール
Zen Eating 主催 にしむらももえ
星野リゾートウェルネス担当、インドへの2年間の移住、Cookpadを経て、現在は食を通して心を調えるZen Eatingを主催。
オンラインで開催するZen Eating(食べる瞑想)のワークショップでは、4か月で30か国500名の心を食事を通して調えることに貢献。
同プログラムはGoogle米国本社やアクセンチュアなど大手企業の研修や、国際カンファレンスのアクティビティにも採用されている。
山を所持して野生の山菜やきのこを採って暮らす祖父母から、自然と循環する生活を学び、
インドでは自分と他人の境界線は曖昧だということを学んだ。
中央大学総合政策学部卒。比較宗教思想専攻。.精神探究が趣味。