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マイクロフォーサーズ機での野鳥撮影にRAW現像が必要な理由

 この記事を書いている頃はまだジトジト雨続きの梅雨末期。雨続きではありますがもう季節はすっかり夏ですね。7月の三連休はずっと天候が悪くて家に引きこもっていたもみじ卍ゅうです。

 夏は日が長く暑くなるせいか、汗かきながら蚊や日焼けと戦いながらせっかく早起きして出かけたのに、何時間探鳥しても野鳥の姿があまり見られず撮れ高が悪かったってことが何度もあるんですよね。帰宅してから飲むビールの味の不味いことこの上ないです🍺

 そんなときはエアコンの効いた涼しい家の中で撮りためたデータを整理したり現像したりするのに限ります。そう、現像。

RAW現像です。


みなさんRAW現像やってますか?

 現像環境が整ってない、そこまでする必要はない、RAW現像が苦手、めんどくさい、現像する時間が無い、メーカーの作り出す撮って出しの色が好きだから不要、興味はあるけどどうやってやったらいいか分からない、そもそもRAWって何?などの理由からRAW現像をしない人はかなり多いと聞きます。
 これから語っていく内容について予め申し上げておきますが、

RAW現像は個人の自由です


 あくまで撮影者自身が必要と感じたらすればいい能動的なものだと思っています。私は自分が撮影した写真の欠点部分を補いたい、より良くしたい、映えさせたい、思った通りに調整したいという気持ちが発端でRAW現像を始めました。こと野鳥撮影ではRAW現像の必要性を特に感じましたので、今回は野鳥撮影とRAW現像について語っていこうかと思います。

そもそもRAWとは何ぞや


 RAWについての解説はネット検索すればたくさん情報がでてきますので、ここでは掻い摘んで説明しますが、ザックリ言うとカメラの捉えた光の情報をRGBの3色に分けて保存したものがRAWです。パッと聞いても訳わからんですよね╮( •́ω•̀ )╭
 RAWファイルは.rawとかそんな保存形式ではなく、各メーカーによって変わります。OM SYSTEMの場合は.ORFという保存形式になります。ちなみにハイレゾショットのRAWは.ORIです。

RAWとJPEGの違い


 料理で例えるならRAWは人参とか玉葱とか牛肉とか調理前の生(RAW)の状態、JPEGは肉じゃがとかカレーとか調理済の状態って感じですかね。JPEGは各メーカーのカメラの画像処理エンジンが撮影時に自動的にRAW現像を行い圧縮されたものがJPEGとして保存されますので各メーカーの特色(味付け)が出やすく、RAWはまだ調理前の素材の状態ですので各メーカーの味付けはできていません。RAW現像は薄味や濃い味など自分の好みの味付けしてJPEGという料理を作り上げることですね。調理済みの料理を元の素材に戻せないのと同じく、JPEGに圧縮されたデータはRAWには戻せません。iPhone だとRAW撮影できるそうですが、基本的にスマホ撮影はJPEGです。

写真はイメージです🥕🍛


マイクロフォーサーズ機での野鳥撮影にRAW現像が必要な理由


 さて、ザックリとRAW現像について説明したところで本題に入りたいと思います。私が所有するOM SYSTEM機をはじめとするマイクロフォーサーズ機で野鳥撮影する際のRAW現像の必要性についてなのですが、これは何度も私がnoteの記事やYouTubeなどでも語ってきている「白飛び防止」が一番の理由になってきます。とにかくマイクロフォーサーズセンサーというのは白飛びとの戦いなのです。白飛び対策について私の動画でも少し触れているものがありますのでぜひご参考にしてみてください。白い被写体に対しての撮影設定なども詳細に載せております↓


被写体が動き回る


 野鳥は常に同じ場所に居てくれることはなく、日の当たる場所から日陰の場所へと飛び回ったりして常に撮影するシチュエーションが変化します。そのため被写体が移動する都度ヒストグラムを確認して適正設定に変更する時間などなかなか無いですよね。野鳥撮影時は大まかに設定をして、可能ならSSやISO感度などを合間に調整するというのが多くの方がされているやり方だと思います。
 マイクロフォーサーズセンサーは白飛びには弱いですが暗いところは意外と強い(OM-1 MARK IIの場合)ので、野鳥撮影では被写体が明るさの強い場所へ移動された時のリスクを考えて露出補正を下げて暗く設定して後からRAW現像で明るさなどを補正していくという考えです。どれくらい露出補正を下げるかはシチュエーション次第ですが、私は場合により-3EVやそれ以下まで下げることもあります。フルサイズ機を使っている人からするとなかなか考えられない数値かもしれませんが、それでもRAW現像するとちゃんとまとも(?)な写真に仕上がるんですよ(笑)

左は現像前、右はRAW現像後
露出補正は-3EV
これだけ暗く撮ってもちゃんと仕上がります


露出補正を下げることによる副産物


 耳にタコができるほど「露出補正を下げて撮影する」と言ってきているのにはもう一つ理由がありまして、露出アンダーにすることでマイクロフォーサーズセンサーには嬉しいISO値を下げることができるんですよ。
 これについても私が耳タコで言ってきているんですが、野鳥撮影においてのマイクロフォーサーズセンサーの実用ISO値は3200がギリギリだと感じています。もちろん被写体との距離などによりこの数値は上下しますが平均すると大体この3200がボーダーラインになってきます。
 野鳥という不規則で素早く動き回る被写体をブレずに捉えるためには一般的には1/400〜のシャッタースピードが必要だと言われていますが、日陰でそのSSだとISO値があっという間に3200以上に跳ね上がることもザラです。そのため露出補正を下げるということは同時にISO値も下げることができるため、より解像度が良くノイズの少ない写真を撮ることへと繋がる訳なんですね。

