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【京都歳時記】十二月遊ひ 七月

出典:国立国会図書館デジタルコレクション『十二月遊ひ 2巻 下

さても、七月の七日は、天上に  あまの川とて  ふかくひろき川あり。一とやに、ただこよひばかり、牽牛けんぎう  織女しよくぢよ  の  あふ夜なれば、かささぎ  の  もみぢのはしを  わたして、ちぎりふかき  なかだちをなす  とかや。

厄巧奠きかうでん  とて、人みなこよひは  七夕まつり  するも  なまめかし。五色の糸をはりにさし、衣をかして、たなばた●めに事をいのるもさら也。

九日、十日は、六だうといふ所にまうでて、まつるべき  しやうりやう  を  むかふも  けしからず。

十四日よりは、寺に  せがきのくやう  あり。

※ 「六だう」「しやうりやう」は精霊迎え(六道まいり)、「せがきのくやう」は施餓鬼会せがきえのこと。

町には  聖●しやうりやう  のたるをかざり、百味のそなへもの、十六日までいとなむもたうとし。いゑいゑのかどには、いろいろのとうろうに火をと●し、むかしよりある事にて、わかき人みな出立て  をどりするも、たへぬ見物ならずや。

たれとはしらず、ほうかふりして、

 柳のこし たをやかに
 うちふり哥のふし しめやかにうたひ
    つれたるは

 夜目にみるから
    うつつ心に なりぬ


 秋ならで たれもあひみぬ をみなへし
   ちぎりやおしき ほしあいのそら


出典:国立国会図書館デジタルコレクション『十二月遊ひ 2巻 下



凌霄花  ノウゼンカズラ
Photo by mominaina



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