3.Trump at Davos 2025 Q&A 1 ダボス会議のトランプ 質疑応答1
先の記事でダボス会議でのトランプ大統領のオンライン演説を紹介した。この記事ではその後の質疑応答について要点をまとめてみようと思う。
司会は、ダボス会議(世界経済フォーラム)議長のBørge Brende (ノルウエー語の発音をネットで調べたらベルギ・ブレンダくらいに聞こえたが、。たぶんスエーデン語だと、ベルジュ・ブランダになるか?)が務めた。
Børge Brende氏は、ノルウエーの保守派として外務大臣(2013-2017)を務めた後、2017年からダボス会議(世界経済フォーラム)の議長を務めている。
なお各質問者は、大統領就任の御祝儀(?)的な配慮で、トランプ大統領の友人から選ばれたように私には思えた。ブレンダ議長も終始にこやかな笑顔を見せていた。
まず質疑の口火をきったのが、ブラックストーン社CEOのスティーブンA.シュワルツマンだった。シュワルツCEOの質問。
Stephen A. Schwarzman (スティーブンA.シュワルツマン)Chairman, Chief Executive Officer and Co-Founder, Blackstone Group (ブラック・ストーン社の共同設立者で、最高経営責任者)
ユダヤ系アメリカ人でペンシルバニア州出身。
私は、ブラック・ストーン社はグローバリスト(とにもかくにも企業の製造コスト削減のため、投資先企業に対してオフ・ショアー(安い労働力を求めての海外生産)を徹底的に強制し、短期的な利潤をあげようとする。これはナヴァロ博士の自叙伝での一説から引用したもの)の代表格の投資会社と思っていた。
しかしシュワルツマン氏は、トランプ前政権で、Strategic and Policy Forum (2017年2月~8月にトランプ大統領下で開催されたアメリカ経済活性化を議論する16名からなるフォーラム)でシュワルツマン氏が議長を務めた、とWiKiで知り驚いた。
だからシュワルツマン氏は個人的にはむしろ愛国者であり、トランプ大統領と考えが似ていたのだが、投資会社CEOとしては、会社の短期的利益を優先した、という事なのかもしれない。
トランプ大統領の回答
私の印象
この質問の主旨は、トランプ大統領が演説で主張したアメリカ国内の根本的な規制緩和について、その理論(あるいは理念)と具体策、さらに見通しについて知りたい、という事だったと思う。しかし、トランプ大統領は、意識的にかどうか分からないが、なんらの具体策も見通しも述べなかった。
私の勝手な解釈は、アメリカ国内での規制緩和の最大の障害は、ディープ・ステートであり、トランプ政権の最初の目標はそのディープ・ステート摘発と解体にある。その結果として、やっと実際の規制緩和ができる、そういうシナリオではないか、と思う。
つまり、規制緩和を具体的にどう実行するのかは、ディープ・ステートをどうやって解体するのか、という話になる。それは、敵であるディープ・ステートに手の内を見せる事になるので、あえて説明しなかった、という事かもしれない。(あくまで私見であり、考えすぎかもしれない)
むろん、主要閣僚の指名順を見ればドリーム・チームと呼ばれるほどの強烈な個性派ぞろいで、かつ熱い愛国者を揃えた事が分かる。
まず安全保障補佐官にマイケル・ウオルツ氏、CIA長官にジョン・ラトクリフ氏、新設した政府効率化省をイーロン・マスク氏とヴィヴェック・ラマスワミ氏、国防長官にピーター・ヘグセス氏、国土安全保障省にクリスティー・ノエム女史、全ての情報機関を統括する国家情報省にトルシ・ギャッバード女史、司法長官にポム・ボンディー女史、そしてとどめはFBI長官に、”我らが”キャッシュ・パテル氏。
トランプ大統領は、自身の第1次政権でのディープ・ステートによるサボタージュを受け、思ったように改革が進まなかった、という痛い経験をした。ピーター・ナヴァロ博士が、コロナ対策で孤軍奮闘するのを、ファウチ所長に悉く邪魔をされ、さらにTV等のレガシー・メディアを通じて、誤った見解を喧伝し、トランプ政権のコロナ対策を意識的にサボタージュした、と告発している。
ナヴァロ博士は、第1次トランプ政権で、"Director of the new Office of Trade and Manufacturing Policy" 新設された通商製造政策室の室長として、主に対中国制裁と国内製造業の育成に、文字通り辣腕を振るった。今政権でも,
