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【NPB】開幕4連敗の阪神に早くも始まる不協和音、ケラーの守護神失格の影響は?

2022年NPBが開幕、我がヤクルトが幸先よく阪神を3タテして最高のスタートを切った、とお祭り記事を書こうと思ったのだが、ちょっと様相が変わってきた。とりあえず、阪神の2カード目も見てやろうと29日は神宮とマツダを行ったりきたりしながら過ごしていたのだが、あまりに悲惨な展開を見せつけられて、珍しく阪神をテーマに一本記事を書いてみることにした。

●早くも「虫ケラー」の異名がついた新守護神●
まず、試合結果から。
デイリーの記事になる。


阪神・矢野監督 ケラーを抑えから外す、新守護神は「湯浅でいこうかな」
「広島3-2阪神」(29日、マツダスタジアム)
 阪神が悪夢のサヨナラ負けで開幕4連敗を喫した。開幕4連敗はワーストタイの5連敗を記録した95年以来、27年ぶりとなる。
 試合後に報道陣の取材に応じた矢野監督は、言葉を絞り出すように話した。「(勝つ難しさは)重々感じています」。勝利目前でもまさかの敗戦。最終回には満塁のピンチで守護神・ケラーを途中で諦め、若手右腕の湯浅にバトンを託したが、西川に右越えのサヨナラ打を許した形となった。指揮官は湯浅を責めることは一切、しなかった。
 「あそこはね、もう開き直って勝負に行った結果なので。あそこで行く経験ももちろん湯浅にもまだなかったし。でもまあ、そういうところから、経験を積んだ中から成長して行ってくれたらなというところで。誰が行っても、どう行っても厳しい場面なんで」
 ただ、ケラーに関しては「後ろ(守護神)っていうのは外すけど、優(岩崎)はそのまま(八回)の方がいいのかな。あそこでつなぐところは大事なんで」と言及。新守護神については「現状、湯浅で行こうかな」と明言した。
https://news.yahoo.co.jp/articles/842aedf5434239cf22740defdac5b08c71530ce9


ネットは大荒れだった。阪神ファンのyoutuberたちは顔面を真っ赤にして怒りの声を挙げる者あり、真っ青な顔で必死に善後策を模索する者もあり、で他球団ファンはいつものように彼らをからかうことさえできなかった。動画収録後、何人か警察に逮捕されるんじゃないかという不穏な空気が充満していたと言っていい。

全ての原因は、今季から阪神のクローザーに指名されたカイル・ケラーのあまりに低レベルなパフォーマンスにあった。
25日の開幕戦は、予想外の乱打戦になり、7回終了時点で阪神は8-3でリードしていたものの、先発藤浪が降板した後を受けた斎藤、岩嵜が我がヤクルト打線につかまり1点差に、迎えた9回に登場したケラーが山田に同点ソロ、更にサンタナにも勝ち越し2ランを浴びて轟沈した。一時は7点差をつけていただけに、阪神ファンはこの時も相当な荒れようだったが、まだ1敗だと最後は気を取り直して就寝した、そんな感じの夜だった。
しかし第2戦、第3戦と我がヤクルト投手陣に連続零封負けをして3連敗、一日おいた29日の対広島戦で空気は変わるかと思いきや、1点リードの9回に再びマウンドへ上がったケラーが、1死満塁の大ピンチを作って降板、慌てて救援に立った湯浅が西川にライトへヒットを許して逆転サヨナラ負けとなってしまったのだ。

