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神戸須磨シーワールドでオルカ(シャチ)ショーやイルカショーの撮り方、設定方法など / OM SYSTEM
今月中頃、2024年6月にオープンした神戸須磨シーワールドに行ってきました。SNSのタイムラインにも度々ここでの素敵な写真が流れてくるのでいつかは行ってみたいと常々思っていて、ようやくその想いが叶いました。
今回の記事については、神戸須磨シーワールドでのカメラマン目線としての楽しみ方に重点を置いて話を進めていきます。カップルやファミリーでの楽しみ方とは少し違った解釈になりますのでご注意頂けたらと思います。
今回撮影対象はシャチやイルカの「動き回ってる姿」がメインです。技術的にどのような設定で撮ればいいのか、どういう瞬間を狙えばいいのか、どれくらいの焦点距離のレンズを使用したらいいのか、などをお伝えしていきます。
なお、私の使用機材はOM SYSTEM OM-1 Mark IIがメインですが、基本的な設定は他メーカーもそれほど変わらないとは思いますので、ぜひ参考にして頂ければと思います。
いざ入園!!
やはりここでのメインは二枚看板の「オルカ(シャチ)」と「イルカ」です。入場して左手側がオルカスタジアム、右手側がイルカスタジアムと分かれています。スタジアム間の移動時間は混雑具合にもよりますが大体4〜5分と言ったところです。平日でも相当な混雑が予想されるので余裕を持って移動しましょう。
⚠️場所取り・撮影時の注意点⚠️
席の確保をするためだけの目的で荷物を置いたまま全員がその場を離れるのは厳禁です。必ず最低1人は残っておかなければ、その荷物は撤去されてしまいます。
また会場内では三脚や一脚、自撮り棒、などほかの観客の観覧の妨げになるものの禁止、フラッシュ撮影やライブ配信、営利目的の撮影も禁止となっております。
ショー会場でもしきりに注意を促しておりますので、皆さんルールは必ず守りましょう。
A.オルカショー撮影
早速メインのオルカショーについてですが、まずは撮影する場所について。オルカスタジアムは入場したら屋根のある上段席と、屋根のない下段席に大きく分かれます。私は機材が濡れるのが嫌だったので、3回中2回を上段(前列側と中段側)、最後の回を下段の最上段から撮影しました。
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A-1.使用推奨レンズ
※レンズ焦点距離については注書き等がない場合、フルサイズ判換算の数値を意味しております。
A-1-1.上段席
前の列との間隔が狭いため必然的に寄りで撮影することになるため(引きで撮ると前の列の人の頭部ばかり写るので笑)、できるだけ望遠ズームレンズを使用することをおすすめします。
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※レンズフードは純正では無いです
私が使用したのはM.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F2.8 PROというレンズで、フルサイズ判換算値で言うと80-300mmの焦点距離の望遠ズームレンズです。ただし望遠端側はアップになり過ぎたのであまり使用せず、主には200mm前後(フルサイズ判換算値、以後「フル」と略します)の焦点距離を多用し、ジャンプの時はさらに広角に引いて、飛ぶポイントによっては広角端80mm(フル)で撮影することもありました。
なので多くの人が持っているであろうフルサイズの24-105mmやマイクロフォーサーズの12-60mm(フル24-120mm)くらいの便利ズームでも十分イケると思います。上段席でジャンプだけ狙いたいなら85mm単焦点などを使うのも面白いかもしれませんね。
A-1-2.下段席
下段席の最前列は見上げる形で観ることになり、水槽の縁が邪魔なので撮影にはあまり向いてないかと思いますが、シャチのジャンプにのみ狙い撃ちで撮るならば最高のポジションかと思います。
レンズは15-35mmや24-105mm、MFTでは12-40mm(フル24-80mm)などの超広角〜広角、標準レンズがおすすめですが、このポジションは100%海水を被りますので、機材の耐性に不安のある方は絶対にやめておくこともおすすめします。それでもこのポジションで撮影したい勇者はカメラが壊れてもそれは自己責任ですので悪しからず。
