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【キュンパス旅】東北はしご酒のはずが…「その日、私は閉じ込められた」

社会のしがらみの中で働く素晴らしき大人たちよ、ごきげんよう。

今年もキュンパスが出たから行ったことない山形へ行ってみよう!と決めて、少しだけ早めに起きて東京駅へ向かう電車内。
これからの楽しい期待にニヤける。

大半の方が労働の地へ向かう一方、私は酒を飲みに山形へ行きます。なんなら、帰りは福島と郡山や宇都宮で途中下車して酒を飲もうと思う。


今日は、平日一万円の自由な乗り放題切符「キュンパス」で新幹線使った贅沢な「はしご酒」が私を待ってるんです!

日本酒を飲み比べているイメージ

別にね、福島へ戻ってきた時に天気がマシだったら仙台へ行って横丁へコンニチハしてもいい。

ある程度乗る新幹線は調べていたけど、ただの目安。そんなものに縛られなくたっていいじゃないですか。旅先の偶然の出会いに2度目はあるかわからないんです。

今、この時に全てをかけたい。

途中変更、全然オッケー。
今は今しかない。

私の旅には計画性がなく、適当。
良く言えば臨機応変。ただ「適度に当たってるという文字通りの塩梅」の精度は高い!って変な自負はあって、結果どうにかなると思ってる。


ド平日な水曜日。
キュンパス使いたくて休みを取った私の背中には、朝からすんげえ浮かれる翼が生えている。

周りの人に見えていなくて本当に良かった。
ナメたマウンティングで羽をむしり取られてたはずだから。



朝の私は浮かれていた。
まさか、この後割とすぐに「閉じ込められる」になるとも知らずに・・・・・・


その⋯

なんていうか⋯⋯


常日頃、自分はラッキーでライブの座席以外の当たりは良い方思ってるけど、その日はどうにも当たりが良すぎたんです。

5時間以上新幹線に閉じ込められました。



若干遅れて東京駅を出発した後、前を走る新幹線に何かが起きたとアナウンスがあり宇都宮駅で停車した後、一ミリも動き出しません。



安全第一。
それはわかる。わかるけど!
こっちは酒を飲むために旅してるんだ。
なんでこんな目に…?
アクシデントの当たりは良くなくていいんだよ?

サーフェス(PC)を持ってきていたので、ビジネススクールのグループワーク資料をカスタムしてるChatGPTと共に作り「日本酒の話しよーよ」と無駄に話しかけつつ、とてもとても捗った。

「閉じ込められたらChatGPTと日本酒を語る」というのは、ライフハックになるかもしれない。


それも良かったけど⋯けど⋯

在りし日の宇都宮駅

結果、1時間半くらい宇都宮駅ホームに停車。

作業に全集中した視界の景色は変わらないまま時だけが過ぎ、隣の男性もホントはここで食べるはずじゃなかったであろう駅弁を食べ終えています。


ずっとノイキャンイヤホンで音楽聴いていたからよく聞き取れないものの、車内では定期的に状況とお詫びを伝えるアナウンスが流れて、スーツ姿でいかにもお仕事な方々が席を立ってデッキへ電話をかけに行ったり、通路の人通りがありました。

いつ運転再開するかもわからない中、車内はザワツキながらも騒ぎ出す人もいなくてそこそこ静か。
安全のためですから仕方ないです。
仕方ない⋯仕方ない⋯呪文のように思い込む。


やっと走り出したと思ったら低速運転が続き、窓から高速道路が見えてハッとします。


車たちが、ジャンジャン新幹線を抜かして走ってく。



⋯あれっ!?

私は今、本当に新幹線という最高時速300キロ出す現代のバケモノに乗ってる?見たことない視界に意識が持っていかれそうになります。

おかしいな、間違えたわけないんだけど。

やっと速度が上がったと思えば、すぐ止まってはノロノロ走り、また止まってはノロノロと動く。

予定到着時刻はとっくに過ぎてて訂正された予定到着時刻にも着かなさそう。13時台には山形を出ようと思っていたのにどうしたことか???