阪神は、昨年までスアレスが守護神を務めていた。160キロのストレートを投げる剛腕で、我がヤクルト打線も常に苦汁を味合わされた相手だった。絶対的な存在だったと言ってよく、8回岩嵜、9回スアレスの並びは盤石そのものだった。
だが、昨年オフで契約が切れると、スアレスは阪神残留の道をあっさり捨ててメジャーへ帰っていった。その為、今季の阪神は空いたスアレスの穴をどう埋めるのかが最大のカギだと言われていた。
もちろん、阪神フロントもその点は理解しており、外国人の穴を外国人で埋める措置をとるべくケラーを獲得したのだが、日本への入国に規制が敷かれていたこともあり、チーム合流が3月に入ってからとなっていた。ケラーもアメリカ国内で自主トレをしていたとのこだったが、開幕に調整が間に合うのかが最大の焦点と見られていた。
ケラーは何とかオープン戦でも登板はしているが、明らかに球の走りが本調子ではなかった上に、肝心のセーブ・シチュエーションでの投球を試すまでには至らなかった。なので、25日は完全なぶっつけ本番で出番が回ってきたことになる。しかも、本来なら投げる展開ではなかったはずが、終盤に追い上げられて急遽名前を呼ばれたに等しかった。しかも、球場は何が起きているのかわからないという阪神ファンの放つ異様な空気に支配され、ケラーにとっては最悪な環境での日本デビューだったと言っていい。

ケラーの事前情報としては、150キロを超えるストレートに、かつて阪神で投げていたジョンソンばりのパワーカーブで三振をとれる投手というものだった。だが、山田へ投げた初球はいわゆる「ションベンスライダー」で、あれ?と思った。2球目も同じ球を投げ、山田がそれを仕留めてレフトスタンドへ打球を運んだ。ストレートも制球がアバウトな上に高めへ浮く打ち頃なスピードで、これではいくら何でも我がヤクルトのクリーンナップが打ち損じるわけがない、と見ているとサンタナが豪快に本塁打を放った、そんな感じだった。
日本に慣れ、調整も進めばもっと球速が上がるのだろうが、140キロ中盤が精いっぱいでカーブもキレが悪く、これ以外に決め球となる変化球を持っていないのであれば、守護神はおろか1軍で投げる場面はないのでは?と思った。巨人にいたダン・ミセリのように、1か月もたずに帰国してしまうんじゃないか?というくらい頼りない印象しかなかった。

阪神ベンチは、開幕戦でのケラーを見て、それでもまだ配置転換を口にはしなかったが、敵ながらそれで大丈夫か?と心配になった。
幸いなことに?第二戦、第三戦で再びケラー登板の機会は巡ってはこなかったが、もしセーブ・シチュエーションとなった時は何点差であろうと我がヤクルトが追い付き、逆転ができるとほくそ笑んでいたので、残念ではあったのだがw

しかし、野球の神様はケラーに残酷だった。広島とのカード初戦でまた1点差の9回という場面を準備し、そこでケラーはまたやらかしてしまったのだ。
この日、阪神は坂本がマスクを被っていたのだが、配球に苦労していることが手に取るようにわかった。ストレートは何とか150キロまで出ていたが、カーブの曲がりが悪く、結局「ストレートのタイミングで待っていればカーブも打てる」というかわしようのない場面がすぐにできあがってしまうので、坂本はストレートで押せるだけ押して、カーブの打ち損じを願ってサインを出す、という状況になり、これは見ていてもかわいそうだった。そして、苦心の末に投げたカーブを広島打線は事もなく振り抜いていったわけだ。
守備陣も、空振りをとれずに苦しむバッテリーの空気にあてられたのか、歩かせた走者が盗塁を試みるとアウトのタイミングで送球を受けた遊撃の中野がタッチの際に球を溢してセーフにしてしまい、その後はケラーもピッチャーゴロが手につかずダブルプレーができない、とどんどんドツボにはまってしまった。満塁まで攻められたとことでケラーを諦め、急遽登板した湯浅はプレート上で笑顔を見せてはいたのだが、その口元は明らかに引きつっていた。ああなってしまっては、勝利の女神も逃げていってしまうものだ。

その後、ネットでは大騒ぎになっていったわけだが、やはりそこは阪神ファンだ、早速ケラーを「虫ケラー」と呼ぶ声も溢れるなど、殺伐とした空気に包まれていった。


【繰り返された悲しい事件】ケラーのSNSへ誹謗中傷が届いた件について思う事.. 方程式再建へ湯浅の新守護神起用を明言【阪神タイガース 】
https://www.youtube.com/watch?v=vR_Te3z8RkE


