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死にたいから目を逸らして


死にたい。死にたい、死にたい。
今日も一日、私は死にたかった。

自殺の方法を調べた。案外楽に死ねない、とそんな記事が出てきて、この世は本当に地獄だと思った。正に、生き地獄だ。
どうして、生まれてきてしまったんだろう。
どうして、軽率に産んだりなんかしなければ……そう親を憎んだ。何度も、何度も。
別に虐待されたとか、過去に酷い目にあったとかそうゆう訳じゃない。寧ろ、いい方だと思う。まあ、親子関係はそれほど良くはないけれど。

ああ、死にたいな。
どうやって死のう。一番楽な死に方ってなんだろう。

そんな事を、何度も考える。
何をしていても考える、毎日。

音楽を聴くと、涙が出てくる。
懐かしい、中学生の頃に聴いていた音楽。
懐かしさに何故か胸が締め付けられて、ぶわあっと涙が浮かんで視界がぼやけて、ぽたり、と大粒の涙が床に落ちる。

最悪、最悪だ最悪。
どうしよう、辛い。辛い、辛すぎる早く死にたい。

そうして、どうやって死のうって今日も考える。
死んだ芸能人の生きていた頃の動画を見て、変に共感した気持ちになって、仲間意識が芽生える。

ああ。もう、良いかな。そろそろ良いかって考えた。
具体的にあれこれ考え出す。

そして、そこで気が付く。

例えば、よし。
じゃあ明日の朝、決行しよう。
そして、どうにか死ねたとして。
そしたら、次は? あとは、他にどうなるんだろう。

私が死んだら―――みんな、どうなるんだろう。

そう、勝手に頭が考え始める。

今連絡をとっている友達。
いつも相談に乗ってくれて、長文のLINEを送りあって、好きな人の話をして、遠くに住んでるから年1回くらいは会って、遊んで、語ってくれる大切な友人。

きっと、私が死んだら泣くだろう。
そう確信が持てるほど、自信のある関係性だ。

多分、私の好きだと言ってるアーティストの曲を聴けば、一緒に遊びに行った土地に行けば思い出してくれるんじゃないか。

多分、きっとそう。

それから、実の妹。
とても仲がいい。周りから首を傾げられるほど、仲が良い。

きっと妹は―――私が死んだ後、妹は。

そう考えたら涙が出て、出て止まらない。

好きなこと、好きな物、好きな人を伝え過ぎた。
嫌いなものも、必要以上に伝え過ぎている。

だからきっと、あのアニメを見れば、曲を聴けば、キャラクターを見ればあの場所に行けば駅を使えば、帰省すれば、誕生日を通り過ぎれば、命日を過ぎれば。

幾度と無く、何度も、何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も。

きっと、私の事を思い出す。
そしてきっと、その度に涙で視界を滲ませて、心を暗く曇らせて、胸は引き裂かれるように痛んで、辛くて、どうしたらいいのか、どうすれば良かったのだと思い悩むだろう。

それに、気が付く。
死にたい、死のうと思った時。

そんな私の死に影響される人達の事が頭に浮かぶ。

そして、どうしようもなく泣けてしまう。
自分はなんて駄目なんだろう、と。
なんて自己中心的な考えをしているんだろう、と。
自分勝手に死んで、こんなにいつも愛してもらっているのに、その人達を悲しませるような行動をしようとして、なんて酷い人間なんだろうとそう思う。


だから、まだ、死ねない。そう思った。

死にたい、死にたい、死にたい死にたい。

でも、せめて自分が大切だと思う人、大切にしてくれる人が天国に行くまでは生きなくては。

大切な人の人生に、私のせいで傷を与えるわけにはいかない。それは、全然望んでいないことだから。

だから、明日も生きなくては。そう今日も泣きながら踏みとどまっている。

ああ、死にたい。
ひとりぼっちだったらとっくに死んでいただろうな。

あーあ。

明日は、何をして時間を潰せばいいだろう。
私は、あとこの先どれくらいの時間を消費すれば、ゴールに辿り着けるのだろうか。

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