嬉々として推敲する
WEB制作会社に勤めていると、ライティングや校正、推敲の業務が往々にして発生する。
ライティングは時間泥棒だ。タイトル決めから頭を抱えることとなるため億劫になる。かと言って、分かりきった文章をつらつら見るだけの校正は、なかなか眠たくて面倒だ。(特に専門的な文章になればなるほど苦痛が伴う。暗号のような型番なんかが並んだ部品の説明原稿へ臨む前は勇気を奮う必要がある。)
それらに比べ、推敲はなかなか面白い。飛んだ接続語に、文中で不意に変わる動詞の主語。穴埋め、言い換え、ゲームのような間違い探し。作文に不慣れな人が作成したであろうインタビューは涎が出るほど好物である。格好つけようとして背伸びをしたばかりに、余計アベコベになった文章も見るだけで楽しい。まるで気分は推理ゲームのプレイヤー。自分勝手に書き手の性格まで想像する。
疲れない程度に分かりやすい間違いは、簡単にクリアできるためメンタルに優しい。むしろ知的生産物を生業とする故に常にエネルギー不足な脳の、ちょっとした娯楽でさえある。人の間違いを見つけてしめしめと喜ぶ自分の性根の悪さに少し辟易するが、楽しいものは仕方がない。
推敲の仕事はビール片手に行きたい気分。
同業者の方は同じ気持ちなのではないだろうか。半ば確信を持った気持ちでいる。