しかし、2試合で2イニングも投げていないのに、26球ずつを投げている時点でブルペン要員としてもケラーは失格だ。矢野監督はクローザーを、1軍生活2年目に入ったばかりの湯浅へ切り替えることを試合後に語っている。だが、まだ2軍での調整までは口にしていないようなので、この点は疑問だ。もし調整の意味も込めてマウンドへ送っていたのなら、29日の試合も最後までケラーで行くのが筋だろう。試合を任せるとはそういう意味ではないのだろうか?あんな場面で担ぎ出された湯浅が、サヨナラ打を浴びた経験を守護神生活へそのまま生かせ、というのも酷な話のように見えたのだが、このあたりのブレブレな投手起用が、連敗に沈むチームを更に迷走させなければいいのだが・・・。

●そもそも阪神は、クローザー固定ができる陣容なのか?●
もちろん、昨日は「これからは湯浅で行く」と言っていたからと言って、今日の試合にそれを忠実に守る必要はない。ケラーを1軍へ置いたままにするのなら、8回をケラーか湯浅、9回は岩﨑と入れ替える手もあるだろうし、もしケラーがこの後使える投手になれば、オフの度に移籍騒ぎになることを考えて生え抜きの若手の方を長用すべき部分はあるのではないだろうか?またスアレスに逃げられたようなことを繰り返すのもバカバカしいように思うのだが。

我がヤクルトで言えば、2015年にバーネットが退団した後は石山がクローザーを務めていた。彼は1軍で経験を積んだ後の抜擢だったし、昨年不調となれば8回を投げていたマクガフへスパッと切り替え、その転換が功を奏して日本シリーズまで一気に駆け抜けていったことはご存じの通りだ。9回という特別な緊張の中で投げる投手には経験が不可欠で、その圧を新人が受け止められるのかは賭けのようなものだ。広島の栗林が去年その大役を果たしたことは記憶に新しいが、同じことを誰もができるわけではない。湯浅の起用はまさにそんな賭けにしか映らないが、ベンチもファンも、それに耐えることができるのだろうか?

というか、確か阪神の投手陣は現状でまだ出揃ってはいなかったはずだ。岩貞、及川、アルカンタラのブルペン要員が故障しているのだから、戻ってくるまでの暫定路線だと言って湯浅を指名した方が、まだ救いがあるように感じるのはおいらだけだろうか?ファンの中には、藤川になれるチャンスだ、ここで守護神湯浅の座を確立してしまえ、と檄を飛ばす向きもいるのだが、申し訳ない、あの引きつった笑顔の若い投手に、そんな開き直りを期待するのも酷なのではないかと思う、なぜなら、それができる阪神の投手なんて、ここ最近見た記憶がないからだ。才木、馬場、西(純)・・・、春には名前があって秋には消えている投手ばかりのような気がするのだがなぁ。

中には、相手打者の起用に応じて左右で常に投手を使い分けろ、という意見もあるようだ。要するに、9回に備えてブルペンは常に並んで二人が登板準備をする体制を、ということなのだが、そんなことをやっていたらあっという間にブルペンが消耗してしまう。我がヤクルトはギリギリまで肩を作らず、力を温存してシーズンを戦い抜くという戦法を取り入れて成功しているが、9回に2人準備はそうしたトレンドに逆行するものだ。もちろん、その程度でへたるようなキャンプをしていないということなら、どうぞご勝手にということではあるのだが。

今年、いざキャンプへ突入だ、というタイミングで、矢野監督は今季限りでの退任を明かしている。そんなことをする球団など過去に見たこともないのだが、そういう先のない今のベンチが、開幕から根幹がぐらつくような迷走を始めてしまうと、選手たちもどこを目指して戦えばいいのかがわからなくなるような気がする。たかがクローザー、されどクローザー、たった4試合でそんな基本的な部分が揺らぐようでは、今年の阪神、相当に苦しいシーズンを過ごすことになりそうだとしか言えない。

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