なんならもう14時を回る現実。
まだ山形に着かないという事実。

絶望感がジワジワ広がっていく。



山形へ着くまで5時間以上かかり、人生で一番長く新幹線に閉じ込められました。


こんなことってあるんだ?

出発時、1ミリも思ってなかった東京駅で


山形に着いてウキウキなテンションのはずだった。
でも今、まず「駅から出る」ための方法を模索。

発券済で出発時間を過ぎまくっている山形→福島指定席切符は使えないから人力で変更するしかなく、みどりの窓口を見ると郵便局のように待ち人は番号札取って待つ方式。

何人待ちか近づいてみます。



デジタルに表された数字を見ると「15人」


はー?!
そんないる??

15人もみどりの窓口内に人いなくね!?


スタッフは1人の客を何分で捌いてるんだろう?
時間がもったいない&待ち時間予測ができないので、いったん駅ビルの商業施設内のトイレ行った後、みどりの窓口をまた見てみたら待ち人「14人」

⋯1人減ったか。


最低1組の対応に3分はかかるとしたら、あと約40分を待つ。待ち時間だけで山形時間を消費するなんてバカバカしすぎる。


山形を感じさせてくれよォ!
せっかく来たんだよ5時間かけて!!
次いつ上陸できるかわかんないんだよ!


山形に2時間いると見積もって、福島行きは16時台。


それまで日本酒飲むしかないだろ!


当初の目的を達したい。

「はしご酒」である。


駅からすぐの金森商店さんという酒屋さんへ向かいます。外に出ると雪がファーって降ってくるけど、フードかぶれば大丈夫なレベル。


関東で雪が積もるほど降らなかったから、雪景色が久しぶり。

入口

目当ては奥の角打ち!

先客が居て私も飲んでいいですか?と確認。
優しく対応してくれた店員さんのイントネーションに山形を感じます。

奥の缶詰おつまみも食べられる

冷ケースから飲み物を選んで、その都度お会計する方式です。

日本酒ラインナップ
おつまみラインナップ

去年、イベントで飲んで美味しかった銘柄、吾有事を選びました。

吾有事とクリームチーズいぶりがっこ

吾有事、ジューシーうまい。
クリームチーズいぶりがっこも最強。
これさえあればどこでも天国。

棚に置いてある日本酒の本を読みながら、ゆっくりいただきました。

もう一杯くらい飲みたくて冷ケースのラインナップをもう一度見る。でも、カウンターに常温で置いてある瓶が気になります。


お燗・・・だと・・・!?

十水 特別純米酒

十水は、以前、浅野日本酒店さんで飲んだことある銘柄「大山」のお酒です。十水仕込の十水だな、前飲んだときに学びました、少し濃厚なんですよね。ヤッターお燗できる!やるしかねえ!!

注文すると、店員さんがお湯を沸かし始めます。


お昼ご飯だから、もう少しタンパク質摂りたいと思って⋯⋯

ぶり大根!
熱燗器とぶり大根

ゴロゴロとした塊で食べ応えあってウマー!!!!ぶり大根の缶詰初めて食べた。こんなにしっかりと入っているんですね。
温めたらもっと美味しいんだろうな、お燗にも合うんだろうな。ふへへ。


そして、熱燗器がでてきてテンション上がります。
何回これ買おうと思ったか。
温度を測る酒かん計、こういうのあるのか〜便利。

店員さんは私が熱燗器見て急にテンション上がったことに不思議な様子でしたが、ずっとあこがれの酒器なのです。熱燗捗るじゃん!


十水のお燗は、ぬる燗より熱燗の50度くらいが好きな味わい。

間違いない。うまい。染みる。効く。
もちろんぶり大根にも合う。甘みと十水の旨味と温度を上げて広がる甘みが合わさる。
温かい。美味しい。

山形に到着できてよかった。
お燗で緩んで初めてホッとする。
熱燗はいい。
熱燗があればすべての絶望は乗り越えられる。
お酒とおつまみが美味しいだけで、救われた気分になる。