特に下段席の1〜8列目までは確実に海水がかかるポジション。それより上の列であってもシャチの調子のいい時は下段席全体が海水を被ることになりますので油断は禁物です。ショー開始前に500円位でレインポンチョなどの販売もしておりますので、濡れたくない方は着用して観覧してください。
私は下段席の最後列で撮影していましたが、その時は海水は届きませんでした。もう2・3列前でも大丈夫そうでした(フラグ🙄)
A-2.撮影設定
基本的に連写C-AF(メーカーによりAF-CやサーボAFなどの呼称)、ISO値200〜500基準で、シャッタースピードは1/1600以上確保できていれば、それ以上はSSはどれだけ上げても大丈夫だと思います。絞り値(F値)は開放でもいいですが、被写体が大きく奥行きもあるので少し絞ってもいいかと思います。私が撮影した時はカンカン照りでF値2.8、ISO200でSSが1/6400まで上がる時がありました。私はいつもMモードのISOオートにして、ISOが上がりすぎるようならSSを下げたりなど調整しながら撮影しております。
A-2-1.白飛び、黒潰れに注意(特にMFT)
シャチは白黒のボディをしておりますので個人的には苦手な部類の配色です。特にマイクロフォーサーズセンサーは白飛びしやすいので、ヒストグラムを確認しつつ露出補正を適宜下げて調整してください。ヒストグラムの見方なんてよく分かんないよ、っていう人はとりあえず露出補正を-0.7EVにしておいて、後で現像時に明るさ調整してください。露出補正を下げすぎると今度は黒潰れを起こすので下げ過ぎにも注意です。
A-3.ジャンプタイミング
シャチは被写体としてはかなり大きいので、AFは比較的捉えやすいかと思います。トレーナーが手を振ってジャンプの合図を送るのを見逃さないよう気をつけておけば、シャチは体が大きく動きが遅いので水面に顔を出してきてからでもターゲットモード中央1点でジャンプは十分追えます。
OM-1を使用している人は被写体認識を「鳥」にしておくとAFがシャチを追い続けてくれます。
A-3-1.一瞬を逃さないためのポイント
シャチがジャンプする場所は大体プールの左右の端どちらかからのパターンが多いです。水槽の中が見えるので、ジャンプする前にシャチが今どの辺を潜水しているかを確認して、おおよその目安となる水面にピントを合わせておけば、水面に浮上してからすぐにAFを合わせやすくなります。
A-3-2ピントは目もしくは鼻先
シャチという大きな被写体はピントを合わせやすい反面、大味なピントにもなる可能性があります。ピントが合ってからシャッターを切ったはずなのに後からデータを確認するとシャチのお腹とか背中部分にピントが行ってしまい、目や鼻にピントが届いてなかったというパターンも出てきます。顔部分にピントを意識して撮影するか、目や鼻を狙うのが難しいという人はF値を絞って深度を深目に確保するようにしましょう。
作例紹介 オルカショー
撮影機材
カメラ:OM SYSTEM OM-1 MARK II
レンズ:M.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F2.8 PRO
焦点距離の記載をしていますが、すべての写真にトリミングをしております。
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横向きで真上に伸び上がる構図は平面移動なのでAFを合わせやすい
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こちらも横向き平面移動。被写界深度が合いやすい
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ターゲットの位置は顔部分に当てる
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吊るされたボールを尾ヒレで当てた瞬間。立体的に動くことを予想して絞って撮影した結果、背景が賑やかになってしまいました
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サイド光になる瞬間を狙いました
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サイド光で水しぶきが綺麗に輝く瞬間
