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【漬物レシピ】四季漬物鹽嘉言(3) 梅干しなど

出典:国立国会図書館デジタルコレクション『四季漬物鹽嘉言

梅干うめぼしづけ
うめよくいりたるを、一時いつときばかみづひたしてあらひ、梅一斗に 塩三升、紫蘇しそ 多少たせう はからひにて つけるなり。はじめは おしをかるくして、うめしほのしみたるにしたが段ゝだん/\ おしをつよくかけるなり。十四五日、又は、廿日をて、日和ひよりよき日をさだめ、へあげて 日に干なり。

当座とうざぐひには、一日か二日ほして、うつわにたくわふ。としひさしくかこひおくには、一日ほしては 夜はうめつけおき、又、翌日ほすなり。かくすること三日にして、それより四五日ほしあげて、からびるほどになりて、つぼに入べし。たとへ十年、廿年に及ぶとも、あぢわひかわることなし。梅干うめぼしつやもよく風味ふうみ格別かくべつなり。

右の梅酸うめずに、大根をはなきり、又は、うすくきざみて、生姜しやうがなど一所につけるは よく人のすることなり。上方かみがたにては、蓮根れんこん生姜しやうがおほくつけて、座禅ざぜんまめのかやくにも 赤い蓮根れんこんを用ひ、すしつけるには、せび べに生姜しやうがを遣ふこと つねの事なり。

この 梅酸うめずに、しそのしぼりしるを入て、徳利とくりにたくわふべし。料理れうりにはをり/\入用の物なり。

出典:国立国会図書館デジタルコレクション『四季漬物鹽嘉言

青梅あをうめづけ
青梅あをうめわかきうちにとりて、一夜いちや みづひたおき(是はにがみをとるためなり)、翌日よくじづ 水をきりて、青梅一斗に、塩二升をいれてかるくおして漬るなり。水あがりたらば、其水をこぼしすて、ざつとあらひて水気みづけをかわかし、又、すこし ふり塩をして漬るなり。せんの水にては、にがみありて その苦味にがみをさりてたくわふべし。

ついでにいふ。甘露かんろばいせいするには、右の青梅あをうめ苦水にがみづさりて、砂糖さとうみつつけおき紫蘇しそつゝみてしろ砂糖さとうをふりて、かるく|押《》おしをかけるなり。

千枚漬せんまいづけ
紫蘇しそ一枚いちまいづゝ よくあらひ、百枚、二百枚、段々だん/\かさねて、麻糸あさいとにてとぢ、ざつとをくゞらせて いたにはさみて、水気みづけをとくとしぼり、味噌みそおけそこならべて、たけをわりて、うごかぬやうにおさへおくなり。みその たまり自然しぜんとしみわたりて、あらずしてつくなり。

出典:国立国会図書館デジタルコレクション『四季漬物鹽嘉言

牛蒡ごばう味噌漬
牛蒡ごばう本末もとすへさりなかところ ばかり、六七寸にきりこれも ざつとをくゞらせ、味噌みそつけるなり。是は、沢庵たくあん大根のみそづけと、一所におけの下の方に漬おくべし。一年余もざれば つきかぬるものなり。三年、五年とふるくなるほど殊更ことさらよし。

印篭いんらうづけ
醬瓜まるづけ後先あとさききり中実なかごをくりぬき、そのなか穂蓼ほたで紫蘇しそわか 生姜しやうがあお 蕃椒とうがらし とうをおしいれ、甘塩あましほ加減かげんにして、おしついよつけるなり。六七日 たてば、くひころなり。うりへとうがらしのからみうつりて至極しごくよし。ぎりにしたる所、印篭いんらうたるゆへ、づくるものか。またいふ胡瓜きうりもかくのごとくするもよし。ぎれありて、まるづけうりにおとらず。

※ 「本末もとすへ」は、上と下という意味。
※ 「中実なかご」は、中央、中心のこと。中子なかご

出典:国立国会図書館デジタルコレクション『四季漬物鹽嘉言

渦巻うづまきづけ
胡瓜きうりすえころ、とうがらしを 沢山たくさんいれて、甘塩あましほおしをかけてつけおき、水十分にあがりたるとき、二ツにはわらず、たて包丁はうちやうを入れて、中実なかごをすきとり、一日天日てんぴにほして、よくさましおきかたはしより しつかりとまきたけかわをさきてけぬやうにまきしめ、ぬか五升に、しほ一升をあはせ、沢庵たくあんづけのごとくつけこみ、しつかりとおしをかけてつけるなり。十五日ほどたてばよし。ぬかあらひ、ゆわひめをときて、木口こぐちよりきるに🌀の如し。あぢからく、あまくしてぎれよし。

達磨だるまづけ
まるづけうりすえなりを 二ツにわり、中実なかごをとり、甘塩あましほにして押漬にする。うりなり  □ □  あそびの達磨だるまたるゆへに、よぶものか。かわこわくして、うち禅味ぜんみあまんずるか、そもさん。

すて小舟をぶね
越瓜しろうりを二ツにわり中実なかごとりて、しほもりて日にほし、あげ水をこぼさずしてほしつける。六七日もほしてからびたるときに、かさねて つぼやうなうつわにたくわふべし。ふゆうちよりはるへかけて、味醂みりんひたしおき、珎客ちんきやくにもてなすにめうなり。当座とうざぐひには 一日ほしほどとす。

たれやらが
  夕立ゆふだちや 干瓜ほしうりを すて小舟をぶね
といふによりてづけしとぞ。

※ 「そもさん」は、作麼生そもさん。禅問答において、相手の返事を促すのに用いる言葉。

『四季漬物鹽嘉言』📝
(1) 沢庵漬など (2) ぬか漬け 奈良漬けなど (3) 梅干しなど (4) 塩漬け他



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