「刀剣乱舞 廻 - 々伝 近し侍らうものら - 」感想。
夏休みの締めくくりとして新宿で観て参りました。
今回の映画「刀剣乱舞 廻 - 々伝 近し侍らうものら - 」は今春にTV放映していたアニメ「刀剣乱舞 廻 - 虚伝 燃ゆる本能寺 -」の前日譚。
――と言っても映画を楽しむのにTVアニメで予習する必要はなく、下記ツイートの漫画を読むだけで十分です。
私個人としては「映画 → TVアニメ」の順でも楽しめると思ってます。
TVアニメだけ観ても支障は無いけど映画だけ観るのはもったいない、って感じ。
本記事の前提条件
私はアニメ円盤までが精一杯で2.5次元までお金を回せないため舞台刀剣乱舞もミュージカル刀剣乱舞もほぼ未履修。
なので「刀ステ勢には常識」なところが分かっていなくともスルーお願いします。
かぁなり今更ですが、私の刀剣乱舞歴を挙げておきます。
ゲーム歴9年(リリース日から1ヶ月半経った3月10日から開始、備中サーバ初期勢)
アニメ「刀剣乱舞花丸」全シリーズ視聴済み
アニメ「活撃 刀剣乱舞」視聴済み
アニメ「 刀剣乱舞 廻 - 虚伝 燃ゆる本能寺 -」視聴済み
実写映画(継承・黎明)鑑賞済み
歌舞伎鑑賞済み
また、(これ読んでくださる方にはあんまりいないと思いますが)「刀剣乱舞」というコンテンツに触れたことが無い方向けに、本記事に関連する範囲で必要な情報も置いときましょう。
刀剣男士:刀剣が人の姿を取った最強の付喪神。審神者の力によって顕現するため、「審神者の持ち物」でもある。
審神者:物の心を 励起する能力を持ち、刀剣男士を顕現させる者。ゲームにおけるプレイヤーキャラクター。「刀剣男士の持ち主」であるため、刀剣男士たちから主などと呼ばれる。
本丸:刀剣男士たちの拠点。審神者ひとりにつき一つの本丸を構えている。メディアミックスごとに本丸が異なるため、ファンは「花丸本丸」「廻本丸」のように区別している。本丸の雰囲気によって刀剣男士たちの性格も若干左右される。
近侍:本丸の刀剣男士たちを統率するリーダー。ゲーム内の組織図でも審神者の直下に近侍が配され、各部隊長らが近侍の下についている。ゲームでは任意のタイミングで変更できるが、ほとんどのメディアミックスにおいて近侍は固定であり、廻では「任命されるのは刀剣男士にとって名誉」と断言されている。
歴史遡行軍:刀剣男士が倒すべき存在。歴史的事件に介入して歴史を改変しようとする。
白刃隊:刀剣男士たちで構成される部隊。ゲームが最大6名編成なのでメディアミックスでもだいたい6名で出陣する。「白刃隊」という単語じたいが出てくるのは稀。
極:修行を経て強化された刀剣男士。修行前に抱えていた心のわだかまりが昇華されていることが多い。人妻にモテる道を探してるのもいるけど。
々伝のへし切長谷部
物語はへし切長谷部が審神者から近侍就任を打診されるところから始まります。
ここで主命に即OKしない長谷部に驚き。「へし切長谷部=主命」の式が成り立つぐらい長谷部は「主の言うことはゼッターイ!(意訳)」なキャラ付けがなされています。
だいたいの長谷部なら「お任せください主!」と喜色満面で引き受けそうなところ、「近侍は山姥切国広が務めるべき」と主張し「一晩考えさせて欲しい」とまで言うなんて々伝長谷部はSSR長谷部ですね……。
近侍の任を引き受けたあとも作中の長谷部の行動原理は「山姥切国広を立ち直らせる」に終始しているように見えました。ってか「主と本丸のためには山姥切国広が近侍であるべき。彼を立ち直らせるために近侍の権限を利用する」と思って引き受けたのかなぁと思いました。
仲間を思いやる気持ちがちゃんと表に出る長谷部、やはりSSRじゃな?
