読書感想文『本性』 伊岡瞬著
あらすじ
40歳独身の尚之は、お見合いパーティで<サトウミサキ>と出会う。彼女の虜となり逢瀬を重ねる尚之だが、結婚の話が進むにつれてミサキは不審な行動を見せ始める。一方、若手刑事の宮下は、一匹狼のベテラン・安井の相棒として、焼死事件を追っていた。単純な火災事故のはずが、安井だけは裏に潜む事件を確信しておりーーーー。
関わる者を必ず破滅させる女、その正体とは?
全ての謎が繋がるとき、あなたを再び衝撃が襲う!
本当は、この表紙写真、のっけたくなかったんですけどね。
正直、読者には、この表紙の文字を読まずに、読み始めてほしいくらいなんだけど、無理っすよね?^^;
そう言われたら余計読んじゃうのが心理か。。(苦笑)
まぁまぁ、どっちでもいいっすわ。けど、読まない方がいいとだけ言っておきます。
私が、久しぶりに読書をしようとこの本を手にして読んでたら、間違いなく
めちゃくちゃ面白い!
と絶賛してましたが、そういう意味ではタイミングが悪かったのか?
ここんとこ、立て続けにミステリー読み漁ってたんでね。
あらすじにある、
全ての謎が繋がるとき、あなたを再び衝撃が襲う!
うん、襲われなかったな。。
第5章あたりで私は、辿り着いてたかな。それでも遅い方か?
サトウミサキの本性は、茜との会話あたりから気づいたというかたぶんそうだろうなぁと思った。
でも、物語自体は、面白かったです。
文章構成もとても良くて、私が一番気に入ったのは
刑事2人の視点で描かれてるところはとても新鮮さを感じました。
特に安井刑事に対しては、とても肌感を感じましたね。
小説や、マンガ、ドラマなんかもそうだけど、想像やテレビの向こう側、本の向こう側、それは決して入ることのできない世界って感じがして、何か一枚の物での隔たりみたいなものがあるんだけど、
この物語の安井刑事だけは、私は、キャラクターとしてではなく、そこにいる生身の人間のように感じてしまいました。
これはとても珍しいことです。
あとねぇ、
ミステリーだと、話したいこといっぱいあるんだけど、それ書いちゃうとネタバレになっちゃうんでね。
どう書いていいか難しいところなんだけど、
この本は、文庫化にあたって第九章が加筆されたらしいんだけど、
私は加筆してくれて良かったと思っている方です。
第八章で終わっても評価は下がらないですけどね。
ただ、私てきには、第九章をもって自分の中の答えが確定された感じかな。
物語てきにあいまいに書かれた
なぜ、ミサキは彼らと寝たのか?安井刑事は信じたくない、信じてないかもしれないけど、私は462ページに書かれたミサキのセリフは本当だと思ってる。
そして、この小説で私が一番意外だった人物が牟田だ。
たぶん、牟田を映像化した時にみれば、意外でもなんでもないかもしれない。
けれど、私が読みながら想像してた牟田は、ミサキから見た牟田とは全く違う牟田で、
それこそ、人間の本性というか、印象というか、
最近流行りの?
印象操作とはよく言ったもんだな。と。。
まぁ、私が勝手に牟田をそういう人だと思い込んでただけで、小説の読解力、想像力がバカなだけなんでしょうけどね。
私は、牟田の奥さんが庭に出られないくらい牟田のことを想ってた人だったから、てっきり真面目な人物だと思ってたんですよ。
けど、ミサキから見た牟田は違った。
これもまた、『本性』なんでしょうかね?
全469ページとけっこうなボリュームですが、たしかに一気読みしちゃうくらい面白いです。
衝撃のラストかどうかは、読んで体験してください。