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【梅園魚品図正】(31) 黒鮒(ふな)/金鮒/眼張(めばる)
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黒鮒
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甲午二月四日猿江之産 増渕某氏送之 真寫
河魚類
『本草綱目』第四十四巻
■[魚+即] 魚 ■[魚+即] 資昔切音積 フナ マフナ
『釋名』 鮒 音附
モブシ ツカフナ 『萬葉集』
一名 鮮千羮 水■ [方+矣] 加恩薄
逆鱗魚 『事物異名』
波臣 『事物紺珠』
□ 『正字通』 □ ■[魚+雨+貝] 鰿 鰭 ■[魚+附] ■[魚+府] 皆其上同
■[魚+即] 魚 東方朔『神異□』
『萬葉集』
沖に行邉に 今や妹が為 はかすなとれる もぶしつかぶな
※ 「水■ [方+矣] 加恩薄」は、水族加恩簿。
※ 「神異□」は、神異經。
※ 「沖に行邉に今や妹が為はかすなとれるもぶしつかぶな」は、
沖方行き 辺を行き今や 妹がため
わが漁れる 藻臥し束鮒。
金鮒
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■[魚+即] 魚、䲙魚、俱に、鮒字を用ゆ。
時珍曰、呂氏春秋曰 魚之美者 有 洞庭之鮒
周冝王石鞁 文曰、帛魚■[帛+楽] 々。
□ 氐鮮黄帛其□、又、□、又、帛。
注云、郭公 □ 歩隹反魚各薜作 □□ 。
鄭云、今作 鮒 作音附 云々。
『徒然草』に、春三月鮒の頭に毒ありと云。又、此れを注解するの書□家、 雖 然 ■[北+白] 信ずるに足らず。鮒の毒に害せられしこと古今見聞の沙汰なし。
鮮■[魚+即] 銀絲鱠
香芹碧瀧澗羮
陪鄭廣文作牡子美
※ 「俱に」は、ともに。
※ 「沙汰」は、ここではうわさ、評判の意。
※ 「鮮■[魚+即] 銀絲鱠香芹碧瀧澗羮」は、杜甫の詩『陪鄭廣文游何將軍山林十首』の一節。
眼張 メバル
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海魚類
ヤケ 兵庫
筑紫に而 カウサ、メハルと云。
◇
筆者注 『梅園魚品図正』は、江戸時代後期の博物家、毛利梅園による魚図鑑です。説明文書は漢文体が中心でのためパソコンで表示できない漢字が多く、漢文の返り点と送りがあります。読みやすさを考え、パソコンで表示できない漢字は □ とし、名称の場合はできるだけ [■は〇+〇] の形で示すようにしました。
また、漢文の返り点と送りはカタカナと漢数字、振り仮名と送り仮名はひらがなで記載しています。
この作品に引用されている文献については、こちらの note を参照してください。 → 【梅園魚品図正】文献まとめ
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