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飛び込んだ直後に立ち上がる水しぶきと水槽に見えるシャチ。画角下部分が多少窮屈に見えるが、これより下は観客が入り込んで少し煩いのでトリミングしました
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先程のボールを尾ひれで叩く前のカット。浮上してきた瞬間を大きくトリミングしました
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マイクロフォーサーズセンサーは白飛びしやすいので日差しが強いときは要注意。ここでいうとシャチのアゴ(?)部分に気をつける
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シャチばかりだけでなく、トレーナーさんの動きもよく観察すると面白い瞬間を狙えるかもしれません
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シャチの顔が奥側に、背中が手前側にあるので少し絞りました
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とても素晴らしく楽しいショーでした
B.イルカショー撮影
イルカスタジアムも上段と下段に席が分かれていますが、私はイルカショーは3回中2回が下段前3列目、もう1回は下段前4列目からでした。
イルカショーの会場は大体最前列から3列目くらいに水しぶきが飛んできますので、機材や服など濡れたくない人はそれより上段に位置取りしましょう。ちなみに最前列でも左右の端の席ならほぼ水飛沫は飛んできませんでした。
B-1.使用推奨レンズ
B-1-1.撮影場所は下段前列3〜6列目辺り
まずここでの撮影構図の関係上、撮るなら下段前列3〜6段目くらいまでが個人的にはおすすめです。その理由は、あまり上の列だと撮影した時の背景がプールの水面や建物ばかりになってゴチャゴチャした感じになりやすいからです。前過ぎると水槽の縁が邪魔で水面が見づらいので、水面や空がバランス良く背景として映るは3〜6列目だと感じました。
B-1-2.正面から撮るか、斜めから撮るか
その前提の上で使用するレンズは、正面だとちょっとレンズ選びが難しいのですが、焦点距離15-35mmや24-105mmくらいのレンズをおすすめします。「正面だと」と言うのは、途中やラストで2〜4頭のイルカが一斉にジャンプする瞬間があるので、正面画角から全部を画角に収めようとするならこれくらいの画角があった方が良いからです。
しかしイルカ1頭だけ狙うなら15-35mmだとちょっと広すぎる感もあります。OM SYSTEM神レンズ12-100mmPRO(フル24-200mm)だと多頭ジャンプ時に広角側撮影がギリギリ入るか入らないかだと思うので構図的にバランスが悪くなることが懸念されます。
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私は初回はパナライカ8-18mm(フル16-36mm)を使って下段前4列目正面から撮影しました。ショー2回目と3回目は下段前3列目右端席からM.ZD40-150mmF2.8PROを使い、ジャンプを斜めから狙いました。斜めから狙うならフルサイズ24-105mmや先程のOM SYSTEM神レンズ12-100mmPRO(フル24-200mm)が使いやすいかと感じました。
私はこの日、実は神レンズM.ZD12-100mmを持ってくるのを忘れてしまったのでM.ZD40-150mmF2.8PROで撮りました(笑)
言い訳するならば、フォーカス速度と描写力では12-100mmPROより40-150F2.8PROの方が良いのでワタシ的にはこれで良かったのです、ええそうですとも。
B-2.撮影設定
シャチ同様、連写C-AF設定でISO値200〜500基準で、シャッタースピードは1/2000以上あればよいかと思います。シャチより近い距離で、シャチより動きが速いので瞬発力の必要な撮影になると思いますので、AF速度の速い機材で挑んでください。撮影難易度としてはちょっと始めは難しいと感じるかもしれませんが、焦らずタイミングさえ掴めば歩留まりは上がると思います。
B-2-1.イルカショーの撮影タイミングは午前中まで?