"Senior Counselor for Trade and Manufacturing" 通商製造担当の上級参事官に任命されている。(この役職はナヴァロ博士が第1次トランプ政権で最初についた役職と同じ)
そのナヴァロ博士が書いた、”In Trump Time” (トランプ政権時)は、ご自身がディープステートからどれほどひどい妨害をうけたのか、また本来の職務ではないコロナ対策にトランプ大統領の右腕として孤軍奮闘しなければならなかったのか、実名をあげ生々しく描いている。この本(英語)は、なぜかアマゾンでは、ハードカバーがわずか¥852で販売されている。私にとっては(私程度の英語力では)かなり格調高い英語で書かれており、簡単には読まなかったが、この立派な本が¥1,000でお釣りがくる価格で買えるのは非常にありがたい。みなさんも英語の勉強(あるいは復習)のつもりで購入されることを強くお勧めしたい。
そのファウチ博士は長年 National Institute of Allergy and Infectious Diseases (NIAID)(アレルギー感染症国家研究所)の所長を務めていた。先ごろ、バイデン大統領の在職最終日(1/20 午前中)にpreemptive pardon 先制特赦をもらっている。(まだ告訴すらされる前に、将来告訴されることがないように事前に特赦しておくこと)
のコロナについての悪行を列挙してみる。(ただし保守派の主張であることをお断りしておく)
当初はコロナは重症にはならないと主張していたが、後に重症化すると立場を180度変えた。
ワクチン接種で重症化は防げると、また他人に移すこともないと、ワクチン接種を強く扇動した。結果、軍・警察等の政府機関と、民間航空機ではワクチン接種が義務付けられ、接種を拒否した職員が大量に解雇され、また接種証明書のない乗客は旅客機の登場を拒否された。
そもそも、ファウチ所長には、中国の武漢ウイルス研究所に研究費を支給し、遺伝子操作 (gene engineering)させた。その結果が武漢ウイルス(WHOはCOVID19と発生源をごまかしたが)になった、との疑惑も持たれている。本人は、この疑惑を全て否定しているが、研究費を支給していたのはどうも事実のようだ。
翻って我が国の現状を見ると、ディープステート(官僚)というよりも政府自身が過激左翼主義=媚中派により牛耳られているので、まず現政府打倒と自民党からの過激左翼主義者の一掃が先決のように思う。
またお隣韓国では尹(ユン)大統領が弾劾訴追後に支持率を伸ばし、合わせて与党も支持が集まっている。対して李野党党首と野党側は支持率が下がってきているようだ。結果、弾劾訴追裁判がどうなるのか、まだまだ分からないようだが、しかし少なくとも韓国でも保守派、特に左翼反日・反米教育、親北親中教育を受けてきたはずのX世代(20~30台)の若者が、政治に関心を持ちかつ保守を支持するようになってきたらしい。(詳細は、李相哲TVや呉善花チェンネルを参照ください)
アメリカ、韓国で保守派巻き返しが勢いをつけてきたのは間違いのないところ。対して我が国は全くののけ者状態で、トランプ政権が早々と禁止した、”政府によるネット言論の検閲と統制”、をやろうとし、媚中としかいいようのない政策を矢継ぎ早に進めている。暗澹たる気持ちにしかならないのだが、いや諦めたら負けだと思う。アメリカ、韓国を見習い、我が国でも一日も早い保守民衆運動がおこり、自民党保守派議員が現政府に公然と反旗を翻す日を心待ちにしている。
次に質問したのは、フランスの”Total Engergy”社CEOのPatrick Pouyanné (パトリック・ポヤンヌ)氏。フランス語なまりのきつい英語で私には非常に聞き取りにくかったので、私は質問の意図を取り違えているかもしれない。
アメリカ国内で天然ガス採掘プロジェクトが多すぎるのではないか、それに対するあなたの "illusion" (幻想)を聞かせてください、との発言だったように私には聞こえた。しかし、いくらなんでもアメリカ大統領にむって、"illusion" (それほどたくさんの天然ガス油田などない、と暗に示す)とは言わないだろうと考え、とりあえず無難に"vision"見解としておいた。
もしかしたらフランス語の"illusion"には、幻想的ではなく現実的な見方、という意味があるのかもしれない。フランス語に担当な方に教えて頂きたい。
