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OM SYSTEMにしかないメリットを活用して宝石バチ撮影


 今回の記事はYouTubeに投稿した動画の補足的意味も含めたものになります。

 マイクロフォーサーズ機やフルサイズ機、APS-C機、コンデジやスマホなど、様々なセンサーサイズのカメラがありますが、ここ数年でセンサーや画像処理エンジンの性能が飛躍的に向上して、じっくり見比べなければどのセンサーサイズカメラで撮影したのか分からないほど素晴らしい作品が撮れるようになってきました。

 そのような状況においてOM SYSTEMのマイクロフォーサーズ機(私がメイン使用しているセンサーサイズ機)を使うメリットは何か?と、尋ねられた時に返す第一声はもちろん「コスパが良いから」なんですが、

その次は「OM SYSTEMのカメラじゃないと撮れないもの、できないことがあるから」と答えます。

 その理由についてこれから説明していこうかと思うのですが、これより以下はTOPに紹介している動画をご覧いただいていることを前提に話を進めていきます。

 今回そのメリットについて語るOM SYSTEM機の被写体は、体長2cm程の「オオセイボウ」というハチです🐝

オオセイボウ
通称「宝石バチ」

 オオセイボウとは、体長約20mm、全身が青や緑の金属光沢を持つ美しいハチです。日本ではセイボウの種類は10属38種確認されており、オオセイボウはその中でも最大の種になります。ハチですが毒針は無いので刺してくることはないので安心して撮影できます。(撮影現場にはオオセイボウ以外のハチがわんさか居ますけど笑)

 このハチを撮影するのにOM SYSTEM機じゃないとできないやり方というものがあり、このカメラだからこそ撮れる画というものがあります。動画内でも説明しておりますので、その補足説明をしていきたいと思います。

使用する機材:
カメラ OM SYSTEM OM-1 mark II
レンズ M.ZUIKO DIGITALED 300mm F4.0 IS PRO

今回の撮影スタイル

超望遠単焦点手持ち撮影

 35mm判換算値600mmの単焦点レンズM.ZUIKO DIGITAL ED 300mm F4.0 IS PRO(以下 "サンヨン")はその焦点距離に対して軽量コンパクト設計なので、手持ちで楽々振り回せるサイズなのはOM SYSTEMのメリットです。
 同じ焦点距離の単焦点レンズで比べると、ソニーのロクヨンが約3,040g、キヤノンが約3,090g、ニコンが約3,260gに対し、サンヨンは1,475gと半分以下の重量です。
 フラッグシップ機のOM-1の重量が599gなのでサンヨンと合わせて約2.1kg弱、パワーバッテリーホルダーを装着して約2.4kgという重量になっています。
 同じくフラッグシップ機のソニーα1は737g(縦グリ無)でロクヨンと合わせると約3.8kg(縦グリ有は約4.15kg)、ニコンZ9と合わせると約4.6kg、キヤノンR3と合わせると約4.1kgという重量になっています。
 サンヨンもそれなりに重量はありますが、構えた時の重量バランスも良いのと強力な手ぶれ補正(IS)のおかげで、手持ち撮影も疲れにくく使用できるのではないかと思います。
 手持ちでフルサイズ機+ロクヨンを使用している方も居ることは居ますが、体長2cmのハチを4m以上離れてトリミング前提の構図で追いかけて撮るのは、不可能ではないにしてもあまり意味が無い現実的ではないですね。フルサイズ用レンズの方がMFTよりボケやすいので、普通にサンニッパとかもう少し焦点距離の短いズームレンズを使って近くで撮影する方が良いかと思います。
 

フォーカスリミッター1.4 - 4mに設定

 そしてサンヨンの焦点距離600mmに対して最短撮影距離が1.4mという短さ。近くで撮影できる事は解像度の面においてセンサーサイズの差を無くせることと同義に近いんです。なので最短撮影距離の近さはOM SYSTEMの大きなメリットなのです。
 
ソニーのロクヨンの最短撮影距離は4.5m、キヤノンは4.2m、ニコンは4.4mなので、比較してサンヨンは約1/3以上の距離まで被写体に近寄れるということです。
 この最短撮影距離を最大限活かすためにフォーカスリミッターを4mまでに制限することで、約2cmの被写体の飛翔撮影する時の中抜け(背景や手前の障害物にピントを持っていかれること)を防ぎつつ画角の余白を無駄にすることなく望遠マクロ撮影ができるようになります。
 OM SYSTEMにはボディ内フォーカスリミッターもありますが、今回の撮影ではレンズ側のリミッター距離で十分だったため使用しませんでした。ちなみにボディ内フォーカスリミッターとレンズ側フォーカスリミッターを同時にONにした場合はレンズ側が優先されます。