これはスタジアムの構造上仕方ないことなのかもしれませんが、私が訪れた9月中頃は午後からイルカスタジアムのプール部分だけが右横の建物の日陰になってしまい、測光をどうするか非常に迷いました。日陰になっているプール側に測光を合わせると綺麗に晴れている背景が派手に白飛びする。背景側に測光を合わせると被写体やプール側が暗くなり色情報が無くなる。
結局背景を白飛ばしたくなかったので背景と被写体ギリギリ情報が残るように撮影して現像で調整しました。これがフルサイズ機ならもう少し気楽に撮れたかもしれませんが、マイクロフォーサーズ機では白飛びを取るか黒潰れを取るかの2択を迫られるほどの輝度差(明暗差)でした。
これから冬にかけてさらに日陰になるタイミングが早まると思いますので、イルカを明るく撮りたいなら午前中狙いで挑んだ方が良さそうです。
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B-3.ジャンプタイミング
イルカは動きが速いので慣れない人はジャンプし始めたタイミングを逃しやすいですが、慌てず落ち着いて飛び上がりの昇り切る瞬間を狙いましょう。トレーナーさんが手を上げたり横に広げたりすると弧を描くようなジャンプや回転ジャンプをしていたように思いますので、そういう合図を覚えておくと瞬時に画角を思い通りに変えられるかと思います。
B-3-1.一瞬を逃さないためのポイント
シャチのプール同様、イルカプールもジャンプする前の水槽内が見れますので、大体の辺りから飛び出すのか目星は付けやすいかと思います。多頭ジャンプはだいたいプール中央から飛び出すので、画角を広めに取って水面にピントを合わせて待ちましょう。カメラやレンズの性能によっては中抜け(ピントが被写体に合わず背景に突き抜けて合ってしまうこと)が起こってしまいますが、とにかく慌てず落ち着いてイルカのジャンプの動きに合わせるようにカメラを振って行くと抜けにくくなります。
OM-1をお使いの人はシャチ同様、被写体認識を「鳥」に設定するとイルカを捉えてくれます。多分シャチより認識反応良いかと思います。
作例紹介 イルカショー
撮影機材
カメラ:OM SYSTEM OM-1 MARK II
レンズ:M.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F2.8 PRO
PANASONIC LEICA DG VARIO-ELMARIT 8-18mm F2.8-4.0 ASPH
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飛び出した瞬間の水しぶきの立ち具合、イルカの角度、トレーナーのポーズ、背景の抜け方など、バランスの良い一枚
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青空に飛び散る水しぶきを見せるため画角を広く取りました
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連写した中から、よく見るとイルカと判別できるものをチョイス。水しぶきの立ち方も面白い一枚
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ジャンプして頂点まで行った時の一瞬静止する瞬間を捉えました
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多頭ジャンプ時は少し絞る
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ごほうびのお魚を口へ投げ入れてもらう瞬間。エサとなる魚が動体撮影対象です(笑)
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この時なんでこの設定にしたのか覚えていません(笑)
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イルカがトレーナーさんに水をかける瞬間の飛沫の形が☆みたい
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メインとなる被写体が複数の場合は絞って撮る
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イルカとトレーナーさんの活き活きとした瞬間
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もう少し画角を引いておけばよかった。バランスが悪い
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連写した中からトレーナーさんの真上を通過する瞬間をチョイス
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吊り下げボールへのジャンプは事前にアナウンスがあるので、あらかじめボールにピントを合わせておいて飛び出した瞬間に連写開始
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イルカのポーズとトレーナーさんのポーズがなるべく重ならないように
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イルカたちが笑っているように見える瞬間。表情にフォーカスするので尾びれは全体を入れなくても大丈夫。
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イルカプールが日陰になってしまった時に撮影。黒つぶれしないようにEV値を少し上げています。背景の空もギリギリ白飛びせず色情報が残ってくれました
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フィナーレの4頭一斉ジャンプです。正面から撮ると横に広がりすぎて超広角が必要ですが、斜めから撮ることにより4頭を中央に固めるようにして狙いました
まとめ
約8000字に渡って神戸須磨シーワールドのオルカショーとイルカショーでの動体撮影についていろいろと語ってきました。動体撮影は多少瞬発力は要りますが、風景やスナップ同様、適切な設定さえ覚えればあとは慣れだと思います。
風景やスナップと違って動体撮影はトリミングや角度調整も必要になってくるので苦手意識を持つ人もいるかも知れませんが、動体撮影というのはこういうものなのです。落ち着いて画角を決められない分、大雑把に設定をして後で現像時に調整していくものと捉えて下さい。
写真を見ていただいたように約2000万画素のOM-1 MARK IIのデータをさらにトリミングしても解像度はそれなりに保たれていますので、みなさん安心してトリミングして下さい(笑)
カメラが趣味の人でも素早く動く被写体を撮影するのは苦手な人も多いかと思いますが、この記事を読んで自分もシャチやイルカが美しく跳んでいる瞬間を自分のカメラでも切り抜いてみたい、という気持ちが少しでも湧いてくれたら嬉しいです。
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それでは、今回も最後まで記事をご覧いただきましてありがとうございました。ぜひいいね(スキ)♡もポチッとお願いします。
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