そう、私は救われに来たのだ…

ああ、こんなにも美味しいお酒があるのになぜ新幹線の中で無為な時間を過ごしていたのか。

仕方ない、けど、でも。


これ買って帰ろう、お土産にしよう。

創業107年の酒屋さんに出会えた奇跡


その後、駅前の観光情報センターで6種類日本酒を飲み比べ。

3ショット500円 6ショット1000円

良心的な価格設定です。すばらしい。
ジャラーってコインが出たら、受付のお姉さんにカップをいただきます。

いざ
いざいざ
たまに売り切れもありました

2オンスカップだったので、一杯30~45ccくらいだと思います。ラインナップは毎月変わるのかな。

一番びっくりしたのは、さっきの「十水」同様、浅野日本酒店さんの「大山」フェアで飲んだ時めちゃくちゃに高い酒の味がした「純米大吟醸 山形讃香」が1コインで飲めたことです。

6コインだと1コイン200円しないと考えたら破格。
赤字覚悟の大サービス。


だってこのお酒720mlで8,000円近くしますし、浅野日本酒店さんでも45ml1,250円しましたので・・・コスパ最強すぎません?
気づいた人だけラッキー。

参考 純米大吟醸 山形讃香

気づかなかったけど、他にも破格酒があるかもしれませんね。

パッと見、ズラリと並んで違いがわからない日本酒サーバにしれっと上等すぎるお酒を隠し入れるのってなんなの??
ご厚意で日本酒ファンを試してるの???


もし行かれる方がいたら、日本酒サーバでの出会いに幸あれ。




さて、水を飲んで駅へ戻ります。

みどりの窓口、待ち人何人まで減ったのだろうか?



………84。(1組3分*84組=4.2時間)


待ってられっかーーーー!!!



なんなの、何してんの?どこへ行くの?
そんなこの空間に人数いないだろ!
みどりの窓口はブラックホールなの?


待てる人ばかりなのこの空間は!?
だとしたら生き方が違う。
一生交わらない!交差点なし!!

待ち人数がバグっていやがる・・・


窓口の数MAXに人配置して対応中かもしれないけど、ここらで私の生きる時間をガリガリと削っていく音が聞こえる。

待ってられない!!と、
山形の雪にまみれる西川貴教


実はこんなこともあろうかと、先ほど金森商店さんで酒を飲みながら「えきねっと」でキュンパス使わず、通常料金で16時台初の山形→福島のつばさ指定席を予約しておきました。


キュンパスに頼ってるから待たなきゃなんないし、みどりの窓口の奴隷になるしかない。

だったら、もう頼らないでいい。
みどりの窓口の支配から開放させてもらう。

時間も距離も金で買おう!
そのほうが今を満喫できるでしょ!

ということで、お土産売り場をぶらついて駅のホームへ下ります。福島で途中下車してみようかなとか思ってたこの時は。

新幹線ホームの改札へ入ると、どうやら到着が遅れているらしい。


え、また!?



どうやら夕方になっても混乱は続いているようで、ホームには待っている人が増えてきました。

おそらく、一本前の新幹線が運休になったせいもあるのでしょう。まだ来ないんなら…と、記念写真など撮って戯れます。

山形駅と西川貴教

一時間は遅れなかったけど、ようやくつばさが到着して座席へ向かうと周りは満席に近く、予約時点のシートマップ見る限りガラガラだったはずの車内は人で溢れていました。

大人気じゃん。

やっときた

出発しても遅延のアナウンスが何度も放送されてノロノロ運転や停止している時間が続き、福島着時刻がどんどん遅れていきます。

16:55 米沢駅


やっと福島に到着した後、改札を出てからキュンパスを使いもう一度改札を通し、キュンパス利用に切り替えて東京行きの自由席へ並びます。
車内は混んでいたのでデッキに立って宇都宮へ。

東京まで立ちっぱなしは嫌だから、宇都宮で途中下車します。


疲れたし栃木の酒のんで帰ろう。
どんな時でも、はしご酒精神を忘れてはいません。


改札を出ると、あれ?なんか暗い・・・
宇都宮駅は、昨年4回くらい降り立って駅ナカのことはわかってたから、知った景色じゃなくて違和感。

なんとその日、宇都宮駅に直結する商業施設ゾーンが全館休業で改札付近だとNewDays以外の店が開いていなかったのです。

とても・・・暗いです・・・


ここでも当たったか!!