Patrick Pouyanné氏は、パリのエコール・ポリテクニック大学を卒業した後、Corps des mines(フランスの経済財務省付属の政府機関の一つで高級技術官僚を雇用、教育、配属する。ほとんどの技術者はエコール・ポリテクニック大学出身者とのこと)に入所した。さらに1997年フランスの石油会社エルフ社に入社し、カタール油田調査にあたった。200年にトータル社(フランス最大の石油会社)がエルフ社を買収したため、ポヤンヌ氏もトータル社勤務となり、現在は同社のCEO。2018年のダボス会議でトランプ大統領の夕食会にまぬかれ、2022年にはバイデン大統領の帆ライトハウス夕食会にマクロン大統領と共にまぬかれている。
トランプ大統領の回答
まず最後の質問については、”YES"です。我々は(欧州向けの)ガス輸出量を確約する用意があります。アメリカが約束しガス量を輸出してくれるのかどうか、例えばどこかの戦争の影響で、約束量が買えなくなる危険があるのではないか、と不安を持つ事は私にも良く理解できます。だからこそ我が国はキチンと輸出量を確約する取引をする準備ができます。(ここでも確約ではなく、deal 取引をつかっているのが、いかにもトランプ流と感じた)
私の前の政権のとき、ルイジアナで2つの巨大なガス油田開発がありました。その開発には$14B(2兆円)かかったのですが、ガス採掘の政府許可が10年近くかかっていてもおりていなかった。しかし、私が政権ととってから1週間もかからずに採掘許可を出しました。そのプロジェクトは日本を含む多くの国が参加していたが、彼らは何故これほど早く政府許可が下りた事が信じられなかったくらいです。
一つアドバイスすると、コンサルタントに巨額のコンサルタント料を支払うのは無駄なので辞めた方が良い。私だけが許可を出せるのだし、実際、どのコンサルタントからも私に対して問題提言はされなかったのです。私は自分で問題をみつけ解決しました。なぜなら、アメリカと欧州にとり正しい事だと分かっていたから。
そしてガス価格については、私は反対の意見です。採掘すればするほど価格は下がります。だから我が政府は、素早く開発と採掘許可を出すようにします。
例えば、AI開発と発電プロジェクトには、非常事態宣言でプロジェクト推進を加速しています。
アメリカにとっての最大の問題は、今後現在の2倍のエネルギーが必要になるという事なんです。特にAiは中国対抗のためにも、中国に先立ち実用化しなければなりません。そのためには巨大な発電量、つまりエネルギーが必要です。
私はAI開発センターの隣に発電所を建設するよう提案しました。AI開発担当者は、”冗談でしょう?”、と言ってきましたが、私は、”いや、冗談じゃない、私は本気だ。AI開発には既存の電力網に頼っていてはダメだ。独自の発電所が必要なんだ”、と説明した。
そしてその発電には、もしかしたらクリーン・コールをバックアップとして使えるかもしれない。例え石油ガスという既存ノエネルギーとはいえ、例えばパイプラインが爆発、故障した場合、その発電所は稼働できなくなる。しかし実は、AI開発センターのすぐ隣で石炭を採掘できる会社があるのです。そうすれば石油ガスの輸送上の問題がおこっても、バックアップ・エネルギーとしてクリーン・コールが使えるようになります。
注:クリーン・コール
石炭を微粉末状に粉砕し、ほぼ完全燃焼させることでクリーンな発電ができる。実は、我が国にはこの微粉末粉砕技術と特赦な燃焼技術があるので、ぜひこのトランプ・プロジェクトに手をあげて欲しい、と願っている。多少出費がかさみ、事業としては赤字になった、としてもその経験でえらるもの、そして何よりトランプ政権でのプロジェクト成功という実績は、後々大きなセールス・トークとなり、アジア、アフリカそして欧州を含む全世界で石炭資源の見直しとクリーン発電推進に大きく貢献できるはず、と考える。
そして次に、いよいよBank of AmericaのCEO、Brian Moynihan (ブライアン・モナーン)が質問にたった。私は、おそらくモナーンCEOはトランプ政権の目玉施策の一つである、”Crypto” 暗号通貨(仮想通貨)について銀行家として質問するものと期待している。
残念だが、これから用事があり記事を書けなくなったので、次の記事でその質問とトランプ大統領の回答を紹介しようと思う。
最後まで読んで頂きありがとうございます。
ご批判を含めて、ご意見、ご要望または感想なりコメントなりいただけると嬉しいです。
なお次の質問はできるだけ早く記事を書き、紹介できるようにするつもりです。