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ねずみの嫁入り(3)婚礼の準備(身繕い)

婚礼に向けて、衣装の準備やお化粧など、身繕みづくろいに余念がない女中ねずみたちの様子が描かれています。
前回のお話はこちら ⇒「結納の儀(祝膳)

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婚礼の準備 身繕い

出典:国立国会図書館デジタルコレクション『鼠よめ入2巻


お歯黒をする女中ねずみ

ふしは 柳やのが とうで● よい
(ふしは柳屋のがとうで●よい)

※ 「ふし」は、お歯黒(鉄漿かね)の五倍子水ふしみずのことと思われます。
※ 「柳や」は、浅草寺の境内にあった楊枝ようじの老舗、柳屋やなぎやのことと思われます。

出典:国立国会図書館デジタルコレクション
『江戸名所図会 十六(楊枝店柳屋)』


髪を整える女中ねずみ

こうつくりかけた所は
だれでも ござりそふなものた
(こう作りかけた所は)
(誰でも御座りそうなものだ)

剃刀をあてる女中ねずみ

すりつけ ようではごさんせね
(すりつけようではござんせね)

此かみそりは よくきれやす
(この剃刀かみそりはよく切れやす)


着物を畳む女中ねずみ

これをたたんだらば をの/\
本小そてもたゝみませう
(これを畳んだらば 各々おのおの
ほん小袖こそでも畳みましょう)

それは みはゞが ひろいかへ
(それは身幅みはばが広いかえ?)

着物の寸法を測る女中ねずみ

よほど ひろふ こさります
余程よほど 広う御座ります)

着物を縫う女中ねずみ

二ぶ ばかり ぬいこんで をろつしやい
(二分ばかり縫い込んで をろつしやい)

※ 「をろつしやい」の「ろ」は、誤読しているかもしれません。

反物を裁つ女中ねずみ

いそく時は 三べんうたを よんで たつといゝやす
(急ぐ時は三べん歌を詠んでつと言いやす)

それはなんと い□ うたでござんす
(それは何とい □ 歌でござんす)


続きのお話はこちら ⇒「婚礼の準備(台所仕事)

筆者注 ●は解読できなかった文字、□は欠字を意味しています。
新しく解読できた文字や誤字・誤読に気づいたときは適宜更新します。詳しくは「自己紹介/免責事項」をお読みください。📖