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読書感想文「月まで三キロ」伊与原新著
久しぶりのヒット作かもしれません(苦笑)
月まで三キロ
六編からなる短編集なんですが、とにかく六編とも
いい!
しいていえば、私は最後の「山を刻む」が一番好きかな。
裏表紙にも書いてあるように
ままならない人生を、月や雪が温かく照らしだす感涙の六編。
まぁ、感涙はちと大げさかなとも思いますが、
全部、いい話です!
これはぜひ読んでほしい!
くらい、おすすめです。
で、
これ、最後に、作者さんと逢坂剛さんの対談がおさめられているんですが、もう、本当に、逢坂さんの感想が私てきに共感の嵐で、この小説、全体的には心温まるストーリーばかりなんですが、実は、ミステリー要素も含まれているんですね。
で、この対談を読んでわかったんですが、作者さん、実は江戸川乱歩賞に応募したりとか、横溝正史ミステリー大賞でデビューされてるそうなんです。
でも、
この「月まで三キロ」は、全く毛色(けいろ)が違うんです。
だから、めちゃくちゃ面白い!
また、逢坂さんは、
小説には「馬力」が必要だと思っている。
「馬力」というのは、読者をぐいぐい先へ引っ張っていく力のこと。
だとおっしゃっている。
私もまさにその通りだと思います。
何を当たり前のことを。って思う方もいるだろうけど、実は、この「馬力」が弱い作品が何気に多い。
私は過去記事に、昨今の小説離れの原因は、無駄な説明文が多い!
と書きました。
小説は漫画と違って、文章で情景や人物像を説明しなければなりません。
が、それが細かすぎてもダメなんです。
そして、それと同じくらい、知識をさらけ出しすぎてもダメ。
ところが、作者の自己満足のごとく、本題に入るまでの説明が長い!
逢坂さんも
難しい専門用語は、説明になってはいけない。あくまでも描写として文章の中に溶け込ませないといけない。そこが一番難しいんですが、、
とおっしゃっている。
この「月まで三キロ」は、短編集ですが、
全ての物語において、気象や科学、宇宙、地質、などがキーワードになっています。
それをみごとに物語の中に溶け込ませている。
私は、この本は、家で静かに読むのももちろんおすすめですが、通勤、通学の電車で読んでほしいなと思いますね。
そして、なにより、人生に凹んでいる人には、ぜひとも!
できれば、何が何でも読んでほしい作品です!
だいたい、一編50ページちょっとです。
うーん。つまんないかも?と思っても、騙されたと思って、50ページくらいだと思って、最後まで読んでほしい。
「月まで三キロ」
これを読んだ人だけが、タイトルの本当の意味を知ることになります。