虚伝アニメ長谷部は(織田信長がらみの任務なこともあって)仲間との衝突が多かったので、々伝が虚伝アニメの前日譚なのをうっかり忘れそうになります。
ラストで近侍の座をあっさり三日月宗近に渡しているあたり、々伝長谷部は自分が心から納得できないことは引き受けない/無理に継続しないタイプでは、と思いました。
々伝の山姥切国広
自ら近侍の座を辞した山姥切国広。「写しに期待するな」とどの媒体でも1度は口にしたであろう定番ゼリフこそ言いますが、長谷部が「お前はまだ戦える」と言うほど(=刀を手に取れないほど)どん底まで落ち込んでいるようには見えなかった、というのが率直な感想です。
おそらくですが、山姥切国広の自信喪失ぶりを具体的に描くには映画の尺が足りなかった。
彼は「近侍のあるべき姿がわからなくなった」のであり、いち刀剣男士として戦えなくなったわけではないように見える。
実は虚伝アニメの原作である舞台が上演された当時のゲームでは「近侍=第一部隊長」であり、近侍と第一部隊長を別々に任命できるようになったのは2022/3/1からです。
大倶利伽羅も作中で言ってますが、敗戦の責任を取って第一部隊の隊長を退くのは当然とも言えます。
でも、「近侍≠第一部隊長」なら審神者も周囲も「近侍まで辞める必要無いのでは?」と強く引き留めたんじゃないでしょうか。
刀ステ時空が「近侍=第一部隊長」でなければ々伝のストーリーは成り立たないと言えるでしょう。
廻本丸の刀剣男士って「負けたのは隊長の責任だけではない。自分自身も弱かったから」「今度は負けないようもっと強くならねば」というポジティブ思考持ちが多い気がする。典型は同田貫正国。
山姥切国広もクライマックスで「いち刀剣男士として」近侍として白刃隊を率いてきた経験を活かしつつ長谷部と組んで大立ち回りを繰り広げます。
――うん、々伝としては大団円だけど「どん底から這い上がる」感はあんまり無いな、尺のせいだ仕方ない。
その他の細かい感想
手合わせシーンのほか、虚伝アニメ開始時点で三日月宗近が近侍だった経緯が明かされますが、々伝の本筋には関係してきません。それでもポスターに顔出ししてるのは「三日月宗近は原作ゲームの顔で刀ステ時空のキーパーソン」だから存在感を出しといて損は無いってことでしょうか。
同田貫めっちゃ喋るし活躍するので同田貫推しは観に行って損は無い。あ、来場者特典は同田貫を引きました。
BAR光忠といい軍議のおはぎ(お約束)といい、 燭台切光忠お前今作のコメディ担当だな? どうでもいいけど私はおはぎなら(今回出てきた)黄粉がいちばん好き。
蛍丸の太ももアップにする必要あった? いや、あって当然か……。ジャンプして大質量の大太刀を敵の頭に思いっきり叩きつける戦闘スタイル、破壊力すごそう。
同じ槍男士なのにセルフ高枝切りバサミな御手杵に対してガタイのいい蜻蛉切がしゃがみ込んで小さなハサミで植え込みの剪定してるの、すごく良いな……。
遡行軍って単体だと喋れないのか……今ゲームやってるイベントのレイド戦でも喋る敵は珍しいっぽい演出だったんでそれはわかるとして、頭を鷲掴みした人間に代わりに喋らせるのは怖いを通り越して面白すぎる。
おい最後の合体した敵はレイド戦の討伐対象だろ? ずるいうちの本丸にも経験値よこせ!
物語の最後が虚伝アニメの1話冒頭に繋がる演出いいですね!