SS1/10000 F/5.6 ISO3200-3EV
左がJPEG撮って出し、右が現像後
このあたりのISO値が個人的にはギリギリです


RAW現像ソフトとノイズ除去は必須


 露出補正を下げてRAW現像で明るく調整すると言ってきましたが、実は一筋縄ではいかない「ノイズ」の問題も残っています。マイクロフォーサーズセンサーはノイズが乗りやすい上、暗く撮影した部分を現像時に明るく持ち上げるとノイズがかなり目立つ形で浮き出てくるため、ノイズ除去ソフトがほぼ必須になってきます。JPEGではノイズ除去はできませんので、こればっかりは何が何でもRAWで撮らなければならない理由の大きい所なんです。
 私はAdobeのLightroom Classicという現像ソフトとそれに付属するAIノイズ除去機能を使用して現像を行っています。一応OM SYSTEMの純正無料現像ソフトであるOM Workspaceにもノイズリダクション機能が搭載されているのですが、使用できる機器のスペックがそれなりに要求されるのと効果が微妙なので適用できる範囲が狭いのがネックなんですよね。OM Workspaceについては最近は比較明合成するときとカメラやレンズのファームアップするときくらいしか使用していないです(^_^;)

ISO640
左がノイズ除去前、右が除去後
ISO3200
左がノイズ除去前、右が除去後

 OM SYSTEMの画像ノイズについての記事は
OM SYSTEMと手ブレ補正とノイズ 前編
OM SYSTEMと手ブレ補正とノイズ 後編
でも語っておりますので、こちらもぜひご参考にしてみてください。

RAW現像のデメリット


 単にRAW現像するだけでもとっつきにくい上、これまで語ってきた内容でも人によってはデメリットだと思うのですが、さらに追い打ちをかけるようにデメリットを追加していきます。しかしこのデメリットを乗り越える頃には自分自身が持つ色彩観や世界観ができあがり、現像に美しく反映されていることだと思います。

高スペックなPCが必要
 あまり低スペックなPCだと処理がカクついたり動作が重くなり快適に現像できませんし、ノイズ除去にかかる時間も大きく影響してきます。RAW現像だけならタブレットやスマホのLightroomアプリなどでもできますが、ノイズ除去についてはおそらくPCじゃないと綺麗に除去できないかと思います。

データ量が多い
 今までJPEGのみの保存設定にしてきた人はJPEG+RAWの設定に変更してみましょう。あっという間にストレージがパンパンになりますよ(笑)
 しかしいつかはRAW現像にチャレンジしてみたいと思っている方は、今は現像しなくてもJPEGと一緒にRAWも残しておいてください。ストレージは圧迫しますがいつか役に立つときが来るかもしれません。私はカメラを始めた初期の頃から人に言われるがままRAWも保存していましたが、今となってはその頃のデータを改めて弄ることもあるのでRAW保存もしておいて良かったと思っています。

SDカードも高スペックなものが必要
 野鳥撮影は連写が基本ですし、OM-1にはプロキャプチャー撮影という神機能が搭載されております。バッファ詰まりを最小限にするために書き込み速度の速いものにしてくださいね。OM SYSTEMは早よCFexpress対応してください。高スペSDカードはCFexpressより高いんですよ💸

慣れるまで時間がかかる
 とにかく枚数をこなしてください。たまにXの写真アカウントでRAW現像チャレンジなどをしてくれる人が居ますので、その人からRAWデータをDLさせてもらいお手本作品と同じになるように現像を練習してみるものいいかもしれませんね。設定数値をどれくらい動かしたらよいのか等の感覚が何となく分かってくると思います。

何度も言いますが


 RAW現像は個人の自由です。するもしないも自由ですし、人からとやかく言われる筋合いも無いものだと思っております。私はむしろ撮って出しで美しく撮影できる技術の持ち主を羨ましく思います。
 ただしあまりに原型とかけ離れた色味に変えたりしているとフォトコンテストなどで落とされたりする可能性も出てくるのでご注意ください。最近では少ないらしいですが、入賞者にRAWデータの提出を求めることもあるとかないとか。

野生動物相手にこのような表現で撮るには
RAW現像をしないと難しいかと思います


まとめ


 OM SYSTEMのマイクロフォーサーズ機っていうのは軽量コンパクトで手ぶれ補正も強力で焦点距離も長いため野鳥撮影に向いていると一般的に言われていますので、その長所をさらに引き立たせるために何ができるかと考えた先が私の場合RAW現像だったということなんですが、フルサイズ機にすればここまで異常な露出補正にしなくてもいいんじゃない?という声も出てきそうです。でもだってフルサイズ機って高いじゃないですか。私はケチなのでなかなか思い切ってマウント替えとかなかなかできないんですよ。それにロクヨンの価格見てくださいよ。軽四新車で買えますよ。いや、欲しくないわけじゃないですよ?一時期キヤノン機を買おうとポチる寸前まで行きましたからね。
 それでもOM SYSTEM機を使っているのは頑張れば意外と何でも撮れるからなんですよ。フルサイズ機じゃないのにフルサイズ機と同じように使えることを求めちゃダメなんですよ。マイクロフォーサーズ機にはマイクロフォーサーズ機の撮り方がある。その撮り方というのが、今回お話させてもらった内容だということになります。私が撮影した作品もご覧いただいて、マイクロフォーサーズ機におけるRAW現像の有用性も感じて頂けたらありがたいですね。

それでは今回もご覧いただきましてありがとうございました。


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