読書感想文『平場の月』 朝倉かすみ著
あらすじ
須藤が死んだと聞かされたのは、小学校中学校と同窓の安西からだ。須藤と同じパート先だったウミちゃんから聞いたのだという。青砥(あおと)は離婚して戻った地元で、再会した時のことを思い出す。検査で行った病院の売店に彼女はいた。中学時代「太い」感じのする女子だった。五十年生き、二人は再会し、これからの人生にお互いが存在することを感じていた。
最初からネタバレありなので、知りたくない方はここでスルーしてください。
50歳の大人の恋愛ではあるけれど、普通と違うのは、彼女が大腸がんを患い、死んでしまった。
ところから、まぁ回想のような形の物語になっている。
物語にハマるまでかなり時間がかかった。
70ページくらいまで挫折しそうになった。
相変わらず辛口になるが
面白かったと言えば面白かったし
つまらないといえばつまらなかった。
いや。つまらないというより『退屈』だった。が正しいかも。
結局、全編が『日常』『恋愛』『闘病』だった。
わたくしごとになるが、私は自分の母親を胃がんで亡くしている。
だから、正直、須藤の闘病のシーンは、早送りしたい気分だった。
あらすじには、『癌』の文字は書かれていなかった。
おかげで、恋愛よりも闘病の方が強く印象に残ってしまって、なんだかなぁという感想だ。
文の構成も、なんだかなぁで、同じ文章が2回繰り返されることがある。
うん、だから、そういう自己満みたいな表現のしかた、いらないから。
と私は思ってしまう。
映画化されるみたいなので、この物語はもしかしたら、珍しく原作より映画の方が面白いかもしれない。
私は、基本的に原作派なんだけどね。
この歳だから、共感できるところもあった。
それが面白かったといえば面白かったところだ。
20代や30代で、この話がわかったと言ってもそれは嘘である。
なぜなら、この歳にならないとわからないことだからだ。
どれだけ、若い頃に修羅場をくぐってても、どれだけ同世代とは違う経験を積み重ねてきたとしても、50歳にならないとわからないことってある。
そして、それが『大人の恋』か?と聞かれれば
そうかもしれないし、いや、恋愛に関しては、20代30代と大差ないと言えるかもしれない。
表紙には
感動の声続々と。とあるが
悪いけど感動はしなかった。
山のない、タイトル通り、平場の展開を最初から最後までやってしまって、どこに感動があるのだろう?
しかも、のっけから、須藤の死を知らされるのである。
感動というより辛い。
辛かったよ。
おすすめかと聞かれれば、おすすめはしないかな。
申し訳ないけど。。
作品としては面白いかもだけど、いかんせん
文章が退屈で、ハマらないのだ。
ラストも、わたし的に
無感情のまま終わったし。
人の死というのは、そういうものだとわかっていても、
小説だからこそ、そこは夢みさせてほしかったとも思う。
よくある『不治の病』系の物語のひとつかな。これも。
私は『普通』の大人の恋愛が読みたかったんだけど。。
すみません。
感想というより批評になっちゃいましたね。