【梅園魚品図正】(2) 鱮魚(たなご)/鮒(ふな)/海鱮(うみたなご)/はや
鱮魚 タナゴ タビラ 鰱魚
苦鮒 タナコ 関東にてよぶ者 是也。
京都にて ■魚 と呼ぶ。 [■は魚+節]
こぶなの名、惣名ならん乎。
『本草綱目』曰 鱮好 群行 相與
タナコの子は卵生せず胎生す。他魚に異り。海鱮の子も胎生。
『料理綱目』 ■ [■は鰓+去]
魴魚
『釋名』 ■魚 キタビラ 京 [■は魚+扁]
漢名 ■鰱 アブラザコ シブヒラ 彦根 [■は艹+二+田]
一名 金色鰱
時珍曰、魴は方也。■ は扁なり。其形方、其身扁、也。 [■は魚+扁]
※ 「猿江」は、現在の東京都江東区のあたり。
※ 「惣名」は、総称のこと。
※ 「時珍」は、『本草綱目』の著者、李時珍。
鮒 フナ
『本草』曰 鮒魚
多識篇 ■魚 コブナ [■は魚+節]
唐にて洞庭の鮒、日本にて近江の鮒、為佳品賞、源五郎鮒と云。
『本草』云
鯽魚 一名
魽魚 和名 布奈
『四聲字苑』云
鰆 鯽 鰿
海鱮 ウミタナゴ
『閩書』
海鯽 チヌ ウミタナコ
『順和名抄』
海鯽魚 和名 知沼
タナコは、皆胎生する者也。胞一つあれども、一つ/\にタテ有り。五六疋もあり。三月始は十の余もあれども、次第に生じて五六に及ぶ。色赤黒の者あり。河魚の鱮より味佳にして性軽し。総て、海魚は久く食ふて不 厭食。河魚は日に 歴て食へば、厭食易し。味甘く、気を塞ぐ力故也。
■ ハヤ 一種 [■は魚+節]
ヤナキハヤ ヤナキハヱ ヤナキモロコ 彦根
梅曰、毛詩 以 鰷魚 訓 ヤナギバヤ 。
鰷魚はアユとす非也。アユは香魚也。ハヱは彦根の國称、江戸にてハヤと云者也。鰷に數品あり。三巻、鰷の譜に出す。
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筆者注 『梅園魚品図正』は、江戸時代後期の博物家、毛利梅園による魚図鑑です。説明文書は漢文体が中心のためパソコンで表示できない漢字が多く、かつ 漢文の返り点と送りがあります。読みやすさを考え、パソコンで表示できない漢字は □ とし(但し、名称の場合はできるだけ [■は〇+〇] の形で表示)、漢文の返り点と送りはカタカナと漢数字、送り仮名はひらがなで記載するようにしました。
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