商業施設の休業なんて、年に一回とかでしょ?
なのに、なぜ今日なんだ、今日なのよ。



まあいいや、ウツノミヤテラスへ行って寿司でも食べて元気だそうぜ。

5貫セット

さらに、海老の味噌汁と七水 純米大吟醸が揃って、嬉しいセット完成!

と思ったら、店員さんからなぜかまた海老の味噌汁が運ばれてきました。もう来てますけど…??と言うと、お店側のミスゆえにサービスとなり2杯もいただくことに。


また当たったー!!!


今日初のラッキーな当たり。
美味しかったです。
汁物だったので全然食べれて余裕でした。

20時をまわり、混雑しまくってる新幹線を一本見送ったらびっくりするほどガラガラな新幹線に乗れて座れたのはいいものの、大宮~東京間の新幹線がつまりまくって全然東京駅に着きません。

また時間だけが経っていく感覚。


停車する時間がジワジワと今朝の記憶を呼び戻します。最後に閉じ込められたか⋯


しかし、今日はもう判断を間違えない。


戦略的撤退で、手前の上野で降りて在来線に乗り換えることに。

ようやく上野まで着くともう22時回っていました…
長かった~~!出られた〜!在来線は問題ない!




最後に、これからキュンパス旅をする方に伝えたいことです。

ここは注意!
キュンパス旅で失敗した2つのこと

1.新幹線トラブル時は「撤退」を選択肢に!


宇都宮駅からすぐの酒屋さんで11時から角打ちやってるし、寿司屋で昼酒できるし新幹線動いてないなら「途中下車」すればよかったんです。


今思えば、新幹線のトラブルってそんなに早く解消することってないですし、大体見るトラブル関連のニュースってすぐに運転再開しません。

山形行きを諦めて、東京へ引き返して長野や高崎へ行ってもよかったかも。どうせキュンパスで乗り放題なんだし、山形に固執しなくてもチャンスはまだあったのだ。

目的にこだわることも大事ですが、一方で早々に諦めて戦略的撤退や方向転換する勇気も必要です。


2.キュンパスの「指定席発券」は、乗る直前に!



キュンパスは、1日2回新幹線の指定席予約ができます。今回、山形へ行って帰る新幹線は全席指定席なので予め行きと帰りの指定席を予約しておき、当日朝にどちらも発券してしまいました。

乗る前まで発券しなければ自由に指定席券を変更できるのに、先に発券してしまったせい&みどりの窓口混雑で帰りの切符が使えなくて詰みました。

山形→福島間は自由席がありませんので、キュンパスのみでは利用ができないからです。


乗る前までは何があるかわかりません。
指定席利用の場合は、
「とりあえず予約だけして、発券は乗る直前」が最適解だと思います。



これを書きながら、去年のキュンパス旅では「急な変更があるかもしれないから⋯」と指定席切符を使う時、乗る直前に都度発券していたのを思い出しました。


去年の私のほうが明らかに賢いじゃん!




そう、去年は初めてのキュンパスが登場して、多少なりとも初心者なりに用心していたのです。


今年は油断ッ!

完全に油断!!

ユルッユル!!


いいですか、キュンパス利用は何度目になっても油断してはなりません。

これだけ覚えててくださいね…





飲むために、また旅に出る


今回のキュンパス旅はトラブルの連続だった。


新幹線に閉じ込められてクソほど待って、判断を間違えてみどりの窓口の順番はまるで来ない。
人のせいだけにもできなくて、自分にだってガッカリする。

去年できたことが、なぜ今年はできなかったのか。
学習はしないのか。
浮かれすぎたせいなのか。

⋯それでも、日本酒は裏切らなかった。

うまい酒はいつでも、どこでだって救いになる。
酒に救われるために、旅をしたのかもしれない。

次の休みはいつ?
次のキュンパスは、いつよ?
来年もやってくださいよ!?

利用者アンケート書くからな!!

まだ飲んでない日本酒が、銘柄が、全国にどれだけあると思ってんですか?

出会うためには、何度だって旅へ出るしかないじゃないか。

次こそ飲み倒してやるんでヨロシク!!!

アシタカはヤックルだけど
私はキュンパスに乗って会いに行く
共に生きよう


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