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変わらない街、仙台
「良さって離れてから気づくんですよね、なんでかなぁ」
今はもう住んでいない街の、カフェの店員さんに思わず吐露した言葉。
そう思える街ってどのくらいあるのだろう。そもそも住むことのできる街も案外少ないのかもしれないけれど。変わっていくことの意味を考えた、そんな旅の時間。
センチメンタルな街歩き
大学入学から社会人6年目まで住んでいた街、宮城県仙台市。前職を辞めて関東に住むことになったとき、もう住むことはないんだと強い決意をして仙台を出た。
関東へ来てから、居酒屋の店先で見る「東北産」の文字になんとなくセンチメンタルな気持ちになっていた。別に残してきたものもないのに何故、こんな気持ちになるんだろう。東北って田舎だし何もないしと思っていたけど、都会の人からすると素敵にみえることもあるらしい。
そんなこんなで、いつもの如く急な出張。今回の行き先は、仙台。
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「そう簡単には帰ってこない」
大袈裟だけどそんな風に思って関東へ引っ越したからかもしれない。住み慣れていたはずの仙台へ向かうのはなんだか不思議な気持ちがした。
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ホーム。駅構内。改札前。住んでいたときは何気なく通っていた道が、今はこんなにも心を揺さぶる画へと変わっていくのか、と思った。
何を買うわけでもなく駅ビルのPARCOやエスパル(駅ビル)をぶらぶらする。変わっていない佇まいに、なんだか自分だけが変わってしまったんだなと複雑な気持ちになった。
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駅ビルの中、アーケードの通りが懐かしい。変わることが悪いわけではないけれど、ここでゆっくり日々を過ごせたならそれはそれで良かったのかもしれないと思った。(今だからそう思うんだけど)
そんな気持ちで歩いている人が居ることはお構いなしに仙台駅は活気で溢れる。改札前のお土産屋さんからは元気なおばさま達の声が聞こえてくる。笹かまぼこの試食ができるからその声に釣られて寄りがちなんだよね。
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センチメンタルに街を歩きながらも日中の仕事を済ませた。
仙台を、食べる
夜ご飯はすでに決まっていた。あらかじめ牡蠣専門店に行くことを心に決めて近くに宿を取ったくらい。(ガチ勢)1個100円の生牡蠣を好きなだけ食べてちょっと白ワインとちょっと日本酒を飲んだら、幸福感。安いよねえ、関東だと6倍くらいの金額するもんね。
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次の日は朝からカフェ巡りをした。事前に、スペシャリティコーヒーがいただけるお店はチェック済み。(今年の夏の私はバリスタになることが夢だったので)
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見慣れた仙台の街を眺めながら食べる朝食は意外にも初めてだった。あの頃は毎日が忙しすぎて時間に追われすぎて、朝食をお店で食べるなんてしたことがなかったなぁ。見慣れたはずの道だけれど、また違って見える。
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お昼前にもう一軒『bal musette』へ向かった。以前、車を持っていた頃であればすぐに行くことができたお店に、地下鉄とバスを乗り継いで向かう。時間とお金を使ってわざわざ足を運んだ自分がなんだか可笑しかった。見え方や目指すものが変わると行動がこんなにも変わるんだなぁと。
マスターから「スペシャリティコーヒーの面白さ」を2時間も話してもらいながらコーヒーやエスプレッソを味わった。とても奥深い味に感じられたしどんどん夢が膨らんでいった時間だった。
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変わらない仙台と変わった私
また仙台駅へと戻って『I'Novel coffee』で遅めのお昼ごはんを食べることにした。こちらのお店はまだ開店して1年程だったはず。私が住んでいたときには無かったお店。女性1人がお店を切り盛りしているということで気になり向かうことにした。
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オーナーさんが醸し出す、優しく穏やかな雰囲気に心が癒される。そしてまたついつい、気付いたら勝手に『取材』を始めてしまうわたし(笑)
山形出身のオーナーさんが仙台でお店を開くことになった理由とか、どうして一人で?ドリップの仕方って?とか専門的なことまで聞いてしまった。きっと仙台に住んでいたらここまで聞かなかったんじゃないかなと思いながらも。
とても美味しくて居心地が良くて。今日出会った方たちとの縁も、お店も、街もすべてがあたたかく感じた。
「良さって離れてから気づくんですよね、なんでかなぁ」
今はもう住んでいない街の、カフェのオーナーさんにそんな言葉を吐露していた。
目の前に広がる世界は変わらずにいつも素敵なもので溢れている。自分が変わったからこそ、そんな素敵なものが見えたのかもしれない。
変わっていくことは悪いことじゃない。良い街だったな、またいつか住んでみてもいいかもしれない。