 あと今回の撮影では使用しませんでしたが、テレコンを装着した場合も最短撮影距離は変わりませんので、より大きな画角で撮影することも可能です。

連写モード(個人的には静音シャッターも可)

 動体撮影している人なら連写撮影はデフォルトだと思います。特にハチや蝶などは野鳥とはまた違う不規則な動きをするので単写で仕留めるのはなかなか難しいですよね。
 OM-1のメカシャッターは秒間10コマ。野鳥撮影の際にはちょっとコマ間が空いているのでなかなか辛いコマ数なんですが、動体撮影においてメカシャッターの利点はローリングシャッター歪みが無いということ。1/8000のシャッタースピードまで使えるのもOM-1のメリットです。しかし秒間10コマだと、留まっている場面ならともかく、飛んでいる素早いハチの動きではコマ数が足りないと感じます。
 電子シャッター(静音シャッター)は最大で秒間120コマでシャッタースピードは最大1/32000まで設定可能ですが、デメリットはローリングシャッター歪みが出ることです。
 ローリングシャッター歪みはメーカー関わらず電子シャッターの宿命とも呼べる代物なんですが、OM-1から搭載された裏面照射積層型Live Mosセンサーのお陰でローリングシャッター歪みがあまり目立たないようになっております。(※連写コマによっては大きく歪みが出ていることもあります)
 他センサーサイズカメラの電子シャッターで撮影したものと比べるとOM-1は比較的歪みが緩やかな傾向がありますが、この辺の許せる許せないの判断は撮影者それぞれの好みもあります。ホント、α9IIIのグローバルシャッター羨ましいですね…

電子シャッターのプロキャプチャーで撮影していますが、翅の描写はブレこそありますが歪みと言えるほどのものは無いと思います
 
ノーマルの静音連写(電子シャッター)でもプロキャプチャーでもローリングシャッター歪みの程度は同じです(※設定同条件の場合)

飛翔シーンを撮りたいならプロキャプチャーモード

  プロキャプチャーモードについての詳細は過去の私の記事を参照してください。

 プロキャプチャーとは簡単に言えばドラレコみたいにシャッターを切る前の数コマ〜数十コマ分を遡ったものも含めて記録できるモードですが、これは電子シャッターのみです。前項で語ったローリングシャッター歪みは出てきますが、その程度についてはぜひ私の作例で判断してください。そのデメリット以上に使用する価値があると思っているので私はプロキャプチャーモードを多用しています。


超望遠単焦点レンズで望遠マクロ撮影

 フォーカスリミッターの項の最後の方でテレコン装着しても最短撮影距離は変わらないと言ったと思うのですが、1.4倍テレコン2倍テレコンを使用すればより大きく画角に写せます。被写界深度も深いので絞り開放でもしっかりとした輪郭で捉えてくれると思います。
 私の場合は留まりものだけじゃなく飛翔も撮りたいので、テレコンを外して画角広めの開放F4で背景をトロトロに溶かした描写にしました。この描写はM.ZD40-150mmF2.8PROのようなズームレンズではより近寄ることはできますが背景をサンヨン並に溶かすことはできないので、超望遠単焦点レンズならではという特別感がありますね。特にマイクロフォーサーズは被写界深度が深い分ボケにくいので、わざわざサンヨンで撮る意味というのはそこにあるんです。

今回撮影できなかったルリモンハナバチ
サンヨン + MC-14 2023年撮影
開放F値5.6ですが背景の溶け感がいいですね


 望遠マクロ撮影はボケ感を演出しながら圧縮効果を与えることが目的ですが、このように背景を溶かして主題をシンプルに見せる効果もあります。OM SYSTEMならM.ZUIKO100-400mmのズームレンズで望遠マクロ撮影するのは作例をよく見ますが、サンヨンの望遠マクロ作例、それも今回のような小さな被写体を望遠マクロ撮影している作例は少ないんですよね。それも含めて撮る価値があるかな、と思いまして、OM SYSTEMならではの強みを活かせたのじゃないかと思います。

 本当はルリモンハナバチも撮りたかった、むしろルリモンハナバチの方がメイン被写体にしたかったくらいなんですけど今回は残念な結果になってしまったので、動画のタイトルもオオセイボウを前面に出した内容にしました。今シーズン中またリベンジに行きたいと思っていますので、ルリモンハナバチが撮れたときはもう一本動画とnoteを作成するかもしれません。

それでは、今回も記事をご覧いただきましてありがとうございました。


(=^ω^)ノ”バイバイ


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