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ねずみの嫁入り(4)婚礼の準備(台所仕事)

婚礼に向けて、台所では料理番ねずみが忙しく立ち動いています。お頭付きの鯛を焼く者、大たこの塩もみをする者、刺身を切る者、鴨をさばく者、竈でご飯と汁物の準備をする者… 皆が働くなか、ひとり樽から日本酒を注ぐねずみはご愛嬌です。
前回のお話はこちら ⇒「婚礼の準備(身繕い)

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出典:国立国会図書館デジタルコレクション『鼠よめ入2巻


鯛を焼く料理番ねずみ

これを むしつたら 酒ものめやう
(これをむしったら酒も呑めよう)

大だこを塩もみする料理番ねずみ

手前のざるには立派な大根が入っています。
魚の入ったかごを運ぶ料理番ねずみ
手前の魚はかつおでしょうか

こんたての □ ろつたか
献立こんだての □ ろつたか)

そこへうけとりたまへ
(そこへ受け取り給え)

ご飯と汁物を準備する料理番ねずみ

めしこと しること ようござるぞ
飯事めしごと 汁事しるごと ようござるぞ)

鴨の下準備をする料理番ねずみ

ざつと けやきをいたそう
(ざっと毛焼きをいたそう)

※ 「毛焼き」は、鳥の下処理で、羽をむしった後に皮に残った細い毛を焼いて取り除くこと。


女中ねずみと会話する料理番

あんなにのんだら よいやせう
(あんなに呑んだら 酔いやしょう)

しまつて のめと いや 大ぶんまだ用がある
(仕舞って呑めと いや 大分だいぶん まだ用がある)

刺身を切る料理番ねずみ

うらはらの ひやは よひか でませう
(うらはらの 冷やは酔いがでましょう)

※ 「うらはら」は誤読しているかもしれません。

すり鉢をあたる料理番ねずみ
日本酒の樽から酒を注ぐねずみ

女中ねずみは小言をいいたそうな表情ですね (笑)

これでひとつさ
(これで一つさ)


続きのお話はこちら ⇒「嫁入り行列

筆者注 ●は解読できなかった文字、□は欠字を意味しています。
新しく解読できた文字や誤字・誤読に気づいたときは適宜更新します。詳しくは「自己紹介/免責事項」をお読みください。📖